2019年11月23日(土曜日・祝日)と24日(日曜日)の2日間にかけて、千葉県国際水泳場(千葉県習志野市)にて「第36回日本パラ水泳選手権大会」が開催されました。
本大会は、指定地域大会等で参加基準を突破した全国の選手が集まり、日本一を決定する国内最大のパラ水泳競技大会。参加者は若手からベテランまで幅広く、世界に羽ばたく日本代表選手の登竜門となっています。
大会1日目にあたる11月23日には、TEAM BEYONDメンバー向けの観戦会を実施。次々と更新される新記録に興奮した後は、ゲストによる試合の解説が行われました。
同じ泳法でも泳ぎ方は全く異なる! 驚きだらけの観戦会
観戦は午後からスタート。今回観戦したパラ水泳は、パラリンピック競技の中で唯一道具を使わない競技です。一人ひとり異なる障がいの特性を活かしながら全身を使って泳ぐ姿に、TEAM BEYONDメンバーも真剣なまなざしでプールを見つめます。「がんばれー!」「あと少し!」と多くの掛け声も飛んでいました。
2019年9月にロンドンで開催された世界選手権大会では、金メダル3個、銀メダル7個、銅メダル4個と素晴らしい記録が出ている日本のパラ水泳。今回の大会でも、次から次へと大画面に映し出される「日本新記録」「大会新記録」という文字に、会場全体が大いに沸いていました。
TEAM BEYONDメンバーたちは、パラ水泳の迫力に大感動!
観戦席の最前列で、一番大きな声を出して応援していたグループを発見。みなさん東京2020大会ボランティアの仲間なのだとか。その一人、杉浦さんは仲間に誘われたことがきっかけで今回の観戦会に参加しました。
「弟がアイススレッジホッケー(パラアイスホッケー)をしていることもあり、パラスポーツには興味があります。パラ水泳は今回が初めてですが、迫力があるなと思いました。」
杉浦さんと同じく、ボランティア活動仲間として参加していた宮崎さんも、パラ水泳は今回が初めての観戦。
「最近、ゴールボールを初めて見て、もっと他のパラ競技を見てみたいと思っていました。今回水泳を見て思ったのは、とにかく『すごい!』の一言。こんなふうに泳ぐのかと、驚きました。新記録が出ていますが、記録を抜きにしても見ていて感動できるスポーツだと思いました」
自ら取材を受けることに立候補してくれた宮崎さんの言葉からは、現場で得た感動がひしひしと伝わってきました。
次にお話を伺ったのは、5人家族で観戦に来たという高木さんファミリー。ご主人の会社でこのイベントの案内があったほか、奥様もFacebookでイベントの存在を知り、みんなで参加することにしたそうです。全員、パラ水泳の観戦は初めてとのこと。
初めて見るパラ水泳の迫力に娘さんたちは素直に感動していました。ご主人からは「パラスポーツがもっと盛り上がっていってほしい」との声も。
生き生きとしたまなざしでレースを観戦していた息子さんは、この大会を見て「泳ぎたくなった」とのこと。奥様はその発言を聞いて「ぜひ頑張ってほしい」と激励。もしかしたら将来の水泳選手が、観戦会をきっかけに生まれたかも!?
世界レベルの泳ぎを生で見ることができるのが、この大会の注目ポイント!
最後に、TEAM BEYONDメンバーと一緒に観戦していたTBSラジオパラスポーツ応援リーダーの東塚菜実子さんとパラスポーツ大好き芸人・みんなのたかみちさんにも観戦の感想を聞きました。
「日本のパラ水泳は強いので、日本の大会でも世界レベルの泳ぎを生で見ることができるというのが大会の大きなポイントですね。一人でいくつもレースに出ているのに大会記録を出している人もいて、もし1レースだけならもっと記録がでたんじゃないかと思いました」(みんなのたかみちさん)
「一人ひとり障がいが違うから飛び込み方も泳ぎ方も違うのですごいなぁと感動します。見ていると、いろいろなことにあきらめないでチャレンジしてみようと思えますし、自然と応援したくなる競技です。視覚障害がいの水泳では、タッパーと呼ばれる人が、タッピング棒という道具を使って選手にタッピング(ターンやゴールの直前に、コーチたちがプールの上から選手の頭や背中を棒でタッチして合図すること)するのですが、いつかそれをやってみたいと思いました!」(東塚さん)
思いがあふれ出てトークが止まらないお二人。最後に注目選手も聞いてみたところ、東塚さんは世界パラ水泳選手権大会で金メダルを獲得した「東海林大選手」。みんなのたかみちさんは、絞れない……と悩みながらも、「二人のバトルが、抜きつ抜かれつで、めちゃおもしろいんです!」という理由から「中島啓智選手」「山口尚秀選手」を挙げてくれました。
メダリスト杉内周作さんを迎えてTEAM BEYONDメンバーと交流会
大会ではレースが続く中、TEAM BEYONDメンバーの交流会も開催されました。登場したのは評論家の荻上チキさん、フリーアナウンサーの南部広美さん、TBSラジオパラスポーツ応援リーダーの東塚菜実子さん、パラスポーツ大好き芸人のみんなのたかみちさんの4人に加え、2004年アテネパラリンピック水泳競技の男子400m自由形リレーで銅メダルを獲得した杉内周作さんが参加。ユーモアセンスあふれる杉内さんのトークで、笑いのたえない交流会に!
杉内さんは子供の頃から水泳をされていたそうですが、20代半ば、視覚に障がいがあることが分かりました。シドニーパラリンピックの中継を見たことをきっかけに、パラリンピック出場を目指してパラ水泳を始めたのだそうです。引退した現在は、コーチを行うほか、ご本人曰く「水泳愛好家として」この日の大会競技にも参加。出場するレースのウォーミングアップのため交流会の途中で退席しなくてはならないのに、おしゃべりが止まらない……なんて場面も。
トークイベントの中で、今回の新記録続出について聞かれると「水泳は毎年レベルが上がっています。さらにクラス分けルールが変更された後ということもあり、以前の記録が抜きやすいという状況もあるのです」と解説しつつも、「ルール変更を差しおいても、若い選手が伸びています」と話してくれました。
進行役の荻上チキさんから「どんな素質のある人が選手に向いているのか」と質問された際の答えは、「障がいがあっても、それを感じさせない人」。障がいがあるからここまでしかできないと自分で線を引くのではなく、健常者にも負けないという気の強さがある人がパラ水泳の選手に向いているのだそうです。
パラ水泳は奥が深い。理解を深められる質疑応答も!
交流会の最後に質疑応答を実施しました。最初に「レースの中、泳法違反で失格というのがあったが、どういう基準なのか?」という質問が参加者から投げかけられました。杉内さんによると15mまでは潜水してOKでも、その後は体のどこか1部分でも浮いていないと失格なのだそう。特に「障がいのある体だと、沈みやすい」とのことで、失格になってしまう人も多いのだとか。厳格なルールに驚きの声も。
次は選手が付けていた黒いゴーグルについて質問が。こちらは「ブラックゴーグル」と言って、S11というレベルの選手が使うものだと言います。「全盲でもわずかに光を感じられる人もいるので、全員の光をシャットアウトするために使います。ちなみに義眼の人は、光を感じることができないので使わなくてOKです」と杉内さん。続いて「東京2020パラリンピックで出場できる選手は?」という質問には、「9月に行われた世界選手権で優勝した人など、すでに3名内定者がいます」と話していました。
そして最後は、TEAM BEYONDポロシャツやかわいいパラ水泳のキャラクター「パラッシー」のグッズが当たる抽選会を実施。
当選した人はみなさん、自分の番号が呼ばれると、嬉しそうな声をあげていました。
今回も多くのTEAM BEYONDメンバーに参加していただきました。パラ水泳の迫力を感じ、笑いの絶えない交流会を終えた後、最後に全員で記念撮影。みんなでパラスポーツを応援し、盛り上げていこうと、パラスポーツの輪の広がりを実感できる観戦会となりました。
あなたもTEAM BEYONDメンバーになって、全力でチャレンジする選手たちを応援してください!そしてぜひ一緒に、パラスポーツを盛り上げていきましょう!TEAM BEYONDの輪は、今もどんどん広がっています!