2022年12月21日、明治神宮前に集まったのは大学生たち。3月に実施する、パラスポーツの認知拡大を目的としたカフェイベントについて、どのようなコンテンツを展開すれば良いかを考えるワークショップが行われました。
大学生ならではのフレッシュなアイデアが集まった今回のワークショップの様子をご紹介します。
目標は3月に行われる1日カフェでのパラスポーツ普及企画!
3月に宮下公園にあるカフェVALLEY PARK STAND(ヴァリー・パーク・スタンド)にて実施される、パラスポーツの魅力を発信する1日カフェイベント。11月5日に東京体育館で行われたBEYOND STADIUM 2022に参加した大学生9名がカフェでどのようなコンテンツを行えばパラスポーツの認知拡大につながるのか、話し合いました。
大学生同士は初対面!SDGsのゲームで仲を深める
参加した大学生たちは、みなさん初対面。やや緊張した面持ちで、テーブルを囲みます。ファシリテーターは、参加者と同じく大学生で、SDGsを核にしたさまざまなプロジェクトを行っている株式会社Hands UPの難波遙さんが担当しました。
ワークショップを始めるにあたり、まずプロデューサーである株式会社マグネットの佐藤さんから、パラスポーツの現状についてアンケートデータの紹介が行われました。そのデータを受け、「現状、若い世代に対して情報が届いていない。カフェをきっかけに若い人にパラスポーツを知って欲しいし、興味がない人がパラスポーツに興味を持つ入り口にしたい」と話していました。
続いて、参加者の自己紹介が行われます。クリエイティブ業界でインターンをしていたり、SDGsを学んでいたり、学生団体の代表をしていたり、さまざまな学生たちが参加してくれています。なかには、この日が21歳の誕生日だったという方も。参加者から温かい拍手が贈られていました。
より仲を深めるために行われたのが、SDGsスゴロク。難波さんが代表を務める株式会社 Hands UP の学生たちが考えたゲームです。スゴロクと言えば、個人対抗戦のイメージですが、こちらはチーム対抗戦。3〜4人で一つのチーム=地球を構成し、チーム内の一人一人に日本やアメリカ、中国などの国が割り当てられます。社会課題や環境課題が書かれたカードが配られ、解決策のマスにとまりながら、課題を解決していきます。各国(チームメンバー)が協力しながら戦略を考え、より多くの課題を解決したチームが勝ちです。
今回は3つのチームで戦い、1位のチームは7つの課題を解決。負けたチームからは「1位になれると思っていたのに!」「もう一度やりたかった!」といった、悔しがる声も。
仲間意識もぐっと高まり、場が温まったところで、障害のある方々に作っていただいたお弁当で昼食タイム。これまでの経験などを語り合い、ワークへの期待が高まっている様子でした。
いよいよワークスタート!まずはアイデア出しから
午後からは早速本格的なワークがスタートです。最初に行われたのが、頭の中にあるコンテンツやコンセプトなどを付箋に書き出し、白い大きな紙にまとめる作業。3チームに分かれて行われました。
この時点では、予算は度外視。とはいえ「来た人全員にお金をプレゼント、とかはなしですよ」と佐藤さん。これからどんな作業をするのかと、やや緊張気味だった会場の雰囲気が和らいでいました。
みんなで使っていた大部屋で作業する「チームオレンジ」は、最初1人がリードし、情報のまとめ方などを提案します。それをきっかけに、意見がどんどん飛び出し、3人の議論が活発化していました。
場所を移し、離れた個室でワークを行っていた「チームイエロー」は、各々が黙々とアイデアを書いていきます! まず個々でのアイデア出しを行い、そこから付箋にまとめるという作業を行っていました。
ソファ席で作業していた「チームレインボー」は、少し変わった視点から議論。「五感」をキーにアイデアをまとめるという方法をとっていました。
佐藤さんは会場を回りながら、アイデア出しについて「斬新なアイデアは、当たり前と思うようなアイデアの積み重ねから生まれます。どんどん書いて」と学生たちにアドバイスします。
あっという間にワークの時間は終了。学生からは「面白い!」「いい感じに出来た」と楽しそうな声を聞くことができました。
いざチーム発表。みんなの意見をまとめるワークへ
続いてチームで話し合った結果を互いに発表しあいます。チームイエローのテーマは「パラスポーツ×若者×○○」。この○○部分をカフェに来てもらった人に感じてもらうという内容です。音楽や書籍、オシャレなどさまざまなコンテンツが挙げられていました。また、宣伝としてSNSを使ったり、翌月に訪れるホワイトデーを意識したりと季節や時事に合わせた提案もしていました。
チームオレンジからは「若者にパラスポーツの流通を」をコンセプトに発表が行われました。若者にパラスポーツを普及させるという目的に対して、学生にとって春休みに当たる期間だからこそ、来場者数を見込めると判断。トークイベントや体験などで興味を引くことを提案していました。また、情報を届ける手段として影響力を持った人に来てもらうというアイデアも。コンセプトや骨子を中心とした提案となっていました。
チームレインボーは「五感の刺激」がコンセプト。映像やアートで視覚を、アロマやカフェの食事などで嗅覚を、トークセッションで聴覚を、闇鍋ならぬ暗闇食堂のような企画で味覚を、美容などの体験で触覚を刺激するという提案です。
それぞれ着眼点が異なる企画に佐藤さんは「チームのカラーが出ている」とにっこり。「オレンジが企画書でいうとスケルトン(骨子)が出来上がった状態、イエローはターゲットからクリエイティブ的にどうすべきかが書かれており、レインボーはどういうコンテンツで刺激を与えるかと言う内容。3つを合わせることで企画書が成立する」と話していました。3チームのアイデアが合体することで、ひとつの大きなアイデアになることに、学生たちもわくわくした表情を浮かべています。
最後に全員のアイデアをひとつにまとめる時間に
最後に、みんなでこの3枚のシートを、1枚のシートにまとめていきます。3月のカフェで何が行われるのか、それぞれのチームの良いところを確認しあいながら、学生全員での話し合いが行われました。
まずはそれぞれのチームに何が書かれていたのか、確認タイム。その後コンセプト、ターゲット、何を、どのように届けるかを埋めていきます。
短い時間でしたが活発な話し合いの末、最終発表が行われました。コンセプトは「パラスポーツで繋がる世界」、着地についてはSNS、イベント、協力の3つについてそれぞれ設定。何をどのようにするかについては「五感で作る世界」というコンセプトを掲げ、トークイベントや体験などのコンテンツが提案されました。
最終発表を受けて佐藤さんは「すごく良かった」と大絶賛。「初めて集まった人たちで、企画書ができるところまで落とし込めたことはすごい」とのこと。また五感をキーに設定したことに対して「パラスポーツは、視覚や聴覚を、別の感覚で補うことが必要な競技」としたうえで、「それに対して五感で表現するのは面白いアプローチ」と評価していました。
参加した東京都の担当者も「自分たちからは五感は出てこなかった。参加して良かったし、2回目に向けて大きな期待が持てるなと思いました」と感動した様子。
終了後、参加した学生からは「パラスポーツに触れるきっかけになった」「今後に繋がる時間だった」という感想が。学生自身もパラスポーツについて考えるきっかけになったようです。
次回はより具体的に、カフェイベントの企画を詰めていきます。どのようなカフェになるのか、ぜひ楽しみにしていてください!