支援企業・団体の声
ケイアイスター不動産株式会社

自社でパラアスリートチームを結成して情報発信
選手・スタッフ雇用のロールモデルに

戸建分譲をはじめとする総合不動産事業を手がけるケイアイスター不動産株式会社。同社ではただパラアスリートを雇用するだけでなく、パラアスリートチームの運営、スタッフの採用、地域社会への貢献活動などを積極的に行っています。その取り組みは、従来のアスリート雇用のあり方とは異なる、企業もパラアスリートもWin-Winとなる新たなモデルを展開しています。

社内でパラアスリートのチームを結成して、地域貢献と融合

ケイアイスター不動産株式会社は、豊かで楽しく快適なくらしの創造を目指す、「豊・楽・快(ゆ・た・か)創造企業」という経営理念のもと、分譲住宅、注文住宅の企画・施工・販売を行っています。首都圏を中心に1都11県に展開し年間4,153棟の販売実績を持ち、『高品質だけど低価格なデザイン住宅』は多くの人々に選ばれています。

さまざまな事業を展開する同社が力を入れていることの一つにスポーツ振興があります。特にパラアスリートチーム「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」による地域貢献活動です。

取り組みの経緯について説明するのは、総務部 統括部長の小林修さん。

「企業の責務として障がい者の法定雇用率があります。当社では雇用率のためだけでなく、ぜひパラアスリートを採用する形でその人や環境を応援していこう、という流れになったのがきっかけです」(小林部長)

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ケイアイスター不動産がパラアスリートの採用活動を開始したのは2015年のこと。まだパラスポーツの認知度は決して高くない頃です。そして従業員数の増加にともない、パラアスリートの雇用数も増えてきた2019年に「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」は発足しました。

その活動について語るのは、総務部 総務課 係長の柿崎真奈さんです。

「当社のスポーツ振興で最も力を入れているのが『ケイアイチャレンジドアスリートチーム』です。アスリート8名を正社員として雇用し、練習や試合の合い間に、パラスポーツを知ってもらう活動などを行っています」(柿崎係長)

メンバーは車いすバスケットボール選手3名(うちパラバドミントン兼任1名)、デフフットサル/デフサッカー選手4名、デフ柔道選手1名という構成で、偶然にも所属アスリートのほとんどが団体競技の選手です。それらの縁もあって、同社の選手が所属する車いすバスケットボールチームやデフフットサルチームのスポンサーを務めたり、スポーツブランド「サッカージャンキー」とのパートナーシップ契約を結んだりといった形での活動を行っています。

また、本社のある埼玉県の学校を訪問しての体験会や車いすバスケットボール大会を主催するなど、地域に根差した取り組みにも積極的です。

「当社は『日本一の憧れの会社になる』というビジョンを掲げています。会社は埼玉県本庄市にて事業をスタートして、東証一部に上場するまでに至りました。だからこそ本庄に恩返しをしたい。単なるCSRのための取り組みではなく、本当に意義のある貢献活動をしたいという想いがありました」(柿崎係長)

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もともとケイアイスター不動産は、本社を構える埼玉県本庄市において、数々のジュニアサッカー大会やミニバス大会などを主催。スポーツを切り口とした地域支援をしていました。近年ではその取り組みに、パラアスリートたちによる認知拡大の活動をプラス。本庄市の市長がイベントに参加するなど、地元との関係性も良好です。

積極的な情報発信で、社内認知もアスリートの意識も変化

パラアスリートを雇用する企業はあっても、ケイアイスター不動産のように独自のアスリートチームを結成して活動する企業は多くありません。このオリジナリティあふれる取り組みが生まれるまでには、どのような背景があったのでしょうか。

「アスリート雇用を開始した当初は、文字通り“ただ雇用していた”だけの状態でした」(柿崎係長)

当時は社員の間でも、在籍しているパラアスリートの存在はあまり知られておらず、その競技についても知らない人が多かったそうです。一方でパラアスリート側も、ケイアイスター不動産がどういう会社か知らずに雇用関係を結んでいたのが実情でした。その結果、より良い環境を求めて他の会社へ移った選手もいたりと、定着率が悪くなってしまいました。これでは、本当の意味でのスポンサーシップではありません。

「アスリートに会社のことを知る機会を持ってほしかったし、アスリート側から社員への発信をしてほしいと考えていました。そこで発足したのが、『ケイアイチャレンジドアスリートチーム』です。応援したくなるアスリート像の構築、企業全体で応援する風土の醸成などを目的として、チームは結成されました。社員の目に触れる場所にどんどん出して、パラスポーツに接する機会を設けました」(柿崎係長)

応援したくなるアスリート像の構築、企業全体で応援する風土の醸成などを目的として、「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」は結成されました。

スタートダッシュが肝心ということで、2019年4月のチーム発足から間もなく、積極的なパラスポーツを知ってもらう活動を開始。社内報の連載や、従業員向け研修での講演活動、食事会の開催などを経て、社員たちとの関係性を築いていきました。現在では「もっと関わりたい」「興味がある」といった声が社員から多数寄せられるようになり、デフフットサルW杯の壮行会が会社を挙げて開催されるなど、社内での認知度は確実に高まっています。

これらの活動は、パラアスリート側の心理にも変化をもたらしました。ケイアイスター不動産に在籍するアスリートのひとりでデフフットサル・デフサッカー女子日本代表の岩渕亜依選手も、フットサルチーム「early.f.t」に所属しています。

「以前の会社では、日々の仕事をしながら選手として活動していて、講演をする機会なんてほとんどありませんでした。ケイアイスター不動産での講話を通じて、あらためて自分自身を知る機会にもなったし、気持ちと向き合うことができました。勤務時間や給与などの人事制度面はもちろんのこと、メンタルな部分でも、ケイアイスター不動産に入社して良かったです」(岩渕選手)

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「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」に所属する選手は競技こそバラバラですが、全員でコミュニケーションを取りながら活動しています。講演などの活動以外の時間は、競技に専念できるので、競技者としても優れた環境が用意されているといえるでしょう。

「チーム結成の背景には、『パラアスリートのことをもっと知らないといけない』という想いもありました。アスリートはアスリートである以前に人間で、人としての彼ら・彼女らを理解することが大事です」(柿崎係長)
選手として活動するための支援も必要ですが、会社としてセカンドキャリアを一緒に考えたり、会社や社員のことを知ってもらう機会を増やしたりといった「人と人とのつながり」を大事にしていると、柿崎さんは言います。

そうすることで、ひとりの会社員として愛社精神が芽生え、自然と「会社に対して何かしたい」という想いが生まれます。その結果、企業もパラアスリートもWin-Winの関係性が構築されていくのです。

デフスポーツの認知拡大、支援スタッフの地位向上など独自の取り組みも

ケイアイスター不動産では、次々と新しい試みを計画しています。そのひとつが、パラリンピック競技とデフリンピック競技の垣根を越えるための活動。パラリンピック競技に比べて、デフリンピック競技の世間での認知度はそう高くはありません。柿崎さんは、そこに課題感を抱いています。

「新型コロナウイルスの影響もあり、体験会の開催には限界があります。当社では選手がSNSで手話動画を配信するなど、デフリンピック競技のPRを推進しています。今後はYouTubeでの配信など、『チームを作っていること』を強みとして、情報発信を強化していきたいと考えています」(柿崎係長)

もうひとつの取り組みが、選手をサポートするスタッフの環境改善。

「当社ではアスリートだけではなくて、関わる人たちのサポートもしていくことを目指しています。PR課所属の山本がその一例ですね。アスリート専属、チーム専属のスタッフにも、それをライフワークにできるような環境を用意していきたいと考えています」(柿崎係長)

戦略開発本部 PR課の山本典城さんは、「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」のマネジメントや企画などを行っていますが、その一方で、デフフットサル女子日本代表監督としての顔を持っています。同社に在籍することで、しっかりとスポーツにエネルギーを注ぐことができています。

「パラアスリートを雇用して、その活動を軌道に乗せるには、プロフェッショナルな知識を持ったスタッフの存在が欠かせません。アスリートを支えるスタッフも、自らの価値を高めていけるような環境が必要です」(山本さん)

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山本さんは約8年間のデフフットサル監督経験を通じて、選手たちの環境に輪をかけて、携わるスタッフの置かれている環境が厳しいことを知りました。マイナーなスポーツになればなるほど、指導者やスタッフの人手不足は深刻です。だからこそ、スタッフの地位向上は重要な課題なのです。

「課題への答えのひとつが、当社の取り組みだと考えています。企業での役割、スタッフとしての役割を果たしながら、パラスポーツ振興にも注力できる。私がロールモデルとなって、もっと情報発信していければと思います」(山本さん)

選手だけでなくスタッフの環境も良くすることが、パラスポーツの普及や発展にもつながっていくのは間違いありません。アスリートチームによるPR活動や、スタッフの環境改善など、他社ではなかなか見られないケイアイスター不動産独自の取り組みに、これからも注目です。

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ケイアイスター不動産株式会社
担当部署 担当総務部 総務課
所属人数 25名
住所 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館17階
電話 (本社)0495-27-2525
(東京本社)03-6551-2502
URL https://ki-group.co.jp/
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20210112

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