支援企業・団体の声
日本航空株式会社

仕組みづくりと社員の意識の変化を
パラスポーツ支援が後押しする

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写真提供:日本財団パラリンピックサポートセンター

東京2020オフィシャルパートナーの日本航空。社会の変化に応じてスタートしたバリアフリーへの取り組みは、パラスポーツ支援へと発展。会社の取り組みがきっかけで社員の意識が変化し、ユニバーサルツーリズム実現に不可欠な推進力となっています。

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世の中の動きに応じて推進したバリアフリー

東京2020オフィシャルパートナーの日本航空株式会社。同社は現在、パラスポーツ支援として、障がい者スポーツ団体やパラアスリートのサポートをはじめ、「全国スポーツ能力測定会」の実施やパラスポーツ関連イベントへのボランティア参加など、多彩な活動を展開しています。同時に、本業においても、保安検査場をスムーズに通れる木製車いすや、より多くの人にも聞こえやすい音を出す「ミライスピーカー」を空港に導入するなど、多様な旅行者を受け入れるための対応も急ピッチで進めています。

「当社の目標の一つは、すべてのお客さまに旅を通じた楽しさ、豊かさをお届けすることであり、移動にバリアを感じている方々にも旅を楽しんでいただく、いわゆるユニバーサルツーリズムの実現です。今でこそ、パラスポーツ支援を通じて社員の意識が向上し、よりお客さまの立場に立った対応が進められる、というサイクルができあがりつつありますが、お恥ずかしい話、最初からこのような図面を描き、計画を立て、実行してきた、というわけではありません」

と明かすのは、同社の執行役員で、東京2020オリンピック・パラリンピック推進委員会委員長を務める下條貴弘氏です。

同社のバリアフリー対応の起点は、世の中の動きに応じたことにあると、下條氏は説明します。道路交通法の改正(1970年代)や国際障害者年(1981年)、米国航空アクセス法の施行(1986年)などに伴い、1986年、一部機材に車いす用トイレを設置。以来、障がいがある方や病気やけがをしている方の相談窓口「プライオリティ・ゲストセンター」を日本で初めて開設したり、赤ちゃん連れや妊娠中のお客さま、高齢者の方の搭乗をサポートする「JALスマイルサポート」を開始するなど、少しずつ体制を整えてきました。

その同社がパラスポーツに関わるきっかけとなったのは、2005年の公益財団法人日本障がい者スポーツ協会(日本パラリンピック委員会)とのオフィシャルパートナー契約の締結です。以後、選手個人や競技団体へサポート対象を拡大。パラ選手団の移動と、それに伴う非常に多くの用具や荷物の輸送で経験を重ね、知見を蓄えていきました。

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全国各地での社員の巻き込み

2015年に東京2020オフィシャルパートナーとなったことをきっかけに、大会の盛り上げにも貢献しようと、同社は「パラスポーツの普及」を掲げます。本業でのパラスポーツ支援が進んでいただけに、こちらもスムーズに運んだのではとのイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはなかったと振り返るのは、コミュニケーション本部の佐藤好さんです。

「仕事としてパラアスリートや用具の輸送に関わっている社員は大勢いましたが、それとパラスポーツの普及とは必ずしも結びつかなかったようです。私たちが進めようとしていることと、現場の社員たちの意識の間にギャップがあるように感じました」(佐藤さん)

北海道から沖縄まで、全国にいる社員全員に等しくパラスポーツに関心を持ってもらうにはどうしたらよいか――。アイデアを求めて他社のオリンピック・パラリンピック担当者などから情報を収集。そして、各地で渦の中心となってリーダーシップを発揮してくれる社員を募集。

「各組織の中心となってパラスポーツの普及に取り組む社員が各地区に存在し、みんなボランティアで活動してくれています。仕事を通じてパラアスリートや障がいのあるお客さまと接する中で課題を感じ、この活動を通じて何かを得たいとの思いが強い人が少なくありません」(佐藤さん)

全国各地でボッチャ大会を開催したり、近隣で開催されるパラスポーツイベントに同僚を誘って参加したりと、積極的に活動しています。また、定期的に報告会を開催して情報共有と意見交換を行い、それぞれが次の活動の参考にしているそうです。

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これとは別に、佐藤さんの部署でも社員参加型の企画を精力的に発信。専用サイトを通じて、同社が協賛・支援をしているパラスポーツ大会などへのボランティアや観戦を呼びかけ、多くの社員が参加しています。

「昨年10月に開催された車いすラグビーワールドチャレンジ2019では、ボランティアに約40名、観戦に約150名が集まりました。2019年度の初めに『「応援に行こう」「応援をしよう」プロジェクト』を立ち上げ、早々に告知したことや、JALが一丸となって応援することを打ち出すため、お揃いの赤いウェアと専用の応援席を用意することをアピールしたのが功を奏したと思います」(佐藤さん)

こうした活動を通じて、社員の意識にも変化が表れていると言います。

「ボランティア活動を通じて他社の方と接する機会が増え、視野が広がったという社員もいます。また、当社が競技団体をサポートしているからこそできる活動であることから、JALブランドの再認識や帰属意識の醸成にも役立っていると思います。さらに、パラスポーツへの理解も進んでいて、健常者も一緒に楽しめるスポーツということをもっと広めたい、社内で何ができるのか考えたい、といった声も届いています」(佐藤さん)

「社外でのボランティア活動を通じて、より多くの社員がより広範囲でパラスポーツや障がいのある方と関わる機会が増えています。参加した社員には来てよかったと思える経験、心のギフトを持ち帰ってもらいたい。そのためにも、企画が大切だと思っています」(下條氏)

こうした活動への手ごたえを感じる一方、課題もあると佐藤さんは語ります。

「今後は、まだパラスポーツに触れたことがない人の巻き込み方も考えていかなければと思っています。そういう意味では、パラスポーツと音楽の融合イベント『Para Fes2019』(日本財団パラリンピックサポートセンター主催)の運営ボランティアのように、いろいろな角度からパラスポーツのすばらしさに触れられるイベントへの参加を促すことも大事になると思います」(佐藤さん)

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社員の意識の変化が
企業活動を進める力になる

パラスポーツ支援を通じて生じた多様性への理解や意識の変化は、次のステップとして仕事や職場へ良い形で還元させたり、企業活動の活性化につなげたりしたいところです。そして同社は、まさにその段階へと進んでいます。

「2012年から開催している社内の報奨制度『JAL Awards 鶴丸賞』では、2017年に初めて、障がいのあるお客さまへの対応事例が受賞しました。以来、年々、応募数も受賞数も増えています。これは、社内の各所からお客さまが飛行機をご利用になる際のバリアを減らそうという動きが生まれている表れだと考えています」(下條氏)

同社の飛行機や提携カードの利用で貯めたポイント「JALマイル」を競技団体に贈ることで次世代アスリートの活動を応援する「JALネクストアスリート・マイル」も社員の提案から生まれた企画の一つ。お客さまの関心も高く、特にパラスポーツへの支援が集まっています。

同社では、移動にバリアを感じている人の旅行者数を2017年から2020年までの間に1.5倍以上の年間20万人に増やす計画を立て、それに応じた需要創造や人財育成といった取り組みを進めていますが、その大きな推進力となっているのも、社員の意識の変化です。

法整備を含めた世の中の仕組みの進展に会社が対応し、社員の意識が変化し、それがよりお客さまの立場に立った会社の対応へとつながる――。同社ではこれがサイクルとして回るようになってきていると、下條氏は手応えを感じています。そして、このサイクルを作るうえでポイントとなる社員の意識の変化を後押ししたのが、パラスポーツとの関わりだったと言います。

「こうしたサイクルは業種や業態、企業の規模などによって千差万別でしょう。また、この取り組みには完成形はありません。ですから、まずはいろいろと試してみることが重要で、それが結局、成果を得る近道になるのではないかと思います。また、このサイクルは大きく長く回すことも大切です。そのためにも、今後も一つ一つの事例を見逃すことなく、社内で広く共有し、社員の意識を高め続けていきます」(下條氏)

日本航空株式会社
担当部署 カスタマー・エクスペリエンス本部
ブランド戦略・東京2020オリンピックパラリンピック推進部
所属人数 15名
住所 東京都品川区東品川二丁目4‐11野村不動産天王洲ビル
URL https://www.jal.co.jp/
https://www.flyforit.jp/
  • 観戦会 観戦会
  • 体験会・講習会 体験会・講習会
  • ボランティア ボランティア
  • 協賛 協賛
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