「知る」ことが応援につながる。ラジオ番組を通じて感じたパラアスリートたちの想い

2021.04.20
「知る」ことが応援につながる。ラジオ番組を通じて感じたパラアスリートたちの想い

TOKYO FMで毎週月曜〜木曜15:00-16:50に放送されている音楽番組『THE TRAD』。その番組内コーナーとして2020年10月からの半年間、『TEAM BEYOND presents THE FUTURE OF パラスポーツ』が放送されました。パラスポーツの魅力をもっと知ってもらうために、毎週パラアスリート現役選手やパラスポーツを支える方々をゲストにお迎えし、貴重なお話を伺うという内容。聞き手を務めたパーソナリティーの吉田明世さんに半年間の放送を振り返っていただき、番組を通じて発見したパラスポーツの魅力や、パラアスリートの印象などについてお聞きしました。

共通するのはパラスポーツを盛り上げたいという強い想い

――まず昨年10月からコーナーを続けてきましたが、感想をお聞かせいただけますでしょうか。

「知る」ことが応援につながる。ラジオ番組を通じて感じたパラアスリートたちの想い

吉田:私は子どもの頃からスポーツをすることが好きで、テニスにスキー、水泳やバスケ、さらにチアダンスなど色々としていたんですけど、(アナウンサーとしての)お仕事でスポーツに関わる機会が、これまでほとんどなかったんです。ですからこのコーナーは、パラスポーツの魅力を知るとてもいい機会となりました。

――パラアスリートの方の印象はいかがでしたか。

吉田:とにかく皆さん共通してパラスポーツを盛り上げたいという気持ちを持っていて、話を聞きながらその想いがひしひしと伝わってきました。番組を通じて、私も共通の想いを持った一員になれたことが嬉しかったです。

――コーナーを通じて、パラスポーツに対する印象は変わりましたか。

吉田:いろいろと発見がありましたね。例えば、実際にゲストで来てくださった皆さんも仰っていたんですけど、障害はアスリートによってそれぞれ違うので、ハンデをどのように活かしているのかを見るのも、パラリンピックを楽しむための1つのポイントだと。当初は、パラスポーツはルールが難しそうという印象があったのですが、お話を伺ってみると、実はそこまで複雑ではないんですよね。

――楽しみ方のポイントが分かると、より身近にパラリンピックを感じられるかもしれませんね。

吉田:そうですね。一歩踏み込めばより興味深い世界が広がっているんだなと分かりましたし、私もこういった番組を通じて情報を発信していくことが、あらためて大事なことだなと思いました。

「知る」ことが応援につながる。ラジオ番組を通じて感じたパラアスリートたちの想い

苦境に立たされても諦めない姿勢、それを支える家族の大きさ

――コーナーを続けてきて、印象に残っているゲストの方や、エピソードを教えていただけますか。

吉田:車いすラグビーの倉橋香衣(くらはし かえ)選手ですね。すごく笑顔がかわいらしくて、元気いっぱいで、お話を聞いていて私の方まで元気をもらったんですけど、車いすラグビーの話になると本当にもう、アスリートの顔で。そのギャップがとても印象的でしたね。実際に車いすラグビーを見ていると、ぶつかり合うところがすごい迫力ですし、恐怖感はないのかなと思ったのですが、倉橋選手は、普段は車いすで人や物にぶつかることはできないけど、車いすラグビーならいくらぶつかっても怒られないし、ぶつかった勢いで転ぶこともあるけど、それもまた楽しいと仰っていました。心から競技を楽しまれている様子を見て、やっぱりアスリートなんだなって(笑)。男性の中に混ざって競技に専念されているので、そのあたりも同じ女性としてすごく尊敬できましたね。

――今のお話を聞いているだけでも、すごい迫力の競技なんだなと想像できました。コーナーを通じて、一番の大きな学びとなったことはなんでしょうか。

「知る」ことが応援につながる。ラジオ番組を通じて感じたパラアスリートたちの想い

吉田:苦境に立たされても諦めずに、目標に向かって前向きに進むことの大切さを教えていただきました。やっぱり障害を抱えた時は、皆さんすごく苦労されたと思うんですよ、今の姿からは想像できないほどに。そこから這い上がる精神力をとても尊敬しています。

あと、パラスポーツを始めたきっかけとして、例えばお母さんが大会のチラシを持ってきて、一緒に見に行ってみない?と誘ってくれたからとか、ご家族がきっかけになったというエピソードが多かったのも印象的でした。私も二児の母であるので、状況は全然違うと思いますけど、家族という存在の大きさを、あらためてゲストの方の話を通じて実感することができましたね。

――ちなみに、ゲストの方に毎回モチベーションアップの方法を聞かれていましたが、吉田さんのモチベーションアップの方法を教えていただけますか。

吉田:こういう仕事なので、家族や友達などに「見てるよ」「聞いてるよ」と言ってもらえることが一番のモチベーションアップになりますね。ラジオの生放送中もTwitterで皆さんのリアルタイムの反応を見ることができるので、それもまた心の支えになっています。仕事のモチベーションは仕事で上げるという感じです(笑)。家族と過ごす時間も大切にしていますが、そちらは「モチベーションアップ」というより、「癒し」ですかね。

――『THE TRAD』は音楽番組ですが、吉田さんが普段モチベーションアップで聴くアーティストや曲はありますか。

吉田:はい、番組を通じていろいろな音楽に触れているのですが、やっぱりスピッツさんが好きだなって最近あらためて思いました。自分が子どもの頃からずっと第一線で活躍されているというのもすごいですし。あとは、くるりさんも昔から好きですね。『ワンダーフォーゲル』は聴いていて本当に気分が上がります。

「知る」ことがパラスポーツ、パラアスリートへの応援になる

――今後、吉田さんが注目していきたいパラスポーツ種目を教えていただけますか。

吉田:どの種目も気になるところではありますが、特に車いすテニスには注目したいですね。ゲストの船水梓緒里(ふなみず しおり)選手に教えていただいたのですが、本来、テニスって1バウンドで打たなければいけないんですけど、車いすテニスは2バウンドまでOKで、健常者と障害を抱えた方が一緒に楽しめるスポーツなので、車いすで移動しながら球を打ち返すスピード感を、実際に会場で体感してみたいなと思いました。

「知る」ことが応援につながる。ラジオ番組を通じて感じたパラアスリートたちの想い

――最後に、パラスポーツを今後多くの方に知ってもらったり、盛り上げたりするために必要なことはなんだとお考えですか。

吉田:やっぱりまずは自分が「知る」、そして「知ってもらう」ことが大切なんだと、このコーナーを通じて感じましたね。ルールが難しそうだなとか、見たことないしなって、敬遠してしまいがちですが、ひとたびパラスポーツの魅力を知れば、またどんどん知りたい、見たいという風に興味が深まっていくと思います。こうしたラジオ番組や、チームビヨンドの方が配信している動画などを通じてパラスポーツをもっと知ってもらえたらと思います。アスリートの皆さんも、もっともっと多くの方にパラスポーツの魅力を知ってもらいたいと仰っていたので、ぜひ「知る」というところからパラスポーツを応援してください。

――「応援」することもまた、スポーツの楽しみでもありますしね。

そうですね。『THE FUTURE OF パラスポーツ』の過去放送は、AuDeeというサービスで視聴できますので、ぜひ貴重なパラアスリートの生声を聴いていただいて、そして日本で世界的な大会が生で見られるまたとないこの機会に、実際に足を運んで楽しんでいただければと思います。

20210420

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