2024年10月14日(月・祝)、羽村市にあるS&Dスポーツパーク富士見で開催された「羽村市『市民スポーツまつり』」で、「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」を実施しました。
すっきりと晴れ渡り、日中は少し汗ばむほどの一日となった「スポーツの日」。TEAM BEYONDの体験プログラム会場には、二人乗りのタンデム自転車や手漕ぎタイプのハンドサイクルを用意し、その試乗コースをつくりました。ゲストアスリートとしてお迎えしたのは、今年のパリ2024パラリンピックに出場し、視覚障がいのある選手が出場する自転車競技(タンデム部門)で活躍した木村和平(きむら かずへい)選手です。参加者は木村選手の話を聞いた後、親子や友だち同士などの2人1組でタンデム自転車に挑戦しました。
他にもビームライフルを使った射撃競技体験、VRを活用した車いすバスケットボール体験を実施しました。射撃は集中力を高めることやメンタルコントロールが必要な競技です。真剣な面持ちで的を狙い、引き金を引く様子が見られました。
当日の様子やそれぞれのパラスポーツの魅力を紹介します。
自転車競技(タンデム)
パラスポーツの自転車競技では、障がいの種類や程度で使用する自転車が4種類あります。
①二輪自転車:ロードバイクなど健常者の自転車とほぼ同じ。義足等を固定するためにカスタマイズしたものもある
②三輪自転車:体幹のバランスが悪く、二輪自転車に乗ることが難しい選手が使用
③タンデム自転車:視覚に障がいがある選手が、選手をサポートする晴眼者と前後に分かれて一緒に乗る自転車
④ハンドサイクル:手でペダルを漕ぐ自転車。下半身に障害があり、足でペダルを漕ぐことが難しい選手が使用
の計4種類です。
今回は、パラスポーツ体験プログラムで初めての本格体験となるタンデム自転車が登場し、簡易な試乗コースで乗車体験をしてもらいました。
また、同じ自転車競技からハンドサイクルも登場。参加者は2種類の自転車に挑戦しました。
ゲストアスリートはパリ2024パラリンピック・自転車競技の1000メートルタイムトライアル決勝(MBクラス)で6位となった木村和平選手です。
視覚障がいのある木村選手が乗るタンデム自転車は、前方に「パイロット」と呼ばれる晴眼者が乗り、後方に「ストーカー」と呼ばれる視覚障がい者が乗ります。
体験会ではまず、この「ストーカー」という呼称の意味を木村選手が説明しました。
「ストーカーと聞くと、ちょっと驚くかと思いますが、このストーカーを英語で書くと、つきまとう人のストーカー(stalker)ではなく、蒸気機関車などに石炭をくべる人を意味するストーカー(stoker)だと分かります。エンジンのような役割がタンデム自転車のストーカーです。パイロットとストーカーが息を合わせ、力を発揮する競技なんです」と話しました。
そして、実際に参加者がペアになってタンデム自転車に乗車し、試乗コースを走ってみることに。「できれば、後ろに乗ったストーカーの方は目をつむって漕いでみてください」と、司会進行役から声が掛けられたりもしました。
体験した参加者は「最初の漕ぎ出しの息の合わせ方が難しかった」「(ストーカーで乗ったが)怖くて目はつむれなかった」「(パイロットとして乗ったが)後ろがどんな感じで漕いでいるか、それが気になってしまった」などの感想を話してくれました。ただ、どの参加者も往復で60メートルほどのコースを試乗し、最後は無事に完走していました。
ハンドサイクルに乗車する子どもや大人も多くいました。
ハンドサイクルは三輪車の形状になっており、前輪を手の力で回します。ただギアとチェーンが付いているため、見た目ほど大きな力は必要ありません。子どもでも試乗コースを往復することができ「意外に軽かった!」という声が聞かれました。
乗車体験で子どもたちの楽しそうな歓声が上がる中、木村選手は「今日は子どもたちが多く、実際にタンデム自転車にも乗ってもらえてうれしいです。体験することから障がいのことや、パラスポーツへの理解も深まるからです。また、タンデム自転車は前と後ろが息を合わさないとうまく進めません。互いに声を掛け合い、思いやることの大切さも感じてもらえたらと思っています」と話してくれました。
射撃
会場には射撃体験コーナーも設けました。パラリンピックなど国際大会でのパラ射撃では、装薬銃(火薬銃)のライフルとピストル、空気銃のエアライフルとエアピストルを使用します。ただ日本では銃刀法の関係もあり、ビームライフルもしくはビームピストルを使ったビーム射撃から、この競技を始める人も一般的です。国内ではビーム射撃の大会も開催されています。
今回はビームライフルの射撃体験ができるようにテントを設営し、5メートル先の的に向かって射撃を5発行ってもらいました。操作指導をしてくれたのは日本パラ射撃連盟の職員の方。
実際は、10メートル先のわずか0.5ミリの標的の中心を狙って撃つ競技です。呼吸のリズムや心臓の鼓動までが射撃の結果に影響するため、いかに平常心を保ち、集中力を高められるかが高得点獲得のためのポイントになります。自分自身との戦いでもあり、「究極のメンタルスポーツ」と言われるのはそのためです。一方で、他の競技のような激しい体の動きはないため、障がいがある方も挑戦しやすい競技です。
射撃体験をした参加者は、5発打ち終えた後に「狙いを定めていくうち、周りの景色が消えていく感じがしました。『集中する』という感覚が分かったような気がして、いい体験をしました」と話していました。
VRで車いすバスケットボールを体験
会場ではVR(ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実)を活用した車いすバスケットボール体験も実施しました。実際の車いすバスケは車いすに乗った選手同士の接触や転倒も当たり前の競技で、その迫力とスピード感で多くの人を魅了しています。
今回のVR体験では、車いすに座わり、VRゴーグルを装着して、仮想空間上のコートで120秒間の間にフリースローシュートを何本決められるかに挑戦してもらいました。手に持ったコントローラーのボタン操作でボールをつかみ、実際に投げる動作をしてゴールを狙います。上手な方はテンポよく投げ、次々とシュートを決めていました。
10本以上連続でシュートを決めていた参加者は、「昔、バスケットをやっていたことがあります。でも病気で体を壊し、最近はずっと運動ができていませんでした。VRなら簡単にできるかなと挑戦してみましたが、シュートの動作を体が覚えていたのか、たくさん決められてうれしかったです。自信をちょっと取り戻しました」と話してくれました。
その他
会場では他にもゴールボール、柔道、ボッチャ、シッティングバレーボールを紹介するパネル展示を行い、パラスポーツとしてのそれぞれの競技の魅力や面白さを伝えました。展示を通じて、パラスポーツにもいろいろな種類の競技があることを知ってもらうきっかけにしてもらえたかと思います。
体験や展示でパラスポーツの魅力を知ってもらう「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」。
実際に体験することで、そのスポーツの楽しさや難しさ、障がいのある方の生活や、選手たちのすごさを知っていただきたいと開催しています。プログラムを通して、パラスポーツへの関心や理解がより深まっていくことを願います。
次回の11月10日(日)は、第19回世田谷246ハーフマラソン(駒沢オリンピック公園 中央広場)で実施します。ぜひご参加お待ちしています!
パラスポーツ体験プログラムでは、スタンプラリーを実施しています。集めたスタンプ数に応じてオリジナルグッズをプレゼント!皆さんの参加をお待ちしています!
・スタンプラリーの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/passport
・パラスポーツ体験プログラム 今後の実施予定はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/schedule
・TEAM BEYOND LINE公式アカウントの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/topics/activity/line_open