Happiness with Visionの追求

参天製薬（以下、Santen）というとどんな印象をお持ちでしょうか。ご想像通り、目薬の製造販売を柱とする会社です。実際、日本における眼科分野の医療用医薬品では、トップシェアを誇ります。130年以上にわたり、目に特化したビジネスを展開してきたスペシャリティカンパニーとして、今Santenは、人々への貢献をさらに深めようとしています。「Happiness with Vision」をビジョンとして掲げ、世界中の一人ひとりが、Best Vision Experienceを通じて、それぞれの最も幸福な人生を実現する世界を創り出すことを目指しています。目の不具合を抱える患者さんのため、メイン事業である医薬品の製造と供給を通じて社会に貢献するのはもちろんのこと、人そして患者さんを中心に考えるPeople Centricity/Patient Centricityの視点で「インクルージョン（共生社会）」活動を推進しています。

Santen×ブラインドサッカー

SantenとNPO 法人日本ブラインドサッカー協会（以下、JBFA）、一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーションは、視覚障がいの有無にかかわらず誰もが当たり前に混ざり合う共生社会の実現を目指し、2020年に長期パートナーシップ契約を締結しました。”見える”と”見えない”の壁を溶かし、社会を誰もが活躍できる舞台にするという共通のビジョンを策定し、2021 年 4 月から「VISI-ONE（ビジワン）プロジェクト」として様々な活動を展開しています。

なぜブラインドサッカーなのかと不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。ブラインドサッカーは、パラスポーツの中でも珍しく、視覚障がい者と晴眼者が一緒にプレーするのが特徴で、インクルージョンの縮図がそこにあるとも言えます。また、サッカーは世界中で親しまれているスポーツで、言語の垣根を越えて、世界中の人々が特段の説明をせずとも競技を楽しむことができるものです。Santenはそこに着目し、ブラインドサッカーが共生社会を世界中に広めていくための世界共通言語になりえると考えました。晴眼者と視覚障がい者の間では、お互いを深く理解できていないことで生じる様々な課題があります。Santenでは、世界中の社員を対象に、晴眼の社員がアイマスクをして「見えない体験（ブラインドエクスペリエンス）」をする独自の研修や、子供たち向けに、視覚障がいに関する啓発活動を積極的に実施し、”見える”と”見えない”の間にある壁を溶かし、お互いの理解を深める試みを続けています。ブラインドサッカーやロービジョンフットサルといったスポーツを出発点とし、視覚障がい者にとってのスポーツ、新たな職業、イノベーションへの参画など、視覚に障がいのある方の多様な社会参画への架け橋となることも目指しています。

若い世代にスポーツをする機会を提供

Santenは、インクルージョン活動の一環として、JBFAとのパートナーシップの下、視覚障がい児へのスポーツ支援にも協賛しています。ブラサカキッズキャンプは、視覚障がいのある子どもたちを対象とした1泊2日のスポーツ合宿です。視覚に障がいのある子どもたちが、スポーツに触れ、学校以外の場で日常的にスポーツに取り組むきっかけとなる場を提供したいと、2013年7月より開催している活動です。キャンプ期間中、視覚障がい児と保護者は別々のプログラムで過ごします。保護者と離れてスポーツに触れることは、自律心を育てることにつながります。また、保護者同士をつなぐ交流の機会にもなっています。子育てにおける共通の苦労や悩みを抱える保護者同士だからこそ、意見交換会などでお互いの環境や思いなどを打ち明ける場面も見られます。

今年も、2023年3月25日（土）と26日（日）の2日間、Santenが特別協賛する「Santenブラサカキッズキャンプ 2022 in 関西」（JBFA主催）が、大阪にて開催されました。3年ぶりの開催となった本イベントは、小学1年生から中学2年生まで、全国各地から16人の子どもたちが参加。JBFA公認コーチが個々の運動能力に合ったカリキュラムを用意し、サッカーだけではなくアイススケートや釣りなどといったアクティビティも楽しみました。ブラサカキッズキャンプのコンセプトは、「出会いと再会」です。全国にいる新しい仲間、ブラインドサッカー、新しい自分、との出会いと再会の2日間。リピーターも多いこのキャンプ。来年の春も実施する予定です。

このブラサカキッズキャンプや国内外のブラインドサッカーの大会には、ボランティアとして多くのSanten社員が参加しています。パラスポーツや視覚障がいのある当事者と触れ合うことで、社員が視覚の重要性を改めて感じるとともに、Santenの企業理念を再確認する機会となっています。

眼科医療関係者にも、ブラインドサッカーを通じて視覚障がいの理解の場を提供

Santenは、JBFAとのパートナーシップの下、国内外の眼科学会でブラインドサッカーを体験する機会を提供しています。スポーツという、楽しく、分かりやすい体験を通じて、医師らが、視覚障がいのある方々に対する意識を高め、対応の仕方について考える機会となっています。また、医療関係者向けの講演会やブラインド体験会といった、地域や施設毎の理解促進の場も設けています。失明に至ると、眼科に通院することは無くなることが多いため、医師に目の不具合を抱えて生活するとはどういうことかを体験・理解してもらうのはとても重要だと考えています。

持続可能な開発目標「SDGs」の実現には、「目の健康」が深く関わっていると言われます。眼科医療へのアクセスを改善することは、SDGs17の目標のうち、「貧困削減」、「仕事の生産性」、「健康や教育」など、半分以上の目標達成に貢献するということが分かっています。Santenは目のスペシャリティカンパニーとして、これからも視覚障がいの有無にかかわらず、いきいきと暮らせる社会を目指すとともに、眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減することを追求してまいります。より詳しいSantenのインクルージョン活動については、ぜひこちらからご覧ください。