支援企業・団体の声
株式会社エフピコ

社内におけるフロアホッケー競技人口が約600名
全日本大会のスポンサー&運営支援も

食品トレー容器メーカーのリーディングカンパニーである株式会社エフピコ。同社ではグループを挙げて障がい者雇用を積極的に推進しているだけでなく、年齢や性別、障がいの有無に関わらず楽しめるユニバーサルスポーツであるフロアホッケー大会の運営や、自社でチームを結成しての競技活動といった、パラスポーツ振興にも取り組んでいます。

約600名の社員が各地のフロアホッケーチームに所属

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スーパーマーケットの食品売り場などで使われる食品トレー容器。この国内ナンバーワンメーカーがエフピコです。同社ではトレーのリサイクル事業も推進しており、お店の店頭などで見かける使用済トレー回収ボックスで回収したトレーを再びトレーにリサイクルしています。

そんなエフピコグループは、障がい者の雇用率がきわめて高いことも特徴のひとつ。民間企業における障がい者の法定雇用率が2.3%であるのに対して、エフピコの雇用率は12.7%(2021年3月)にのぼります。

主に雇用されているのは知的障がいのある方々で、同社の“基幹”となる業務に携わっています。例えば食品トレー容器をリサイクルする際、回収してきたトレーを白色のものと色付きのものに選別する業務。リサイクル原料の品質を左右する、とても重要な工程です。ほかにも容器の成形、組立、検品、包装など主力製品の製造工程において、彼らは欠かせない役割を担っているのです。

エフピコで課題に挙がっていたのが、障がいのある社員とない社員の間でコミュニケーションの機会がとりにくいこと。

そういった中で、同社がパラスポーツ振興に取り組むきっかけになったのが、細川佳代子氏(NPO法人スペシャルオリンピックス日本名誉会長。夫は元内閣総理大臣の細川護煕氏)の存在。細川氏からエフピコの佐藤守正代表取締役社長に、フロアホッケーを勧めていただいたのが始まりでした。

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スペシャルオリンピックスの正式競技であるフロアホッケーは、直径20cmの穴の空いたパックをスティックで操り、相手側のゴールに入れるスポーツです。

最大16名で1チームなのですが、試合に出るのは1名のGKと5名のフィールドプレーヤーの計6名。1ライン(3分間)ごとに選手を交代しなければいけないルールがあります。監督がバランスを考えながら、試合展開に合わせて全員を出場させる、戦略性の求められるスポーツであるとともに、障がいの有無に関わらず、共に参加できるスポーツです。

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「激しく動く人、あまり動かない人など、一人ひとりの個性をチームで活かせること。また、“補欠”のいないスポーツであることもフロアホッケーの素晴らしさです。」

エフピコのパラスポーツ振興について、そしてフロアホッケーの魅力について説明するのは、株式会社エフピコの西村公子常務取締役です。

同社がフロアホッケー振興をスタートさせたのは2010年。現在では9つの拠点で13チームが活動するまでにコミュニティは成長。どれも健常者と障がい者の混成チームで、約600名もの社員がフロアホッケーを楽しんでいます。

エフピコは自社内でフロアホッケーの活動を行うだけでなく、競技そのものの盛り上げにも一役買っています。「エフピコ杯」と銘打たれたフロアホッケー全日本競技大会、ユニバーサルフロアホッケー西日本大会をスポンサーとして支援をしたり、大会運営に多くのエフピコグループ社員がボランティアとして参画しています。

2020年、2021年の全国大会は残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいましたが、2022年以降の再開が期待されます。

スポーツを通じて“当たり前の”コミュニケーションを醸成

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全国で社として600名もの競技者を輩出し、全日本大会のサポートまで行っているエフピコ。なぜフロアホッケーを、社内でこれほど大きなムーブメントにできたのか。その取り組みについて説明するのは、エフピコ商事株式会社の福重宏敏執行役員です

「ある日、(株式会社)エフピコから『東京のチームを立ち上げてほしい』と突然言われまして。その当時はフロアホッケーという競技すら知らなかった状態です。」(福重執行役員)

全くのゼロから、東京や千葉の拠点での選手集めをスタート。日本フロアホッケー連盟に協力してもらいながら、インストラクターの資格を取ったり、チームとしての競技スキルを高めていきました。そこから徐々に活動の幅を全国に広げていったそうです。

日本フロアホッケー連盟から全日本大会の協力を要請されたのもこの頃。全日本大会ともなると、かなりの手探りの状態だったそうです。

「大会運営ボランティアを社内から集めるのは大変でしたね。」(福重執行役員)

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社内の協力者たちの支援を得ながら、最初のうちは地道に展開していったとのこと。現在では80~100名くらいのボランティアを社内から集められるようになりました。

社内を巻き込むうえで、特に福重氏が意識しているのは、新入社員や若手社員へのアプローチです。

まずは障がい者雇用について詳しく知ってもらうことから。自社の主要製品である食品トレーは、リサイクルして何度も利用できます。ただそれは、障がいのある社員が従事している選別業務がないと成立しません。同社では知的障がいのある方を「法定雇用率を守るため」という理由で雇用しているのではありません。基幹労働力として経営の成り立つ雇用を進めているのであり、この企業としてのリアルな姿を、新入社員のうちからしっかりと理解してもらうことは重要です。

そしてもう一つのアプローチが、実際にコミュニケーションを取ってみてもらうこと。フロアホッケーで同じチームとしてプレーしたり、運営ボランティアとして参加することで、コミュニケーションを取る機会が生じます。するとお互いの壁は自然と消え、障がいのない社員にとって「壁は自分たちが勝手に作っていたのだ」と気付くことができる機会となります。

「何もない中で面と向かって話すのではなく、一緒にフロアホッケーのパス練習をすることから始めたので、コミュニケーションは非常にスムーズだったと思います。」と、福重氏は語ります。

オフィスと工場が別の拠点になっているエフピコでは、事務系の職種の社員と、工場勤務の障がいのある社員との接点はそこまで多くありません。実際に接してみることで、社員の皆さんの意識も変わっていったそうです。

「何かをしてあげないといけない」のではなく、障がいの有無に関わらず、誰かが重い荷物を運んでいたら、代わりにドアを開けてあげる。そんな当たり前の気遣いに変わっていくことを、フロアホッケー振興の取り組みを通じて、西村氏は実感しています。

「人間として、それぞれの弱点をカバーする。フロアホッケーはまさにそういう気持ちになれるスポーツだと思います。そしてこの経験は、社員たちが社会生活を営むうえでも活きてくるはずです。」(西村常務取締役)

一方で障がいのある社員から見ても、これまでの限られたコミュニティの外に出て、さまざまな人たちとコミュニケーションを取ることは良い刺激になりますし、楽しんでスポーツすることでストレス発散や気分転換にもなると、プラスの声が挙がっているそうです。

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コロナ禍でもパラスポーツ振興を絶やさないために

コロナ禍により、フロアホッケー活動はなかなかスムーズに進まないのが現状です。チームメンバー全員が集まって練習することは難しく、大会も中止になってしまいました。とはいえ、エフピコではフロアホッケーへの想いを絶やすことなく続けていくための活動を検討しています。

例えば、社内の広い会議室を使って、密にならないように新入社員向けの体験会を実施したり、東京オフィスのある新宿区の体育館を借りて体験会を実施するなどの企画案が挙がっているとのこと。

コロナ禍が明けた時に備えて、競技大会の開催も少しずつ準備を進めています。本社のある広島県福山市には、ネーミングライツを取得した「エフピコアリーナふくやま」が2020年にオープン。ユニバーサルフロアホッケー西日本大会の会場となる予定です。

福重氏は、パラスポーツ振興を検討している企業や団体に向けてのアドバイスとして、「いかに味方を増やすかが重要です」といいます。

パラスポーツ振興活動に賛同してくれて、実際にアクションを起こすまでに至る仲間は、最初のうちはそう多くないかもしれません。それでも、自分一人で抱えてしまうのではなく、わずかな協力者でも、その人たちとじっくりと取り組んで、徐々に展開していくこと。エフピコの事例は、その重要性を改めて教えてくれます。

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株式会社エフピコ
担当部署 東京地域フロアホッケー推進チーム
所属人数 事務局14名、この他ボランティア多数
住所 東京都新宿区西新宿6-8-1 新宿オークタワー36F
電話 03-5320-0717
URL https://www.fpco.jp/
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  • 協賛 協賛
  • ボランティア ボランティア
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