「よっしゃー!」
力強いショットが決まると、廣瀬隆喜選手の大きな雄叫びが会場に響き渡り、観客席も沸き立ちます。
2019年1月19日(土曜日)~20日(日曜日)、新宿コズミックスポーツセンターで「2019ジャパンパラボッチャ競技大会」が開催されました。本大会は、海外からチームを招へいし、チーム戦やペア戦などを行う国際親善試合です。
大会初日には、TEAM BEYONDメンバーが選手たちを応援しようと、会場に集合しました!試合観戦だけでなく、選手との交流会や選手のサイン入りグッズが当たる抽選も実施された観戦会の様子をご紹介します。
障がいのあるなしにかかわらず、誰もが一緒に楽しめるスポーツ、ボッチャ
ボッチャは、オリンピックでは実施されないパラリンピック独自の競技です。緻密な戦略とそれを実行する技術力が勝敗を分ける知的なスポーツ。近年、障がいのあるなしにかかわらず、誰でも楽しめるスポーツとして注目を集めています。
試合では、赤、青それぞれ6球ずつのボールを白いジャックボール(目標球)に、どれだけ近づけられるかを競います。個人戦、ペア戦、3対3の団体戦があり、個人戦とペア戦は4エンド、団体戦は6エンドの合計点で勝敗が決まります。
パラリンピックでは、四肢麻痺など、重い障がいのある選手が対象。男女の区別はなく、四肢や体幹にある障がいの程度によって、クラス分けされます。下から投げる選手や足で蹴る選手、アシスタントをつけて「ランプ」と呼ばれる勾配具を使う選手など、クラスによってボールの近づけ方が様々なところも見どころの一つです。
円陣を組んで気合十分。いざ韓国と対決!
試合時間が近づくにつれ、会場には続々とTEAM BEYONDメンバーが集まってきました!館内にはパラスポーツを体験できるブースもあり、様々な競技に挑戦して楽しむ姿もありました。
そしてこの日の最終戦では、リオデジャネイロ・パラリンピックで銀メダルを獲得した日本代表チーム、通称「火の玉ジャパン」が登場!対するは強豪の韓国です。
リズミカルな音楽に合わせて選手が入場。会場の観客は、スティックバルーンを叩いて選手たちの登場を盛り上げます。
試合前、会場がしーんとした静けさに包まれました。選手たちが円陣を組んで気合の雄叫びを上げて試合開始です!
まずは廣瀬隆喜選手、杉村英孝選手、そして藤井友里子選手が試合に臨みます!
ジャックボールにどれだけボールを近づけられるか?
韓国がジャックボールをスローイングして試合がスタート。日本チームがジャックボールにピタリとボールを近づけると、真剣に見守っていた会場からも歓声が沸き起こります!
選手たちは何手も先までシミュレーションしながら戦略を立てています。「選手は今、どんな手を考えているのだろう?」と想像しながら見ることも、ボッチャ観戦の醍醐味です。
この日、夫婦で参加されていた浅野さん。TEAM BEYONDの観戦会を通じて、ブラインドサッカーやパラバドミントンは見に来たことがありましたが、ボッチャの観戦は初めてとのこと。現在は小学校で校長先生を務めており、学校にもパラアスリートを授業で呼んで、パラスポーツを子どもたちに広めようとしています。
淺野さん:「1ミリの差で勝敗が決まる世界にびっくりしています。最後の最後まで結果がわからないところがおもしろいですね!」
淺野さんはボッチャの体験会に参加したことがあるそうで、今回初めて観戦を経験し、さらにその楽しさに魅了されたといいます。
力強いショットが繰り出され、日本が韓国に勝利!
1エンドでは韓国に先制を許してしまいましたが、2エンドからは日本チームも様々な技を繰り出し、得点を獲得していきます。ボールを当ててジャックボールの位置をずらしたり、ジャックボールのすぐとなりにボールを寄せたりと、素晴らしいプレーが続きます。
選手たちのミラクルショットが繰り出されると、会場は「よっしゃー!」「いいぞいいぞ!」と盛り上がります。
スティックバルーンを使って応援していた城戸さんご夫婦は、以前ボッチャの体験をされたことがあるのだとか。今日は「トップ選手の試合を生で見たい!」という気持ちで、初めて試合の観戦に来たそうです。
「体験会のときに、ボールを投げる難しさを知りました。選手たちがいろいろな技を繰り出すので“こんなコースがあったんだ!”と驚き、感動しながら見ています」
力強いショットが続き、その後も日本は韓国をリードし続けます。そして、最後の6エンドでは8対1で日本が勝利しました!
一番前の席で真剣に試合を見ていたのは、小川さん親子。息子の祐太郎さんは2年ほど前から、ボッチャをしているのだそう。今日はチームメイトが試合に出ていたので、その応援で会場に訪れたそうです。
祐太郎さん:「杉村さんや廣瀬さんに憧れているので、今日はとても勉強になりました。いつかは自分もこういう試合に出られるようになりたいです」
試合に挑むとき、どんな気持ち?選手たちの素顔が見える交流会
大興奮の試合のあとは、TEAM BEYONDメンバーと廣瀬選手、杉村選手の交流会です!試合に勝利したばかりの両選手は、笑顔で会場に登場しました。
杉村選手:「韓国はアジアの中では強豪で、日本とも何度か国際大会で試合をしていますが、いつも接戦になるんですよ。今回は日本がいいプレーをして大差で勝てたのでよかったです」
廣瀬選手:「前半はミスがあったけれど、今年初めての国際大会でチーム一丸となって勝てたのは嬉しいですね!」
次は参加者からの質問タイム。「ボールを投げるときに緊張すると思いますが、気持ちを落ち着けるために思っていることは?」という質問に、杉村選手が答えてくれました。
杉村選手:「試合では、ふだんの練習でやってることしか出せません。練習でしてきたことを信じることを大切にしていますね。」
「試合前にいつもしていることはありますか?」という質問には、廣瀬選手が答えます。
廣瀬選手:「いつもしているルーティンがあって、アップしたあとに後ろを向くんです。そして国旗を見てほっぺたを3回たたく。これで気合が入るんです。」
試合では見られない選手の一面が見え、二人との距離がぐっと近づいた時間でした。
ボッチャの楽しさと難しさをみんなで体験
最後はTEAM BEYONDメンバーのボッチャ体験会です!
「みなさん、試合を見てうずうずしていると思います。楽しみましょう!」
12人で赤・青のチームに分かれ、まずはお試しでボールを投げて練習したあと、試合開始です!みなさん意識を集中して、何度もボールを振って白いジャックボールに狙いを定めます。
真剣な顔で挑んでいたのは、庵ノ木菜名さんです。菜名さんは小学生のときからボッチャを始めて、もう5年が経ったのだそう。先ほどお話を聞いた祐太郎さんとは、練習会で一緒になることもあり、すっかり顔なじみだといいます。
遠くに飛ばしてしまう人もいれば、ジャックボールのかなり近くにしっかりボールを当てる人も。廣瀬選手、杉村選手に「これはどうしたらいいんですか!?」と参加者が相談をして、戦略のアドバイスをもらうシーンもありました。
勝ったチームも負けたチームも、最後はみなさん笑顔!ボッチャの楽しさと難しさを体感し、「ぜひまた挑戦したい」という声も多く聞かれました。
最後に杉村選手と廣瀬選手から、メッセージをもらいました。
杉村選手:「みなさんの応援が力になりますし、僕らもみなさんの声に応えられるよう頑張っていきます。ぜひこれからも会場に足を運んで応援してもらえたら嬉しいです!」
廣瀬選手:「ボッチャは障がいがある方ない方、小さな子から年配まで幅広く参加できる競技なので、ぜひたくさんの方に参加してもらいたいですね。」
最後は、メンバー全員で記念撮影!日本チームの勝利の喜びに包まれ、みなさんとてもいい笑顔です。
TEAM BEYONDでは、これからもパラスポーツの試合を応援で盛り上げていきます!あなたも選手たちに熱いエールを送ってみませんか?TEAM BEYONDへの参加をお待ちしています。