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「TEAM BEYOND WEBセミナー」
Vol.2

2021年3月24日。東京都によるパラスポーツの応援プロジェクト「TEAM BEYOND」の取組の一環として、2月に開催された「TEAM BEYOND WEBセミナー」に続いて、企業・団体がパラスポーツ支援に取り組むきっかけとなるよう、また、更なる一歩を踏み出す機会となるよう、第2回「TEAM BEYOND WEBセミナー」が開催された。
本セミナーでは、企業のパラスポーツ振興に関する取組を紹介するとともに、企業に所属しているパラアスリートやスタッフの生の声について、トークセッションを通して紹介された。

企業の取組事例 1「VR動画を活用したパラスポーツ疑似体験~新たな日常に対応したパラスポーツの普及促進と障がい者理解~」

株式会社リクルート オリンピック・パラリンピック準備室 兼 サステナビリティ推進室
細貝 智博氏
細貝 智博氏画像

リクルートでは、障がいの有無に関わらず誰もが活躍できる社会の実現を目指しており、障がい者理解を広めることを目的に「パラリング」活動を推進しています。パラリングとは「パラダイムシフト(考え方の変化)」と「リング(つながりの輪)」の造語です。

当社に所属しているパラアスリートは4名(2021年3月末時点)。グループ会社のリクルートオフィスサポートで勤務をしており、アスリート支援制度を活用して週の2.5日をアスリート活動、週の2.5日を業務という形で両立しています。

また、社外のパラアスリートの方にも支援をしています。パラリングのオリジナルデザインによる自動販売機の売り上げの一部を寄付させていただくという仕組みで、コカ・コーラボトラーズジャパン様と一緒に進めているものです。

加えて、パラアスリート4名が小中学校に伺い、車いすバスケットボールやシッティングバレーボールといった、パラスポーツの体験会を実施してきました。過去50回以上開催し、合計5,500名以上の方にご参加いただいておりますが、課題もありました。それは、時間の調整、器具の準備、場所の確保、アスリートのスケジュール調整などに伴う開催数の制限です。一人でも多くの方に、もっと気軽にパラスポーツを体験できる機会を提供できないかと考え、これらの課題を解決するために始めたのが、本日、ご紹介するVR動画を活用したパラスポーツの疑似体験です。

スマートフォンや、タブレット端末が1台あれば、YouTubeを再生することでVRを体感できます。現在、体験できる種目は、車いすバスケットボールや、シッティングバレーボールなどの10種目。選手は実際このように見えているというアスリート視点に加え、こんなところから観たことないという位置に定点カメラを仕掛けることで、迫力の映像となっています。パラスポーツ体験VR動画は、リアルやオンラインのイベント、自治体や企業との連携、また医療現場や教育現場でも活用の幅を広げるべく推進をしています。

企業連携の事例としては、明治様の「meijiアンバサダープロジェクト」という社員向け企画のなかで、アンバサダー活動のパラスポーツ参画プロジェクトの一環として、VR動画の視聴を呼び掛けていただきました。

教育現場の事例としては、総合学習の時間や道徳の時間において、タブレット端末等でのVR動画視聴に加え、授業用の解説スライドと児童用のワークシートを準備して教師の方々に授業でご利用いただけるように準備しています。VRによるパラスポーツ体験を通して、障がい者理解および共生社会の実現に向けた学びに繋げていきたいと考えています。

リアルイベントの事例としては、「パラ大学祭」という関東の11大学の学生が参加したイベントにおいて、VRスコープを提供協力しました。パラスポーツ疑似体験VRは、無償でイベント等にご活用いただくことが可能なのと、VRスコープも数に限りがありますが無償提供をしております。

我々の一番の目的は、VR動画を通してまずはパラスポーツに興味を持っていただき、それをきっかけに障がい者理解を広めていくこと。そして、幅広く多くの方とパラリングの活動を連携していくことで、繋がりの輪を広げていきたいと考えています。ご興味がございましたら、まずはお気軽にパラリング事務局までお問い合わせください。ぜひご一緒できることを楽しみにしています。

※パラスポーツ体験VRについての詳細は、「パラリング VR」で検索ください

企業の取組事例 2「社内アスリートチームによる地域社会への貢献活動など」

ケイアイスター不動産株式会社 戦略開発本部PR課 兼 ケイアイチャレンジドアスリートチーム
山本 典城氏
山本 典城氏画像

 当社がパラアスリートを雇用するに至った経緯は、会社としてダイバーシティの活動を行うなかで、当社の代表がパラスポーツに対して、何か支援できることはないか検討を始めたことがきっかけです。

現在、当社には8名のアスリートが所属しており、雇用形態は、すべてのアスリートが「競技専念型」となっております。基本的に出社はなく、日々のトレーニングをみなし労働としており、4月からはデュアルキャリアの採用も開始します。

2015年に1人目のアスリートを雇用しましたが、会社とアスリートが互いにWin-Winの関係とは言えない状況が続きました。一般的に、企業がパラアスリートを雇用するメリットとして、法定雇用率の向上や企業イメージの向上などが考えられますが、その反面、費用対効果の測定が難しいといった課題もあります。アスリートは、競技に専念できる一方で、会社への帰属意識を感じにくいことや、競技引退後に不安を持つ場合も多いと思います。

こういった課題を解決するためには、企業とアスリートが同じ目的や目標を持ち、アスリート雇用が企業や社会のなかで、より価値を上げていくことが必要です。そのため、応援したくなるアスリート像の構築や、会社全体で応援する風土の醸成などを目的として、「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」を2019年に設立しました。チームには、様々な競技のアスリート(車いすバスケットボールやデフフットサル、デフサッカー、デフ柔道、車いすバドミントン)が集まっています。

アスリートは競技で結果を出すことはもちろんですが、自分の価値を生み出し、企業や社会へ貢献するためのマインドと活動も大切だと思います。当社ではこれまで、学校や地域においてパラスポーツの体験会を実施するとともに、サッカー大会などで、デフフットサル体験会を実施してきました。

また、昨年には人気スポーツブランド「Soccer Junky」(サッカージャンキー)とパートナーシップを締結し、パラスポーツの裾野を広げる活動も実施しています。

社内においても、階層別研修や新卒内定者に向けて、パラアスリートがメッセージを発するなど、積極的に講演を行っています。こういった活動を重ねることで、アスリート社員にも自覚が生まれるとともに、アスリート以外の社員のモチベーションやエンゲージメントも向上し、定着に繋がっています。

今後も多様性を広げるとともに、よりよい働き方を実現していきます。

トークセッション「パラリンピック競技とデフリンピック競技の垣根を越えるための活動、スタッフの地位向上について」

【登壇者】
ケイアイスター不動産株式会社 戦略開発本部PR課 兼 ケイアイチャレンジドアスリートチーム
山本 典城氏
ケイアイスター不動産株式会社 総務部総務課ケイアイチャレンジドアスリートチーム
車いすバスケットボール・車いすバドミントン
森 紀之氏
ケイアイスター不動産株式会社 総務部総務課ケイアイチャレンジドアスリートチーム
デフフットサル・デフサッカー
岩渕 亜依氏
トークセッション画像

企業の取組事例の発表に続き、トークセッションが行われた。テーマを「パラリンピック競技とデフリンピック競技の垣根を越えるための活動、スタッフの地位向上について」とし、まずは、競技を始めたきっかけや、現在の会社に入社するまでの経緯、以前所属していた会社との違いなどについて伺った。

デフフットサル女子日本代表の監督を務めるなか、縁があってケイアイスター不動産株式会社に入社した山本氏。「これまでに所属していた会社では、監督業と仕事は完全に切り離した状態の中でやってきたが、現在は、会社の広報業務にも携わりながら、アスリートチーム専属のスタッフとして、チームのマネジメントやアスリート達と同じようにパラスポーツ普及の為の活動を行っている。」と話した。

森氏は、前職ではシステムエンジニアとしてフルタイムで働いていたという。「仕事後に練習、有給を使って大会などに参加していたが、パラスポーツを広めたいという情熱と、競技において日本一を目指したいという願いがケイアイスター不動産であれば叶うと思ったことが入社のきっかけ。」と話した。

岩渕氏は、デフフットサル日本代表の活動を経て、より競技と向き合いたいと思い、前職でアスリート雇用の設立を相談したがうまくいかず、転職を決意。「現在は、トレーニングや試合の時間をみなし労働とし、講演会や体験会などでも活動させてもらっている。頑張っているのは自分だけでなく、皆がいるという気持ちが心強い。」と話した。

次に、パラリンピック競技とデフリンピック競技の垣根を越えるための活動を始めた背景や、具体的な取組の詳細について、山本氏に伺った。

「パラリンピックに比べ、デフリンピックの知名度は低い。当社の所属アスリートの半分は、デフアスリート。体験会の依頼があれば、パラスポーツと一緒にデフスポーツも体験できるようにしている。聴覚障がい者のスポーツがあることを、より知ってもらえる取組みを積極的に行いたい。」と山本氏は話した。

続いて、デフリンピック競技の種目の認知度が低いことで、競技を続ける上で苦労したエピソードについて、岩渕氏に伺った。

「勤務先の理解や資金面で苦労することが多い。デフリンピックやワールドカップへの遠征で長期休暇を取得する際に、会社からの理解が得られず自分の有給を使って遠征に参加するチームメイトもいた。遠征資金は自己負担のため、資金的な面でも苦労している選手は多く、金銭面を理由にスポーツを諦めてしまう選手もいた。」と岩渕は話した。

2004年のアテネパラリンピックと2008年の北京パラリンピックに出場している森氏は、「オリンピック・パラリンピックの開催が東京に決まったことが、競技を取り巻く環境が大きく変化したきっかけ。以前は働きながら競技をするのが一般的だったが、現在は競技を中心として活動していくことができるようになってきた。」と話した。

続いて、スタッフの地位を向上させるための活動を始めた背景や、具体的な取組の詳細について、山本氏に伺った。

山本氏は、「マイナースポーツになればなるほど、指導者やスタッフの人手不足も深刻。スポーツ界全体を盛り上げるためには、支えるスタッフがいないと成り立たない。現場で経験した人間が役割を与えられると、スタッフの環境も改善するはず。自分がロールモデルになれるように頑張りたい。」と話した。

質疑応答では、「パラアスリートを支える活動について、所属企業からあるとありがたい支援を教えてください。」という質問に対して、山本氏は「監督やスタッフは、選手がトレーニングしている以外の時間で、チームをマネジメントするなど、やるべきことがたくさんある。国際大会に参加する際は、長期で会社を休まないといけない。もちろん、迷惑をかける分、会社に貢献できるように頑張ろうという思いは強い。快く応援して送り出してくれると、アスリートやスタッフも思い切って世界で戦えると思う。その点について、社内の理解を深めていただけるとありがたい。」と期待を述べ、本セミナーは幕を閉じた。

個人で、または企業・団体で「TEAM BEYOND」に参加してみませんか?

パラスポーツを応援する東京発のプロジェクト「TEAM BEYOND」。個人メンバーになると、大会やイベントなどパラスポーツ情報満載のメールマガジンが届く。また、パラスポーツ大会のリモート観戦 ・応援やイベント等に参加できたり、プレゼントキャンペーンに応募ができるメリットも。メールアドレスのみで簡単に登録可能。さらに企業・団体向けに3つの特典を用意。

特典1として、企業・団体のロゴやメッセージが「TEAM BEYOND」公式ウェブサイトに掲載される。

特典2として、「TEAM BEYOND」バナーロゴを企業HP(相互リンク)や名刺等に印刷して使用できる。

特典3として、企業・団体で実施するパラスポーツ関連のイベントについて、「TEAM BEYOND」のウェブページ等で告知できる。

まずは、「TEAM BEYOND」ホームページにアクセスを。

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20210407

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