支援企業・団体の声
日本軽金属グループ
2023.01.17

有志でプロジェクトチームを立ち上げ、グループをあげて車いすラグビーを応援

社内公募により社会貢献プロジェクトチームが発足

日本軽金属グループは1939年に設立された日本軽金属株式会社などを中核とする、アルミニウムの領域で様々な得意分野を持つ会社・部門が集結した企業グループです。
順調に成長を遂げてきましたが、1970年代のオイルショックで原価高に直面。その後、当時のメイン事業だった製錬から加工分野にも進出して今日に至るまで多彩な事業領域を広げてきました。日本軽金属株式会社の八甫谷喬秋(はっぽうやたかあき)さんは、「経営陣からのトップダウンでビジネスを見出していくのではなく、従業員たちが新しいビジネスを模索してきた会社の集まりです」と社風を説明してくれました。

日本軽金属グループは多くの工場を保有しているため、以前から工場近隣で地域貢献活動をしてきました。また、社員一人ひとりが退職する際、日本軽金属グループで働けて良かったと思えるような会社にしたいという思いから、様々な社内交流活動も展開してきました。そんな中、パラスポーツ支援がスタートしたのは東京 2020大会開催を控えた2020年のこと。この年の4月に一般社団法人日本車いすラグビー連盟(JWRF)とオフィシャルパートナー契約を締結、パートナーシップを具体的に前進していくための社会貢献プロジェクトチームを立ち上げようということになり、グループ内の公募でメンバーを選ぶことになりました。

メンバーの北原由美恵(きたはらゆみえ)さん(日軽金ALMO株式会社)は、学生時代に車いすラグビーを体験する機会があり、強く印象に残っていたと言います。 社会人になってからは接点がまったくなかったのですが、 たまたまグループでスポンサーになることが決まり、「運命」を感じてメンバーに立候補したと言います。

井上尚美(いのうえなおみ)さん(日軽パネルシステム株式会社)は、チームに参加することになった経緯をこう振り返ります。
「東京2020大会のボランティアに参加したのですが、大会開催の数年前にオリエンテーションがありました。その際、偶然に会場近くの体育館で車いすラグビーの試合があったんです。その試合を観て以来、この競技のファンになってしまいました。それで、今回の公募にも手をあげました」

全5名のプロジェクトメンバーは、グループをまたいで構成されています。所属企業が違えば仕事の繁閑も様々ですが、うまくスケジュールを調整しながら活動されているそうです。

宣伝だけでは終わらない、体験型の社内イベントを企画

グループ全体で車いすラグビーを応援する機運を高めるため、プロジェクトチームのメンバーを中心に、いろいろな社内イベントを企画してきました。東京2020パラリンピックのパブリックビューイングを社員食堂で開き、まだ車いすラグビーをよく知らない社員にルールブックを配布したり、日本の対戦国にちなんだランチメニューを提供したり、親しみやすいスタイルで進めてきたとのことです。この流れは現在も続いていて、今後は、車いすラグビーの試合のアーカイブ映像を見ながらお酒を楽しむ、スポーツバー的なイベントも計画しているとのことです。

また、社員だけでなく、その家族に車いすラグビーを知ってもらうための取組も行っています。グループ社員を集めた大会の観戦会には家族の参加も受け入れています。

「初めての観戦会の参加募集で50名もの応募があったんです。これはうれしい結果でした」(北原さん)

家族を含めての参加は、グループの結束力の強化や従業員満足度の向上に繋がっていると言います。今年の8月に開催した家族に働く様子を見てもらう社内見学会では、社会貢献活動への理解とパラスポーツの普及のため、オフィシャルパートナー契約を結んだ池崎大輔選手を招き、競技用車いすでのタックル体験をメニューに加えました。

「社内見学会では、お子さんと社長の名刺交換などいろいろな社会体験をする中で、車いすに乗ってタックル体験をしたことがうれしかったというご意見がたくさんありました」(八甫谷さん)
「イベントに参加した家族の方が少しずつリピーターになってくれています。そういった声はうれしいです」(井上さん)

「大会の情報などを社内で展開するようなやり方だけでは次に繋がりません。私たちのプロジェクトでは、実際に見てもらう、車いすに乗ってもらう、というような体を使った『体験型』のイベントを意識しています」(八甫谷さん)

独自制作のハンドリムで銅メダル獲得に貢献!

車いすラグビーでは車いす同士が激しくタックルをしますが、その強い衝撃を受けて変形しやすいのが車輪の部品であるハンドリムです。ハンドリムは、車輪の外側に固定された金属の輪で、選手が車輪を動かすときに回す、車いすの心臓部にあたるものです。「日本軽金属グループらしい支援の形とは何か、我々の技術を生かして何かできないか」と考え、日本車いすラグビー連盟にもご意見を仰いだ結果、このハンドリムの制作に取り組むことになりました。

赤い円の部分がハンドリム

製造チームには、パラスポーツや、テクノロジーを活用して誰もが楽しめる「超人スポーツ」の知見がある社員もいて、グループ内の支援の輪はさらに広がっていきました。
開発と制作期間はコロナ自粛期間中だったこともあり、愛知県の工場での制作中は、実際に使用する選手やスタッフを見ることができなかったり、生の声に触れる機会がなかったり、様々な制約とそれに伴う苦労があったようです。
それでも、パラリンピックまでに完成にこぎつけ、結果として車いすラグビー日本代表の銅メダル獲得に貢献することとなりました。日本軽金属グループのハンドリムは、パイプ内部の構造を工夫することで強度を高めたもので、特許を取得しました。同グループの技術と熱意が集約した製品となっています。

「車いすラグビーで使用する車いすはそれ自体が高額ですし、私たちのグループからの高強度のハンドリムの提供は、選手の皆さんには喜んでいただいています。丈夫で壊れにくくなったという声も届いております」(八甫谷さん)

強度を高めるため工夫されたハンドリムの内部構造

苫小牧製造所の体育館を社会貢献型に全面リニューアル

日本全国に拠点を置く日本軽金属グループ。2020年9月には北海道苫小牧市の製造所にある自社体育館を全面リニューアルし、バリアフリー化を行いました。老朽化が進み、改修が必要となったタイミングで「地域社会に役立つ体育館にしよう」という会社としての決断でした。
バリアフリー化にあたって専門的な知識を持つスタッフがいなかったので、まずは地元自治体やパラスポーツ団体、車いす競技チームなどの関係者にヒアリングを始めました。最初はこちらのやりたいことが伝わらなかったり、相手が求めていることがわからなかったり、思うように検討が進まなかったようですが、何度も足を運ぶにつれて徐々に熱意が伝わり、相談に乗ってもらえるようになったとのこと。

「ここにはスロープが必要だとか、衝突防止には壁にクッションが必要だとか具体的なアドバイスを提供してくれるようになったとのことです。そのため、改修後は、そのアドバイスをいただいた車いすバスケットボールのチームが毎週使用してくれるようになりました」(北原さん)
「専門家に全てを委ねて終わりにするのではなく、現地スタッフたちは一から勉強を重ね、徐々に協力してくださる方々を増やすことで、全面リニューアルを為しとげることができたと言います。直接現地スタッフの話を聞いて初めて、大変な努力があったと知りました」(八甫谷さん)

そんな現地スタッフの真摯な意気込みに触れ、ともにパラスポーツ支援と地域貢献の輪を広げようと声をかけてくれたのが、車いすラグビーの池崎大輔選手でした。

熱い思いから生まれた車いすラグビー池崎選手との絆

きっかけは、日本軽金属グループの苫小牧の体育館で行われた講演会でした。ここに講師として登壇いただいた池崎選手が「自分は北海道出身ですし、一緒に車いすラグビーの普及と社会貢献活動をしませんか」とグループ側に働きかけてくれたんです。体育館改修に至るまでの壮絶な努力の道筋を知って感銘を受けてくださったのが理由とのことです。 2023年4月、池崎選手とのオフィシャルパートナー契約に至りましたが、これは、思ってもいなかった奇跡というべき出来事でした。
以後、新入社員研修での講演会や北海道内での学校訪問など、いろいろな活動について手を取り合って進めています。

「静岡で行われた今年の新入社員研修では、ご自身の経験、努力をすること、壁を乗り越えることなどについて熱く語っていただきました」(井上さん)

プロジェクトメンバーの皆さんは「車いすラグビーが障がいのある人だけでなく誰でもが一緒にプレーするスポーツとして発展するように普及していきましょうと、池崎選手とも話しています」と目を輝かせます。

「1000人の認知よりも熱狂的なファンが一人でも増えてほしい。そのためには、まわりを巻き込んでいく力が必要。そのためには私たちが汗をかかなくてはいけない。手弁当で頑張れる仲間がもっとほしいです」(八甫谷さん)

「自由な発想」「体験型」「参加型」を重視する日本軽金属グループの車いすラグビーの普及活動は、今も一歩、一歩着実に進んでいます。

日本軽金属ホールディングス株式会社
担当部署 社会貢献活動担当
住所 〒105-8681 東京都港区新橋一丁目1番13号 アーバンネット内幸町ビル
電話 03-6810-7180(代表)
URL https://www.nikkeikinholdings.co.jp/
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20240111

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