支援企業・団体の声
株式会社GKダイナミックス
2022.10.25

パラアスリートのデザインプロデュースで
パフォーマンスと機能美を最大化

パーソナルモビリティのデザインを通じ、人の生活や文化、社会を豊かにするための提案を行う株式会社GKダイナミックス(以下、GKダイナミックス)。「人」をものづくりの中心に据え、人間と自然が共生する活力ある社会の形成を目指す。その企業理念からパラスポーツへの可能性を見出し、車いすテニスのパラリンピアンである眞田卓選手の義足カバーのデザインプロデュースなどを行っています。

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デザインの力でパラスポーツの魅力を発信したかった

GKダイナミックスが眞田選手との共同研究「Sanada × GK Dynamics project」をスタートしたのは2015年のこと。義足カバーのほか、ブランドロゴ、ラケット、車いすなどプロダクトは多岐にわたりますが、そのきっかけは同社デザイナーの発案でした。当時、同じ部署の一員だった、CMFG動態デザイン部の青木省吾執行役員が教えてくれました

「私たちは道具と身体を使って活動する悦び、それが身体を超えて新しい世界を知る驚きといった理念を掲げていますから、普段から様々なスポーツやモビリティにアンテナを張っています。その点、特に義足や車いすなど道具を活用して身体のパフォーマンスを最大化させるパラスポーツと、当社の考え方は実に親和性が高い。そして多くのパラアスリートの中でも、眞田選手のプレイスタイルなどに共感をもったというのが最初です」(青木さん)

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眞田選手は19歳の時にオートバイの事故で右足を切断されていて、日常的に義足を装着して歩いていらっしゃいます。
そのため試合での入場の際は、車いすに乗らず歩いてコート入りするパフォーマンスが特徴です。

ならば、デザイン性に優れた義足カバーを装着して入場することでいっそう注目が集まり、それが選手自身の高揚感につながるはず。そしてこのパフォーマンスをブランディングとして活用することで、パラスポーツ全体を盛り上げることができるのではないか。こうした期待から、眞田選手との義足カバープロジェクトが始まりました。

「最初はとにかく眞田選手が魅力的だなと。2015年の冬に行われた試合を観戦したあとに直接挨拶し、そこから少しずつディスカッションを重ねていきました」。そう話すのは、同社プロダクト動態デザイン部のシニアディレクター、坂田功さん。当時を振り返ると、車いすテニスをはじめパラスポーツ自体が、今ほど盛り上がっていなかったと言います。

「日本の車いすテニスは、国枝慎吾選手や上地結衣選手をはじめ世界トップランクのアスリートも多数いて、健常者テニスに負けない強豪国です。でも当時の試合会場にはそこまでの観客がいませんでした。実に残念だと思いましたね。それもあって、デザインの力で魅力を発信したいといっそう強く思うようになりました」(坂田さん)

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他競技のパラアスリートからも注目が

プロジェクトがスタートした2015年の冬は、翌年9月開催のリオデジャネイロパラリンピックまで数カ月という状況。さらにパラリンピック前の5月には「ジャパンオープン-飯塚国際車いすテニス大会」が控えており、なんとかそこまでに間に合わせたいと思いを共有していました。そうして苦心の末に義足カバーを完成させ、日の目を見ることに。

「眞田選手からのオーダーもたくさんありました。ひとつは色ですね。一番好きなのはシャンパンゴールドとのことでしたが、当社としては、リオ大会に続き東京大会で使うものですからそのストーリーを見据えたカラーリングにしたいと。そうして意見を交わす中、眞田選手自身も緑や赤は好きということだったので、日本代表を感じる、日の丸の赤を白とともに採用。シャンパンゴールドは応援横断幕のデザインに使用しました」(青木さん)

その後はニーパッド仕様の競技用車いすなども制作。一方で、パラ水泳の選手から義手を作ってほしいと連絡があったり、車いすバスケットボールの選手からも要望があったり、他競技のパラアスリートからも注目を集めていきました。

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なお、このプロジェクトは当初から眞田選手を起点に盛り上げていきたいという構想があり、2019年にはファンをより集めるためにクラウドファンディングにもチャレンジ。そこで次は眞田選手の義足開発をスタートし、クラウドファンディングサイトを通じた情報発信も行いました。

「クラウドファンディングの目的には、もちろん資金集めもあります。ただそれ以上に重視したのが、プロジェクトに賛同いただけるファンを集めること。支援いただいた方には応援Tシャツなどを返礼品としてお送りし、東京2020大会の本番はネットでの観戦となりましたが、オンラインで想いをひとつにして応援しました」(坂田さん)

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共創を積極的に生み出せる仕組みに変えていきたい

「Sanada × GK Dynamics project」をきっかけに、社内ではパラスポーツに対する理解や熱がいっそう高まったと言います。また、同プロジェクトを通して、組織のスキルアップにも。ほかにも多くのメリットがあったと、青木さんは振り返ります。

「一般的に、デザイン会社は影の存在ですので、様々なプロダクトを手掛けたとしてもデザインした企業名が表に出ることはあまりありません。その点、眞田選手とのプロジェクトは当社のデザインを外部に発信できたというのは大きかったですね。製品自体はもちろん、その背景にある当社の企業理念も伝えることができました」(青木さん)

SDGsが社会課題となる中、デザイン会社(作り手)が一方的に発信するだけでなく、第三者(受け取り手)を巻き込めたことが大きかったと坂田さんは言います。

「モノ/コトづくりをする会社としては、カーボンニュートラルなどはもちろん大切な課題ではありますが、そういった素材や機能だけでなく、何のために/だれのためになど、必要とさせるモノ/コトを必要な人と必要な分だけ生み出す。モノ/コトをつくる仕組みをそういった考え方へ変える必要があり、そういったアクションを起こしてくべきですよね。そういう考えのもと、モノ/コトのよりよい循環のため多くの人がモノ/コトづくりに参加できるオンラインサロンを2021年5月につくりました。今後は出来上がったものを一方的に提供するモノ/コトづくりのスタイルから、作り手/受け取り手が共創するといった取り組みがいっそう大切になっていくと思います」(坂田さん)

共創に関しては、オンラインサロンの取組で何かを掴めた感じがすると坂田さん。たとえば、義足のユーザーとGKダイナミックスとの取組に、デザインの面で学びたいという学生がいたり、協力したいと声をかけてきた義肢装具士の方がいたり。またはその取組を事業化したいという方が現れたり。そのうえで、自社が目指す次なる展望も教えてくれました。

「作り手/受け取り手が一緒に研究活動しながら、それをライブで世の中に発信していくような取り組みで、そこから事業につなげていく。そういったより積極的な活動からモノ/コトを生み出せる仕組みに変えていくことが当社自身の展望でもあります。それを広報や事業につなげていくのはもちろんですが、参加者や当社にとっても学びにつながります。モノ/コトづくりのコミュニティです。」(坂田さん)

波紋をつなげてダイナミックな力に

青木さんと坂田さんのふたりは、こうした取り組みを「波紋」と表現。「様々な企業と一緒にやっていきたい」と意欲を語ります。

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「パラスポーツの事業に取り組みたいけど、何をしたらいいかわからないという企業は少なくないと思います。当社がそうでしたから。でも今の私たちには、ある程度の知見が蓄積されてきました。ですので、ぜひご連絡いただけたらと思っています」(青木さん)

「強い志はもっていると自負していますが、とはいえ当社だけの力はそこまで大きくありません。しかし、たとえ小さな波紋でも数が増えていけば大きな力になるはず。こうした波紋をつなげていく取組としては、TEAM BEYONDも当社と親和性が高く、さらには動き出したのがほぼ同時期であり、運命的なものも感じます。波紋を広げて生み出す活動を、ともにやっていきたいですね」(坂田さん)

デザインの力で波紋を起こすとともに、パラスポーツの魅力をいっそう広げていく。GKダイナミックスの挑戦は、これからも続いていきます。

株式会社GKダイナミックス
担当部署 プロダクト動態デザイン部/CMFG動態デザイン部
住所 〒171-0031 東京都豊島区目白2-1-1 目白NTビル 7F
メール プロダクト動態デザイン部 sakata_is@gk-design.co.jp
CMFG動態デザイン部 s-aoki@gk-design.co.jp
URL ・https://community.camp-fire.jp/projects/view/400219
  • 技術支援製品開発 技術支援製品開発
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20221025

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