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未来のパラリンピアン達の全力勝負! 第2回全国特別支援学校ボッチャ大会 ボッチャ甲子園

2017.12.28
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(写真:優勝した村山特別支援学校:(c)CAP)

「その一球に魂をこめろ」

まさにそのスローガン通り、その1投1投に選手が集中する。会場全体が固唾をのんでそのプレーを見守る。成功すれば大歓声に包まれ、失敗すれば励まし合う。そんな会場の一体感に、ボッチャを初めて観戦した記者は興奮し、観客と一緒になって必死で選手を応援した。

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ルールとして、ボッチャは少しカーリングに似ていると感じた。端的に説明すると、ジャックボールと呼ばれる、相手チームと共通の目標となるボールに、決められた場所からボールを投げて転がし、どれだけ近づけられるかを競う競技である。一見単純そうに見えるが、実はさまざまな駆け引きを行いながら、極限のプレッシャーの中で繊細なボールコントロールが求められるスポーツである。だからこそ成功した時に盛り上がるのだと感じた。百聞は一見にしかず。多くに人々に、ぜひ1度会場へ足を運び、その目で見てボッチャの魅力を知ってほしい。

そんなボッチャの特別支援学校日本一を決めるこの大会は、2017年7月21日(金) 東京都の港区スポーツセンターで行われた。関係者によると、昨年行われた第一回大会に比べ、今大会はさらに大きな盛り上がりを見せ、大成功に終わったとのことであった。

その理由について考えられることとしては、まず参加校が2倍に増えたことがあげられる。なんと北は北海道、南は沖縄まで全36チームが参加。それぞれのチームの個性を生かし、実力を遺憾なく発揮した。多くの試合が同時に行われていたことで、会場が絶え間なく盛り上がり続けた。

(写真:(c)CAP)

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2つ目に、ゲストとして、リオデジャネイロパラリンピック ボッチャ団体銀メダリストの廣瀬隆喜選手と杉村英孝選手が参加されたことがあげられる。始球式では抜群のコントロールで会場を沸かせ、来賓の方々や参加チームとの交流試合ではロビングボール(ボールを浮かして上からぶつける)と呼ばれるプレーで大逆転を見せ、観客を魅了した。

(写真:(c)CAP)

3つ目に、東京パラリンピックをより意識した大会であったことがあげられる。昨年のパラリンピックでの銀メダルをとってから、ボッチャはますます注目を集めている。選手自身のパラリンピックへの意識も非常に高まっている様子がうかがえ、記者の素人目ではあるが、どれもが心を動かされる、非常に良い試合だったと感じる。特に優勝した東京都の村山特別支援学校は、何度もジャックボールに接触しそうになるほどの距離まで、接近するような素晴らしい投球を見せ、興奮するとともに努力の尊さを感じた。

(写真:(c)CAP)

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最後に印象に残ったことを紹介したい。あるチームのコーチが、試合前のミーティングで、「全力で、元気に、そして礼儀正しくいこう」と選手たちに語りかけていた。

スポーツは勝ち負けだけでなく、そこから豊かな人間形成につながる力を持っている。そのチームは惜しくもベスト8で競技を終えたが、彼ら、彼女らにはネガティブな様子や暗い表情はひとつもなく、充実した笑顔で写真撮影に応じてくれた。

選手たちは、日々頑張って努力してきたことをこの大舞台で出し切った。そんな経験は勝敗よりも重要で、選手のこれからの人生に大きな力になると感じる。そして、そんな選手たちを応援した観客、サポーターも、大きな力をもらっている。その空気は、まさしく私たちが良く知る「甲子園」そのものであった。

大会結果

優勝 東京都立村山特別支援学校
準優勝 愛知県立小牧特別支援学校
3位 東京都立鹿本学園
4位 茨城県立下妻特別支援学校
ベスト8 茨城県立つくば特別支援学校
ベスト8 群馬県立あさひ特別支援学校
ベスト8 東京都立光明学園
ベスト8 東京都立小平特別支援学校

Text & Photo By Seiji

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20171228

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