手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表

2020.03.13
手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表

2019年12月8日(日曜日)、町田市立総合体育館(東京都町田市)にて「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」が開催されました。
この大会は、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会とNPO法人日本ブラインドサッカー協会が2018年に新設した、国際親善大会。今回は、世界ランク13位の日本代表と世界ランク8位のモロッコ代表による試合が行われました。

TBSラジオと連携したTEAM BEYONDメンバー向けの観戦会も同時に開催され、世界レベルのブラインドサッカーの迫力に圧倒されていました。

障がいを感じさせないスピーディーな試合展開に沸く会場

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表

ブラインドサッカーは、フットサルをベースにしたスポーツで、ゴールキーパー以外は全員全盲の選手がプレーしています。試合時間は前後半ともに20分。ピッチの中には、アイマスクをした4人のフィールドプレーヤーと晴眼者もしくは弱視者が務めるゴールキーパー1名がいます。また、相手チームのゴール裏には、ガイドもしくはコーラーと呼ばれる人がゴールの位置と距離、角度を伝えているほか、自陣のサイドフェンス側にはチーム全体を指揮する監督が控えています。

この日、日本代表と対戦したモロッコ代表は、アフリカ選手権を制した強豪国。日本にとっては格上のチームです。

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表
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試合中は音を頼りにしているため、静かに応援することがルール。見えていないとは思えないシュートや競り合いに、観客席からはつい歓声やどよめきが漏れてしまうことも。あわてて口をつむぐ参加者の姿も多く見られました。

試合前半、日本は先制点をゲットし、会場は大いに沸きましたが、その後モロッコの反撃がスタート。強靭なフィジカルを駆使する攻撃陣に、あっという間に前半で3点を決められ、逆転を許してしまいます。
試合後半、日本もチャンスを作り出しましたが、なかなか得点を奪えず、結果は5対1でモロッコの勝利。モロッコの、アブデラザク・ハッタブ選手がなんと4得点を決め、この日のMVPに輝きました。

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表

白熱した試合展開にTEAM BEYONDメンバーたちは大興奮

熱い応援を繰り広げていたTEAM BEYOND席では、日本代表の選手がシュートを放つたびに「惜しい」という声が漏れ、参加者一同大盛り上がり。

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表

これまでも何度かTEAM BEYONDの観戦会に参加してきたという田島さん(男性)は、この日、初めてのブラインドサッカーの観戦。

「ボールの音だけでロングパスをピタッと止めていて、驚きました。ドリブルやシュートなど、プレーする様子は普通のサッカーと変わりませんね!自然にプレーできるようになるには、どれだけたくさんの練習が必要なんでしょう」(田島さん)と選手たちの動きに感動していました。

一緒に観戦されていた角田さん(女性)も「初めて見ましたけど、みんなかっこよかったです!」と興奮冷めやらぬ様子。

家族4人で観戦にきていた小柳さんご一家は、スポーツの応援が大好きなファミリー!この日も、大きな声援を選手たちに届けていました。

「以前はオリンピックがメインでしたが、パラリンピックにも興味を持つようになりました。子どもが学校でブラインドサッカーを経験していたこともあり、参加しました」

ブラインドサッカー経験者であるお子様は「やってみたときは難しいと思った」と話していましたが、今回、代表レベルの戦いを見てどう感じたのでしょうか?

「見えていないのに、見えている人と同じスピードだったのでびっくりしました!また観に行きたいです」とすっかり魅了された様子。

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表
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朴さんご一家は、日本財団パラリンピックサポートセンターが主催するParaFesをきっかけにTEAM BEYONDへ参加しました。

「ブラインドサッカーを見るのは初めてでしたけど、生で見ると迫力が違いますね。きっと見えている人たちよりも多くの練習をしたのでは……と想像しました。人間の可能性を感じました」(朴さんご一家)

今後もブラインドサッカーには注目していくとのこと。TEAM BEYONDの一員として、これからもぜひ、たくさん応援してください!

ブラインドサッカー元日本代表・落合啓士選手を迎えて交流会

観戦後は、ブラインドサッカーの日本代表として活躍した経験を持つ落合啓士選手をゲストに迎えて、新井麻希さん(TBSラジオ「伊集院光とらじおと」月曜アシスタント)、東塚菜実子さん(TBSラジオパラスポーツ応援リーダー)、みんなのたかみちさん(パラスポーツ大好き芸人)によるTEAM BEYONDメンバーの交流会も開催されました。

新井さんはサッカー経験者とのことで、ゲームを見る視点も本格的。通常ボールをパスするときにはアイコンタクトを使うのに、ブラインドサッカーではそれがないことでスペースが上手く活用できてなかったのかという質問が出ました。

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表
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それに対して落合さんは「今日は、モロッコにスペースを消されていて、思ったようなプレーができていなかったんです」という回答。攻撃面だけでなく、守備面でもモロッコ代表が上手だったようです。

東塚さんは5対1という結果を見て、両チームの力の差について質問。落合さんは「モロッコはスロースターターで前半ではそこまでギアが上がっていなかったと思います。1点先制されたことで、ギアが上がってやられてしまった感じです」と先制点が相手に火をつけてしまったことを指摘。

みんなのたかみちさんはMVPに輝いたアブデラザク・ハッタブ選手の大量得点に触れると、「アフリカ勢は身体能力がすごいんです。体を寄せられてバランスを崩してもシュートを打ってきましたね」と彼らの身体能力の高さを評価していました。

今、落合選手が注目する選手について聞かれると、真っ先に挙げたのは10番の川村怜選手。「どんどん成長しているので、これからの伸びしろに期待です」とのこと。次に試合中にもファインセーブを決めていたゴールキーパーの佐藤大介選手については、「見落としがちですが、彼はセービングだけでなく、ゴールから繰り出すコーチングが的確なんです。そこも聞いてほしい」と、ブラインドサッカーだからこそ大切な的確なコーチングという見どころを教えてくれました。

また、若手の注目選手として挙げていたのが、弱冠16歳の園部優月選手。なんと5歳からブラインドサッカーをやっているそうです。「代表選手の多くはみんな途中から視力を失っているので、サッカーがどのようなものか知っていますが、小さい頃から見えない人は、動きについて想像するのが難しい。それでも園部選手は飲み込みが早く、上手になっています」と期待値の高さを語りました。

手に汗握る白熱の代表戦!「ブラインドサッカーチャレンジカップ2019」日本代表vsモロッコ代表
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ブランドサッカーは試合中、静かにするのが応援のルールですが、つい試合中に声を出してしまうシーンも。そこで落合さんから、こんなアドバイスがありました。

「キーパーがセーブしたときは、まだプレー中です。『あ~』といった声はいいですが、拍手してしまうと選手にとってはノイズになるので、避けた方がいいですね。」

応援のつもりでも、選手たちにとっては妨げになってしまうのだそう。

「逆にゴールが決まったときは、もっと大きな声で騒いでもらえた方が選手のテンションがあがります。選手は、会場にどれくらいの観客がいるのか分かりません。ゴールの瞬間に、聞こえる声で数が分かるのです。」

「選手は見えない中で、ボールや相手、味方の位置などの距離感など考えながらプレーしています。そのため、試合に出場する選手は脳疲労が激しい。1試合、交代なしでフル出場するのは体力の消耗だけでなく、脳疲労も激しいのです。」とブラインドサッカー独自の解説がありました。

東京2020パラリンピックに参戦するトップ8の国々は勝ち上がって選ばれるので飛びぬけて強いとのことで、「どのようなグループ分けになるかも、見どころです。どの国も日本より強いので、どうやって準備して対策するかがカギとなります」と話していました。

参加者からの質疑応答では、「アイマスクをしているが、距離感やボールを見つけるための特別なトレーニングをしているのか」という質問が出ました。それに対して、落合さんは「距離感をつかむトレーニングで代表レベルになれるかどうかが決まる」と、距離感がブラインドサッカーの中で大きなポイントであることを示唆。代表レベルになると、距離を間違えても1m未満の範囲で収めるのだそうです。すごいですね!

観戦が2回目という女性からは「外と建物内、どっちの方がやりやすいか」という質問が出ました。落合選手は「断然外!」と即答!建物内だと音が反響するので、距離を把握するのが難しくなるのだそう。

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交流会の最後は、サイン色紙や観戦に便利なTEAM BEYONDスタジアムクッションが当たる抽選会を実施。当選した人は喜びのガッツポーズを決めていました。

ブラインドサッカーの見どころや応援方法を学んだ後は、最後に全員で記念撮影。みなさん、とても充実感あふれる表情で帰っていき、パラスポーツの輪の広がりを実感できる観戦会となりました。

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今回も多くのTEAM BEYONDメンバーに参加していただきました。あなたもTEAM BEYONDメンバーになって、全力でチャレンジする選手たちを応援してください!TEAM BEYONDへの参加をお待ちしております。ぜひ一緒に、パラスポーツを熱く盛り上げていきましょう!

20200313

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