支援企業・団体の声
オットーボック・ジャパン株式会社
2023.2.9

ソウルパラリンピックから義足や車いすを無償修理、
独自イベントで下肢切断者をポジティブに

ドイツ発祥の総合医療福祉機器メーカー・オットーボックは、第一次世界大戦後の1919年に義肢装具士のオットー ボック氏がベルリンで創業。1988年のソウル大会以降は修理サービスでパラリンピックを無償サポートしているほか、義足イベント「ランニングクリニック」などもグローバルに展開しています。その日本支社、オットーボック・ジャパンに具体的な活動内容などを伺いました。

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東京大会では24カ国から106名の精鋭が結集

もともとは、第一次世界大戦で足を失った人々のために、義肢の部品を製造しケアをすることを目的として創業したオットーボック社。パラスポーツのサポートに取り組む大きなきっかけとなったのが、1988年に韓国で開催されたソウルパラリンピックです。以来、夏季と冬季のパラリンピック競技大会において、参加選手が使用する義肢、装具、車いす等の修理やメンテナンスを無償で提供してきました。

当初は4名の義肢装具士が修理サービスを提供する形でしたが、次第に規模が拡大。2005年からは国際パラリンピック委員会のワールドワイドパートナーとなり、東京2020大会では世界24カ国から106名のスタッフが集められ、22言語で対応するなど全面的な体制で支援しました。

「背景には、“人々が再び自立した生活を取り戻し、自由に活動が行なえるようになるためのサポートをする”という企業理念が、パラスポーツの果たす役割と合致していることが大前提にあります。パラリンピック自体も、社会復帰のリハビリテーションを目的に始まっていますから。当社として、社会復帰は当然のこと、目に見えない精神面での大きな支えになりたい、またアスリートを介したコミュニティーなど繋がりが作れたらという思いもあります」

そう話すのは、オットーボック・ジャパンのマーケティングマネージャーであり、義肢装具士でもある深谷香奈さん。身体障がい者の国際スポーツ大会として「パラリンピック」が正式名称になったのがソウル大会。開催が決まった際に「選手が全力を出すためにはサポートが必要ではないか」という思いから、自発的な動きで修理ブースを設けるに至ったと言います。

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「オットーボック・ジャパンの創業は1999年ですので、ソウル大会当時はアジアパシフィックエリアで韓国に最も近かったオーストラリアの支社からサポートスタッフを派遣したと聞いています。そこでわかったのが、想像以上のニーズの大きさ。反響も大きく、以来正式に全パラリンピックをサポートする方向に意思決定したのです」(深谷さん)

義肢装具士には技術とメンタルケアの力も大切

東京大会では、選手村と各会場に修理センターやブースを設置。多様なリクエストに応えるため、用意した修理部品は合計1万7300個にのぼったとか。現場では24時間緊急修理サービスにも対応し、選手の義足や車いすをはじめとする、あらゆるものを無料で修理、メンテナンス。その正確性とスピードの速さは「F1のピットレーンのようなチームワーク」とまで称賛され、パラリンピアンにとって欠かせない存在となっています。

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「アスリートにとっては、1分1秒も無駄にできません。正確さとスピードは大前提として重要ですし、パラリンピックには相応の経験とスキル、そしてパッションをもった精鋭が集められます。当然、希望者全員が参加できるわけではありませんし、サポートは名誉なこと。だからこそ、選ばれたメンバーの意識もいっそう高まり、より的確で迅速な動きに繋がるのだと思います」

そう語るのは、マーケティング部の吉田茜さん。パラリンピックをサポートする義肢装具士には、アスリートの気持ちに寄り添うとともに、安心感を与えて信頼関係を築けるメンタルも欠かせないと言います。

「パラスポーツでは、義足や車いすのフィット感などがそのまま記録に直結します。世界一を決めるパラリンピックともなれば、よりデリケートな部分と言えるでしょう。選手の神経は張りつめていますから、そのストレスを少しでもやわらげたい。ですので、スタッフには絶対の自信と、それを選手に伝えて安心させるメンタルケアも求められます。これはスポーツだけでなく、医療においてのリハビリでも同じことですので、日常業務でのユーザーさんとの接し方においてスキルの高いメンバーが参加します」(吉田さん)

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「ランニングクリニック」が下肢切断者にポジティブな力を与える

オットーボックでは下肢切断者の方にスポーツを体験し、走る喜びを感じる機会の創出を目的に「ランニングクリニック」を開催。講師にはロンドン2012大会とリオ2016大会の金メダリスト、ハインリッヒ・ポポフ氏(現在はオットーボック所属)を迎え、これまで世界各国で25回以上行われています。

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「日本では東京2020大会の招致決定を機にスタート。ポポフのほか、パラリンピックメダリストの山本篤選手を講師に迎え、2015年より開催しています。2019年からは兎澤朋美選手も加わり、さらにパワーアップしました。でもやはりポポフの存在は大きいですね。彼自身、スポーツがどれだけ下肢を切断された方々にとってプラスであるかを体感しているので、そのレジリエンス力(復元力)をより多くの方に伝えたいという思いが強いのです」(深谷さん)

2015年の初回は、8月末に3日間のプログラムを開催。炎天下の中大変だったとのことですが、1日目からやってよかったと思えるくらい得るものが大きかったと深谷さんは振り返ります。

「最初は参加者の皆さんも緊張されているのですが、ポポフがどんどん引っ張っていくのですぐに打ち解けるんです。たまに厳しいことを言ったり、激しいプログラムも行ったりしますが、その苦しさの先に達成感があり、参加される方の気持ちも解き放たれていくんですね。『こういった場所を作ってくれて、ケアしてくれてありがとう。楽しかった』と感謝していただくことも多く、サポートする私たちにとっても素晴らしい機会となっています」(深谷さん)

企業ブランディングは難しいもの。それが「ランニングクリニック」を開催することで、参加者と見学者がオットーボックの理念や想いに共感してもらえる。事実、アンケートでは「すごく好きになった」という声が多く寄せられ、「ランニングクリニック」はマーケター冥利に尽きると吉田さんは話します。

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協賛企業のおかげで日本の底力を共有できる

2022年は10月末、3年ぶりに「ランニングクリニック」が開催されました。企業では株式会社アシックスが協賛したことによりウェアを提供できました。また、過去には東京大会の関連で、パナソニック株式会社が映像機器一式を、トヨタ自動車株式会社がマイクロバスを貸し出すなど、イベントをサポート。「各企業さんと志を一緒にできることは、当社のモチベーションとしても非常に励みになりました」と深谷さん。

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「イベントとしては決して大きくはありません。とはいえ、日本はもっとできる、もっと良くなるという想いを共有できる、素晴らしい機会だと思います。東京大会後はパラスポーツに関わる部署がなくなってしまった企業さんもありますが、今回のアシックスさんのように協力してくださる企業さんもありますし、とにかく続けて盛り上げていくだけですね」(深谷さん)

実は、吉田さんのオットーボック・ジャパン入社は2021年の11月。その前までは東京2020大会組織委員会で、オットーボックのドイツ本社とジャパンとの修理サービスセンターの調整を担当していたことが現職に繋がっています。その立場から、企業との関わりについての考えを教えてくれました。

「私が『ランニングクリニック』に参加したのは先日の2022年からですが、先ほど深谷が話したように、世の中を良くしていこうというポジティブなイベントを、協賛企業の方と一緒にできている喜びを、参加して改めて実感しました」(吉田さん)

深谷さんは、協賛企業の共通認識として、「もともと東京2020大会の開催前から『オリよりパラが重要だよね』と皆さん口にしています」と言います。

「もちろんオリンピックも感動しますが、共生社会にとって大きな影響を与えられるのはパラリンピックではないでしょうか。東京大会は無観客開催ということで残念だった思いもありますが、あのくやしい気持ちを協賛企業でお互いに確認し合い、バネにして高め合うことが大切ですし、かけがえのない仲間だとも思っています。今後も各種のパライベントだけでなく、関われる機会があった際には面白いコラボレーションをしたいですね」(深谷さん)

パラスポーツとの関わりから共生社会への意識改革を

長年パラスポーツをサポートしてきた立場として、深谷さんは企業としてのメリットを教えてくれました。

「当社は常に義足や車いすの方と向き合う企業ですが、もし障がい者の方とつながりがない企業様でも、パラスポーツのイベントに参加したり協賛することで、共生社会を考えるきっかけになったり、視野や可能性が広がったり、意識改革になると思います。

障がいと言うと実感がないかもしれませんが、高齢になった時ご家族や自身が車いすユーザーになる可能性は高いですよね。そういった部分も含めて、社員の方にとって障害への意識を向けていくことは、非常に大切だと思います。当社では『ランニングクリニック』を続けていますが、そうでなく単発でもまずは1回やってみる、そしてそこから次につなげていくことが第一歩かなとも思いますね」(深谷さん)

自社で行うのが難しければ、他企業と一緒に行うという手もある。TEAM BEYONDへの思いとともに、吉田さんが期待を語りました。

当社はTEAM BEYONDに加入したばかりですが、パラスポーツを通じていっそう盛り上げていこうという連携があるのは、大変心強いです。各方面で活躍されている企業同士でパラスポーツのイベントを開催したり、盛り上げたりできることは日本の力になりますし、私たちも一丸となって協力していきたいと思います」(吉田さん)

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来年にはパリ2024パラリンピックも開催。すべてのパラアスリートを技と心で支える、オットーボックの次なる準備はすでに始まっています。

オットーボック・ジャパン株式会社
担当部署 マーケティング部
住所 〒108-0023 東京都港区芝浦4-4-44 横河ビル8F
URL https://www.ottobock.com/ja-jp
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20230209

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