スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」

2019.11.08
スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」

2019年8月1日(木曜日)から3日(土曜日)まで、パラ卓球の国際大会「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」が港区スポーツセンターで開催されました。本大会は、国際卓球連盟(ITTF)公認の国際大会で、23の国や地域から約200名の選手が参加しました。この規模での国際大会が開かれるのは、日本で初めてのことです。東京2020パラリンピック競技大会の開催都市で開かれるということもあって、世界トップクラスの選手や2020大会の日本代表入りを目指す選手が集結しました。
選手が熱戦を繰り広げる中、大会最終日はTEAM BEYONDメンバー向けの観戦会を実施しました。

パラ卓球は、肢体不自由者卓球と知的障がい者卓球に分かれます。車いすでプレーする「クラス1~5」、立ってプレーする「クラス6~10」と障がいの度合いによってクラス分けされ、知的障がい者の「クラス11」を加えた全11クラスで構成されます。

健常者卓球と同じく、個人戦と団体戦があり、1ゲーム11点制で3ゲーム先取で勝利となるなど、基本的なルールも健常者と同じです。ただし、車いすのクラスでは「サービスがサイドラインを切ったら、サービスをやり直す」というように、障がいに応じて一部、健常者卓球とルールが異なる点もあります。

元卓球日本女子代表・若宮三紗子さんによるわかりやすい解説

スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」

今回は、TEAM BEYONDメンバー向けに、元卓球日本女子代表・若宮三紗子さんと「ブンデスリーガ」などの実況としても活躍されているフリーアナウンサー・山﨑雄樹さんによる実況解説を実施。2人は、日本の卓球リーグ「Tリーグ」でファイナルの実況解説も担当したコンビです。TEAM BEYONDメンバーは、配布されたイヤホン付きレシーバーでテンポのよい実況解説を聞きながら、試合を観戦します。

団体戦は、各国2人~3人で構成されたチームで対戦します。団体戦の第1試合はダブルス、第2試合はシングルス、そして第3試合はシングルスの順で行われ、先に2勝したほうが勝ちとなります。

実況解説1回目の試合は、男子団体戦「クラス11」(知的障がい)準決勝。日本対香港、加藤耕也選手のシングルス戦です。第1試合目のダブルスでは、加藤耕也選手・竹守彪選手ペアが大接戦を制し、良い流れをつくって第2試合のシングルス戦へ。
第1ゲーム序盤から香港の相手選手はロングサーブと強打を繰り出しますが、加藤選手は冷静に対応して、第1ゲームを11-8で勝利する順調な滑り出しです。

スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」
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若宮さん:「身体の真ん中を狙うことを『ミドルコース』と言いますが、加藤選手はコースを狙って打つのがとてもうまいですね」
第2ゲーム、相手が戦術を変えたことにより、加藤選手はゲームを落としてしまいますが、続く第3ゲーム、加藤選手は強烈なバックハンドなどで得点を重ね、勝利。ゲームカウントを2-1とリードします。そして最終、第4ゲームでは、加藤選手の「相手の裏を突く」作戦が功を奏してゲームを連取。シングル戦を3-1で勝利しました。男子団体戦「クラス11」(知的障がい)準決勝は、2-0のストレートで日本が香港に勝ちました!

素晴らしいショットが決まるたび、加藤選手の雄たけびとともに響く「ナイスボーーール!」という山﨑さんの熱い声。思わず笑みがこぼれるTEAM BEYOND席の面々。メンバーも大きな拍手を送ります。

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「ボールの高さ」も戦術の一つ。車いすの選手たちが繰り広げる頭脳戦!

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実況解説2回目の試合は、女子団体戦「クラス2~5」(車いす)。茶田ゆきみ選手はオーストラリアのディトロ・リサ・ダニエラ選手と国際ペアで出場します(チームは日本代表として出場)。タイのペアと対戦する第1試合のダブルス。

第1ゲームは、大きな振りで球を打ち込んでくるタイのペアが11点を先取します。続く第2ゲームは、接戦となるもタイに逃げ切られ、ゲームカウント0-2と追い込まれました。第3ゲームは、茶田選手が得点を重ねて勝利しましたが、第4ゲームは守りに徹したタイが粘り勝ち。この試合は、ゲームカウント1-3で惜しくも日本チームは敗れました。
「車いすの選手は、ボールの高さを戦術に組み込んでいる印象がある」という若宮さん。前後左右に動きづらい車いすならではの戦い方ですね。

卓球のダブルスで全日本選手権4連覇という偉業をもつ解説者の若宮さん。引退された今もその記録は破られていません。
若宮さん:「ダブルスはペアとコミュニケーションをとることで、1+1が3にも4にもなっていく。話し合っていかに戦術を組み立てるかが重要です」
ダブルスは2人の間に打たれたボールをどちらが取るか、判断が難しい時があるといいます。普段一緒に練習ができない国際ペアならではの難しさも知ることができました。
若宮さんの解説に加え、自身も卓球選手として活動し、卓球愛好家でもある山﨑さんから、ラケットの握り方やラバーの種類、双方の得点の合計が6の倍数のときにしか取れない「タオルタイム」など、プチ情報を組み込んだ興味深いお話もしていただきました。

スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」

目の前で繰り広げられる、迫力ある試合に感動!

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淺野努さん、美由紀さんご夫婦は、東京2020パラリンピック競技大会が決定する前から、ブラインドサッカーや陸上、カヌーなど、さまざまなパラスポーツを観戦してきたそうです。そんなお二人も、パラ卓球の観戦は今回が初めてとのこと。
淺野努さんは、「杖を突きながらプレーしている選手や義足の選手が力強いショットを打っていることに驚きました。」と言います。

「迫力がすごい。スポーツを観るとエネルギーがもらえます!」と言う川㠀廣明さんは、東京2020パラリンピック競技大会では、フィールドキャストのボランティアに応募したとのこと。“障がい者の人たちを応援したい”その思いが、パラ競技の観戦やボランティアへと川㠀さんを駆りたてています。

スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」
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2人のお子さんと一緒に観戦していた鎌倉洋樹さん。「卓球そのものの面白さも教えてくれるいい試合。日常生活で不自由があっても、選手として素晴らしいプレーができることは本当にすごいと思います」と感心した様子。親子でパラスポーツを観戦するようになったのは、娘の美波さん(小6)が、2年前の夏にパラ・パワーリフティングのリオ金メダリスト、シアマンド・ラーマン選手来日イベントに参加したことがきっかけなのだとか。美波さんは自由研究のテーマを「パラスポーツ」に決めたそうです。右実さん(小1)は、東京2020パラリンピック競技大会では「水泳を観たい!」と話してくれました。

また、この日は、大橋未歩さん(左)と猪狩ともかさん(右)も選手たちの応援に駆けつけてくださいました!
TEAM BEYONDメンバーでもある2人は、東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けて東京都が設置した、「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」のメンバーです。パラスポーツ ・バリアフリー応援大使(パラ応援大使)として活躍されているほか、大橋さんは、パラ卓球のアンバサダーとしても活躍されています。
選手それぞれの特徴を生かしたプレースタイルの違いや、白熱した戦いに、2人とも終始感激した様子で選手たちに熱い声援を送っていました。

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観客席からの声援が選手に伝わり力になる

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観戦後に行われた交流会は、若宮さんと司会の山﨑さんの息の合った掛け合いからスタート。試合を終えた男子「クラス3」(車いす)の吉田信一選手、女子「クラス11」(知的障がい)の古川佳奈美選手と美遠(みお)さゆり選手をゲストに迎え、会場は拍手に包まれました。

リオパラリンピックにも出場された吉田選手は、本大会の個人戦の予選リーグで世界ランキング3位の選手に勝ち、決勝トーナメントに進みました。惜しくもメダルには届かなかったものの、予選リーグを全勝できたことは自信につながったそうです。

古川選手と美遠選手は、女子団体戦の準々決勝で、香港チームにゲームカウント0-2から逆転して、銅メダルを獲得。また、古川選手は、リオパラリンピック金メダルの選手を破り、準決勝では、世界ランキング1位の選手とフルセットまでもつれ込む接戦で、個人戦でも銅メダルを手にしました。
若宮さん:「東京2020(パラリンピック競技大会)まで後1年というタイミングで、いい試合ができて自信が持てたというのは、素晴らしいことです。」

東京で国際大会が行われたことについて、3選手は、「背中を押してもらえる環境でできるのは、選手としてうれしいです。(吉田選手)」、「海外の試合ではここまでお客さんが入ることはなかったし、緊張しました。(美遠選手)」、「楽しかったです。たくさんの人が来てくれて頑張らなきゃと思いました。(古川選手)」と、それぞれ喜びを口にしました。そして、今後の日本代表選考に向けた意気込みも熱く語ってくれました。

TEAM BEYONDメンバーからは「パラ卓球で使用する車いすは、普段使用している車いすとどのような違いがあるのか?」「注目して観るといいポイントは?」という質問も。競技中に使用する車いすは、パラ卓球専用の車いすではなく、各自でタイヤを少し高くするなどの工夫をして、試合に臨んでいるそうです。またパラ卓球の見どころは、障がいを個性ととらえ、一人ひとりの強み・弱みを活かして真剣勝負をしているところを観てほしいとのことでした。

スピード、迫力、多彩な戦術!パラ卓球の魅力に触れた「ITTF PTT ジャパンオープン2019 東京大会」
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抽選会では、吉田選手、古川選手・美遠選手ペアからそれぞれ10名の当選者にサインラケットが手渡されました。最後はゲストの3選手とメンバー全員で記念撮影をして、交流会は終了です。

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本大会の日本勢は、個人戦で垣田斉明選手(男子クラス10)と友野有理選手(女子クラス8)が金メダル、団体戦は男女4チームが銀メダル、獲得メダル総数は17個という素晴らしい結果でした。これはきっと、国際大会がここ東京で開催されたことで、多くの方が会場に足を運び、大きな声援で日本選手の背中を押したからではないでしょうか。

TEAM BEYONDでは、これからも観戦会や交流会を開催します。あなたも全力でチャレンジする選手たちを応援してみませんか?ご家族やお友だちと一緒にTEAM BEYONDメンバーとなって、パラスポーツを応援しましょう!
TEAM BEYONDへの参加をお待ちしています。

20191108

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