【後編】パラアスリートのなりたい私。「日常生活を楽しむことで もっと柔道が楽しくなった」

2017.12.29
【後編】パラアスリートのなりたい私。「日常生活を楽しむことで もっと柔道が楽しくなった」

インタビュー vol.03 廣瀬順子さん[視覚障害者柔道]

日常生活では、やり残してしまった掃除を廣瀬さんよりも視力がいい悠さんがフォローする時など、お互いに感謝を忘れずに「ありがとう」と言い合いながら暮らしているそう。悠さんとの生活はもちろん、柔道着を脱ぎ、おしゃれをして出かけることも女性としての楽しみだとか。

「24時間、悠さんと一緒なのでオフの外出はひとりで(笑)。ショッピングをしたりカフェでお茶をしたり、美容院に行ってリフレッシュしています。年に数回は夫婦で旅行にも行きます。もともとは水族館で働きたかったくらい海が好きなので、2年前から沖縄で始めたバリアフリー・ダイビングをするのが楽しくて! あとは大好きなKinKi Kidsのコンサートに行けたら、夢が叶うんですけどね(笑)」

日常を思い切り楽しんでいるからこそ、柔道もさらに楽しくなったと笑う廣瀬さん。アスリートとしての目標はやはり、夫婦揃っての東京パラリンピック出場だ。

「リオに出場してからは松山の街で『おめでとう』とか『応援してるよ』と声をかけてもらえるようになったんです。障がい者としてではなくスポーツ選手として捉えてもらえていることがうれしくて。その分プレッシャーも増えましたし、リオでは金、銀メダルの選手との実力の差がかなりありました。『金メダルを取ります』と堂々と言えるように、しっかり力をつけていきたいと思います」

【視覚障害者柔道とは?】

互いに組んでから試合が開始され、離れた場合は中断して開始位置に戻る。場外規定は基本的に適用しない。区分は障害の程度ではなく体重別で行われ、全盲の選手も弱視の選手も一緒に戦う。ただし世界ランキングに加算されるポイントは障害の程度によって異なる。

【後編】パラアスリートのなりたい私。「日常生活を楽しむことで もっと柔道が楽しくなった」

【プロフィール】

廣瀬順子さん

ひろせ・じゅんこ●1990年10月12日生まれ、山口県出身。視覚障害者柔道57kg級。区分はB3。伊藤忠丸紅鉄鋼に所属。同じく視覚障害者柔道選手である悠さんと2015年に結婚。夫婦で出場した2016年のリオパラリンピックでは同種目で、日本女子初の銅メダルを獲得した。

【MORE webサイト】
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取材・文/松山梢
撮影/岩城裕哉
ヘア&メイク/中村 明紀子(HAIR BRAND Jin Tiara)

20171229

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