支援企業・団体の声
東京ヴェルディ株式会社
2022.04.07

パラスポーツ体験に4000人以上が参加
自社の強みを生かして他業種との連携を深める

サッカーをはじめ、さまざまなスポーツに携わる東京ヴェルディ株式会社。クラブチームの運営や興行にとどまらず、年齢、性別、障がいの有無などに関わらずスポーツの楽しさを伝える「スポーツ&SDGs普及活動」も展開しています。

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サッカーだけでなく多種多様な種目で体験教室を実施

クラブチームの運営に加え、長年サッカースクールなどでスポーツの魅力を発信している東京ヴェルディ。そのうえで「スポーツ&SDGs普及活動」も展開し、2021年からは国際連合の正式な承認を受けて、男女のトップチーム選手や普及部コーチのウエアにSDGsロゴを掲出しています。

東京ヴェルディ普及部には、サッカーのコーチングライセンスだけでなく、障がい者スポーツ指導員の資格を持つコーチも所属しています。東京2020大会の招致が決定した2013年ごろより、もともと展開していたサッカーの振興活動だけでなく、多様なスポーツをより多くの人に伝えていこうという機運が高まっていきました。

2015年からは障がい者スポーツ体験教室がスタート。開催ホームタウンも、日野市を皮切りに立川市、多摩市、稲城市と徐々に拡大。2019年以降は渋谷区、北区、足立区と東京23区内でも活動を開始し、コロナ禍以前の年間延べ参加者数は4000人を超えるほどに広がっていきました。

2020年はコロナ禍の関係でイレギュラーな開催となったものの、オンライン版の障がい者スポーツ体験教室を開始するなどして挽回。2021年度は140回まで年間開催回数を増やすことができました。

また、障がいの有無にかかわらず、子どもたちが一緒になってスポーツを楽しむイベント「東京ヴェルディ インクルーシブスポーツフェスタ」の開催、日本ソーシャルフットボール協会と連携した交流トレーニング「東京ヴェルディ meetsソーシャルフットボール」の実施、都内の小中学校を対象に女子選手のトークショーや交流を行う「スポーツ探求学習ONLINE」など、多岐にわたった活動を展開しています。

障がい者スポーツ体験教室の種目は、サッカー、ボッチャ、チアダンス、卓球バレー、玉入れ、フライングディスクなど多種多様。より多くの方にご参加いただくために、さまざまな工夫を凝らしたとか。その内容を、東京ヴェルディで普及部コーチを務める中村一昭さんが教えてくれました。中村さんは子どもたちへの親しみを込めた「SDGsヴェルレンジャー」の隊長としても活動しています。

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「まずは、日本知的障がい者サッカー連盟さんと一緒に体験教室をしながら。次は、福祉作業所の方々に、一緒にスポーツ教室をやりませんかと声をかけていきました。ときには、福祉作業所のスケジュールに入れていただくこともありましたね。お仕事もあるのでなかなか難しい部分もあるのですが、徐々に理解をいただき、施設の方々に参加者の方を連れて来ていただくなど、協力をいただいています」(中村さん)

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福祉作業所の方々がスポーツをすることは、いいことずくめでした。定期的なスポーツ体験教室を楽しみにしたり、目標にしたり。この日を目指すことで仕事に対する意欲も向上し、また、運動をすることで健康面でもよい活動になっているとか。

足立区総合スポーツセンター内に2020年にオープンしたスペシャルクライフコートでも定期的に体験教室を開催しています。

福祉作業所から障がいの種別に関わらず、多くの参加者がダンスやボッチャを楽しみ、体験教室は笑顔であふれています。

企業のパラスポーツ支援が街を変える

中村さんは、「企業がパラスポーツ支援に関わることで街を変えられる」と言います。障がいのある方々が色々な場所へ足を運ぶことで、新たな気付きを発見できる。たとえばバリアフリーとして整備されたスポーツ施設や器具が、実際は使いづらかったなど。そういったことに対する見直しができることで、よりよい街づくりが進むのだと言います。

「市民や区民の方が、障がいのある方と一緒にスポーツを楽しむことも大切です。これによって障がいを深く知るきっかけにもなりますし、思いやりの気持ちがいっそう育まれるのではないかと思います」

そう話すのは、東京ヴェルディ普及部ディレクターの奈良彬さん。たとえば5人制サッカー体験時は、視覚障がいのある方とそれをガイドする方、両方の立場を体験してもらいます。そういった時間を通して、目が見えない人がどういう思いで階段を上っているのか、それに対してどうサポートしたらわかりやすいのか、といったことに気付くことができる。その積み重ねが、ゆくゆくはよりよい街づくりにつながっていくのです。

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「私たちとしては、企業、行政、プロスポーツの三位一体でどんどん連携していきたいですね。それぞれの自由な発想を取り入れながら取り組みの幅を広げ、いい街づくり、社会づくりにつながる活動をしていきたいと思います」(奈良さん)

長期的に活動を進めていくには、行政の協力や企業、スポーツ団体とそれぞれが協力をしながら、継続的にスポーツの機会を促進していくことが大切。まずは区市町村で障がいのある方が気軽にスポーツができる環境をつくること目標とし、いずれは島しょ部にまで環境整備を広げていきたいと奈良さんは言います。

「個人的な想いとしては、すべての方々が平等に楽しめるインクルーシブパークのような施設が増えていくといいなと思います。現状では、マジョリティーを対象とした設備が優先されがちです。それは仕方ないと思いますが、やはり平等には遊びづらいかなと。たとえば、ちょっとしたスペースで、車いすの子が乗りやすいブランコとか、ストレッチャーでも楽しめる遊具とか。そういった設備のある施設が増えて、街が変わっていけばいいなと思います」(中村さん)

スポーツの楽しさを多くの方へ届ける活動を実施

中村さんのキャリアは、千葉のサッカークラブから始まりました。もともとは選手を育てたいという想いから、サッカーのコーチとして従事。ただ、最初はクラブチーム以外の地域活動に興味はなかったといいます。

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転機は15~16年前。千葉県に特別支援学校があり、そこでサッカー教室を行ったところ、保護者から「少しゆっくりできる時間がもてるだけでもうれしいです。ぜひこの取り組みは続けくださいね」と話があったことがきっかけで、より障がいのある方々に楽しんでもらえる機会を作ろうと思ったとか。

「千葉の次は山梨のクラブチームへ行きましたが、そこでも特別支援学校で触れ合う機会があり、その後東京ヴェルディへ来ました。各地で保護者の方とお話しする中で、楽しんでもらうためには我々からまず走り出すべきだと実感しました」(中村さん)

前述したように、東京ヴェルディも積極的に特別支援学校で体験教室などを行っています。こういった活動は一般企業では難しくても、そこをスポーツクラブチームとしての強みを生かして協力したいと中村さんは言います。

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「基本的には障がいのある方もない方も、スポーツを楽しむという点では変わりません。配慮はいりますが、『なにかしなければいけない』ということはないですね。確かに私は長年コーチ業に携わっていますが、毎回学校を訪れるたびに、先生の立ち振る舞いや行動など、学びがあります。ボランティアで参加される方もいらっしゃいますし、特別な資格や経験は何も必要ないので、少しでも関わってみたいと感じたらぜひヴェルディまでご連絡いただきたいと思います。」(中村さん)

企業間交流に関して、奈良さんはTEAM BEYONDにも期待を寄せます。

「実際にお話をしてみると、考え方の近い企業さんがたくさんいらっしゃることを実感します。活動基盤が同じエリアだから提案できるというケースもありますし、企業メンバー交流会の意見交換などを通して、輪を広げていきたいです」(奈良さん)

業界の垣根を超えてスポーツを軸としたSDGs普及に貢献

東京ヴェルディは、2020年よりヤンセンファーマ株式会社とSDGsパートナー契約を締結し、「ともに未来へ Green Heart Project」をスタート。また、2021年からは東京都立多摩桜の丘学園と、株式会社エムールとの共同で味の素スタジアムに「Green Heart Room」を設置しました。

「ともに未来へ Green Heart Project」は“こころの病”と向き合う方の就労支援や社会復帰のアシストをする活動で、2020年から東京ヴェルディホームゲームでスポーツ体験、接客などの就労体験、試合観戦を楽しんでいただく機会を提供。「Green Heart Room」は当初、感覚過敏の方を対象としたセンサリールームの設置を想定していましたが、多摩桜の丘学園の先生方と準備を進める中で、感覚過敏の方だけでなく、さまざまな障がいのある方やそのご家族も対象とした部屋を目指すことになりました。

「『Green Heart Project』では、医薬品を超えてノーマライゼーション社会を実現したいというヤンセンファーマさんの想いに対して、スポーツの力でご一緒することができました。『Green Heart Room』に賛同いただいたエムールさんは寝具を中心としたインテリアの企業で、利用される方に合わせて毎回部屋の設備をカスタマイズするために商品をご提供いただいています。」(奈良さん)

部屋のレイアウトは、たとえば車いすの方向け、次は知的障がいの方向け、その次はストレッチャーの方向けに、という形でフレキシブルに対応しているとか。中村さんは、「東京発の『Green Heart Room』がたくさんのクラブチームに影響を与えて、どこのスタジアムでも、障がいのある方がスポーツ観戦を気軽に楽しめるようになったらいいなと思っています」と目を輝かせます。

各種施設や企業などと連携しながら、スポーツを軸としたSDGsの普及活動に取り組む東京ヴェルディ。業界の垣根を超えて果敢にパラスポーツ振興へ取り組む姿は、まさにファンタジスタといえるでしょう。

東京ヴェルディ株式会社
担当部署 普及部
所属人数 150名(プロサッカー選手、コーチングスタッフなどを含む)
住所 〒206-0812 東京都稲城市矢野口4015-1
電話 03-3512-1969
URL https://www.verdy.co.jp/content/school/spread/
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  • 体験会・講習会 体験会・講習会
  • ボランティア ボランティア
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20220323

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