支援企業・団体の声
サントリーホールディングス株式会社
未来を担う若者と共創する
パラスポーツの魅力発信プロジェクト
飲料を中心に多角的な事業を展開するグローバルカンパニー、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)。同社は芸術・文化・学術、スポーツ、社会福祉の分野を中心に社会貢献活動にも力を入れており、2014年にはパラスポーツを「チャレンジド・スポーツ」と捉え、「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」を創設。さらに昨秋からは大学生とともにパラスポーツの魅力を発信する「パラスポデザインカレッジ」を開始するなど、パラスポーツの国内振興に対して様々な取り組みを展開しています。
原点にあるのは「やってみなはれ」と「利益三分主義」
「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」創設の原点には、同社創業時より受け継がれる2つの精神が関係しています。1つめは「やってみなはれ」という、現状に満足せず挑戦する心。もう1つは「利益三分主義」。事業で得た利益は、自社への再投資にとどまらず、取引先への還元や社会貢献にも役立てようという考え方です。
このチャレンジ精神と社会貢献への想いから「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」が誕生。アスリートや競技団体への奨励金、チャレンジド・スポーツ体験イベントの実施や、一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)と車いすバスケットボール日本代表のオフィシャルパートナーを務めるなど、「チャレンジド・スポーツ」の魅力を伝え、競技の裾野を広げる活動に幅広く取り組んでいます。
そのうえでもう1つ欠かせないのが、2004年に一般社員としてサントリーに入社し、3大会連続のパラリンピアンとなった谷 真海選手の存在です。谷選手を応援しながら、パラスポーツの活動の難しさや課題を肌で感じると共に、一方でパラスポーツの価値を全力で発信していきたい。この想いも、サントリーがパラスポーツを支援する原動力となっています。
人と人の輪を広げることに注力して活動
「パラスポーツを軸に、障がい者の方がスポーツを通じて困難を乗り越えたり、生きがいを見つけたり。そして、スポーツをきっかけに社会へ挑戦する機会を得られるようお手伝いをしたいと考えています」
こう話すのは、同社CSR推進部の榎 悠里さん。「パラスポデザインカレッジ」を現場でとりまとめる中心者でもあります。
「『サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト』は東日本大震災復興支援の一環としてスタートしたこともあり、岩手・宮城・福島県で活動するアスリート・競技団体への奨励金や、車いすバスケットボールチームのサポートも行っています。また、谷は宮城県気仙沼の出身でもあり、彼女と一丸となって岩手・宮城・福島県でチャレンジド・スポーツの体験教室を開催するなどの復興支援も行っています」(榎さん)
榎さんは、チャレンジド・スポーツの支援活動に携わる中で、車いすへの理解や使い方のサポートなども、一般向けに広く行っていると言います。
「例えば、健常者の方にも車いす操作のコツや、利用される方へのより良いサポート方法を知っていただくための車いす操作導入教室も開催しています。こちらは、車いす操作指導の国内第一人者である橋本大佑さんを招き、岩手・宮城・福島県を中心に各県の障がい者スポーツ協会と一緒に行っています」(榎さん)
榎さんと同部署のCSR推進部で課長を務める橋爪 崇さんは、車いすの操作指導を推進する理由を教えてくれました。
「聞けば、病院などにおける車いすのリハビリ期間が短くなっており、操作に関して伝え切れていないという課題があるとのこと。そこをしっかり穴埋めできるよう、介助する方々への育成を始めました。なお、リアルな声も共有したいので、障がいを持つ方にも参加していただき、いっそう相互理解を深められるようにしています」(橋爪さん)
車いすバスケットボールとの連携においては、各種学校に地元の選手を招いて子どもたちへの体験教室を開いたり、売上金の一部が支援金になる自動販売機を設置したり。また種目は問わず、競技用具の寄贈や施設改修に協力したり、様々な競技を親子で体験するチャレンジド・スポーツ教室を実施したり。
ダイバーシティ社会の実現への寄与を目的とした「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」。現在は岩手・宮城・福島県を中心に展開されていますが、今後は活動エリアを全国に広げることも視野に入れて展開することも予定されています。
学生との共創で夢に挑む「パラスポデザインカレッジ」
2021年10月に第1期がスタートした「パラスポデザインカレッジ」は、次世代を担う若者を共につくっていくという発想から誕生。パラスポーツを切り口に、大学生が共生社会について自ら考えアクションを起こし発信していく、1年間にわたるプロジェクトです。
学生メンバーは10名。最も多いのは大学2年生で、出身校は様々。看護や福祉、スポーツ系の学生だけではなく、一般的な4年制大学の文系、理系の学生など多種多様なメンバーが集まりました。
現在は車いすバスケットボールを中心に、大学生自身が試合のLIVE配信やアスリートインタビューなどを行い、様々なコンテンツを継続的に発信していく企画が進められています。
発足の原点にあったのは、「共に」夢に挑もうという想い。ダイバーシティ社会を迎えた今、これからの未来を担う若者と一緒にアスリートのサポートをすることで、パラスポーツのより良い未来を創造できるのではないか。その理念で集まった学生たちの熱意は、榎さんや橋爪さんの想像を超えていたと言います。
「私たちが鼓舞されることもあるぐらいですね。学生さんから選手に行うインタビューにも同行しますが、物おじせず積極的に質問してくれますし、驚きとともに嬉しさを感じます。また、本音で語り合うからこそ選手との一体感が生まれ、アスリートから『ぜひまた来てください』と言っていただけると、これぞあるべき姿だなと私自身感じます」(榎さん)
これまでも車いすバスケットボールの支援には携わってきたものの、プロジェクトの準備段階から大学生と共に意見を交わして行う機会はほぼなく、榎さん自身新鮮な体験であり、多くの気付きを得られるとか。
「特に学生さんがよく話すことは、周りの方々に伝えたい、大学生らしい目線でパラスポーツの魅力を沢山の方々に知ってもらえる活動にしていきたい、といったことです。自分自身だけで完結するのではなく、周りに広げていきたいという想いにも彼らの意欲の高さを感じますね。私たちも弊社社員を交流させて、その輪をいっそう広げたいと考えています」(橋爪さん)
学生たちが携わるのはLIVE配信やインタビューだけではありません。企画立案から取材交渉まで自ら行い、撮影も行います。さらにはそれらの見せ方に関しても、積極的に意見を出してくれるとか。
「自主性はどんどん高まっていて、良い経験になっていると思います。例えばホームページのデザインに関しても、『もっとカラフルなUI(ユーザーインターフェイス)にしたい』という意見がありました。それによって、これまでのクールな印象からポップなイメージに変わりますし、ロゴもUI刷新に合わせて学生さんが考えたデザインに変更しました」(榎さん)
学生が発案した企画も、内容によっては実現できないこともあります。とはいえ、できるだけ彼らの目線で考え、自由な発想で思いのたけを伝えてほしいと橋爪さんは言います。
「実現が難しい企画があってもすぐに無理というのではなく、可能性を探りつつ、自由に考え意見できるような関係性をつくれるよう意識しています。そのなかから素晴らしいアイデアが生まれるのだとも思いますし。また、企画が通った後の私たちの仕事は、全力で支援しながら想いを形にすることです。そうやって学生さんたちと共にネットワークの輪を広げ、これまでにないアウトプットを発信していきたいですね」(橋爪さん)
取材時は、日本の車いすバスケットボールクラブチーム日本一を決める国内唯一の大会「天皇杯 第48回日本車いすバスケットボール選手権大会」(※その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止)を控え、同大会に向けた活動を成功させるために全力疾走中でした。こうした大イベントも含め、一つひとつの経験を今後の活動に生かしながら、よりよいゴールへ向かえるようにしていきたいと榎さん、橋爪さんは言います。
「パラスポデザインカレッジ」は現在第1期で、その活動期間は2022年9月30日まで。今後も活動を発展させ、よりよいダイバーシティ社会を実現していくために、これからもサントリーの「やってみなはれ」は続いていきます。
サントリーホールディングス株式会社
担当部署 | CSR推進部 |
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住所 | 〒135-8631 東京都港区台場2-3-3 |
電話 | 06-6346-1131(代表) |
URL | https://www.suntory.co.jp/culture-sports/challengedsports/ |