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BEYONDワークショップReview episode2

「パラスポーツ支援」への第一歩 パラアスリート雇用がもたらすこと
〜スタディ・ビルドアップ〜

カンファレンス・ワークショップ BEYONDワークショップReview episode2 | TEAM BEYOND | TOKYO パラスポーツプロジェクト公式サイト

パラスポーツを応援する人を増やす東京都のプロジェクト「TEAM BEYOND」。
その活動の一環として2019年12月5日、企業によるパラスポーツ支援の促進を目的とする「第2回 BEYONDワークショップ」が開催された。
今回はパラアスリート雇用をテーマに、パラアスリート雇用支援サービスを行う株式会社つなひろワールドによる講演、実際に雇用しているLINE株式会社の担当者と所属パラアスリートによるトークセッション、参加者同士でのワークショップという三部構成で実施。
パラスポーツ支援を、より身近に、自分ゴト化する、きっかけづくりの場となった。

講演パラアスリートの雇用が企業にもたらす効果

現在、常時雇用している従業員が45.5人以上の企業は、2.2%という法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。未達成の企業(常用労働者100人超)は、障害者雇用納付金を納めなければなりません。45.5人以上の企業は全国に10万社以上ありますが、達成率は45.9%(平成30年 障害者雇用状況の集計結果)。依然として障害者雇用に二の足を踏む企業が少なくありません。

こうした状況の中、当社では世界を目指すパラアスリートの活躍を願い、選手と企業をマッチングする雇用支援を行っています。その大きな目的は企業の法定雇用率の達成ですが、雇用することにより広報活動やCSRを促進していくことも狙いとしています。

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株式会社つなひろワールド
代表取締役

竹内 圭

当社が紹介対象としているのは、スポーツを通して主体性、マネジメント力、ストレス耐性、目標達成力、実行力を身につけたパラアスリートたち。この5つの能力を持った彼らは選手としてはもちろん、実際の業務においても大きな戦力になります。

では、パラアスリート雇用は企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。対外的には、選手の大会への参加や講演会などの活動を支援することで社会貢献でき、企業のイメージアップにつながります。また、東京2020大会に向けてパラスポーツの注目度が一段と高まっていますので、パラアスリートの露出が増え、国内外への広告効果が期待できます。一方、社内的にはパラアスリートの活躍を共有したり、応援することで従業員のモチベーションがアップ。新入社員研修や社内イベントで自身の体験を語ってもらい、従業員にフィードバックすることもできます。

パラアスリートと企業のマッチングのポイントは、選手と企業それぞれのニーズにマッチした紹介をすること。パラアスリートは引退後のセカンドキャリアの問題を抱えていますが、その解決策も考えながら、選手が仕事と競技活動を両立できるような働き方や、企業にとってプラスになる雇用形態を提案し、障害者雇用をお手伝いしています。また、採用基準をパラリンピック出場選手に限るのではなく、間口を広げて募集をかけることが、パラアスリート雇用を成功させる第一歩といえるでしょう。

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今、パラスポーツはかつてない盛り上がりを見せています。障害者雇用の一環としてパラアスリート雇用を選択することは、企業の戦略的雇用といえるのではないでしょうか。

トークセッション雇用する企業×所属選手のトークセッション

講演に続き、LINE株式会社の人事・総務を統括する落合紀貴氏と所属パラアスリートの緑川秀太選手によるトークセッションが行われた。

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LINE株式会社
人事・総務統括/執行役員

落合 紀貴

LINE株式会社 人事チーム
パラ陸上(走り幅跳び)

緑川 秀太

まず、雇用を始めたきっかけについて落合氏は「国内を含め世界で約1億8,500万人(2019年9月末時点)が利用するコミュニケーションアプリへと成長したことに伴い、当社の社員数は飛躍的に増加。法定雇用率が高まり、事務職での採用以外にも雇用の幅を広げようと考えていたところ、新聞でパラアスリートを採用している会社を目にしたことが契機となった」と説明。インターネットで見つけたつなひろワールドなどの紹介により、2016年から雇用を開始。現在、6名のパラアスリートが在籍している。

採用基準については、パラリンピック出場といった条件は一切ないが、「自由になる時間が増える中で、自分自身の目標に向かってどのようなトレーニングをするか、どのように時間を使うかなど自分でマネジメントできる選手」としている。入社後も会社への出社義務はなく、自分の拠点で競技に専念することを承認しており、ほとんどの所属選手はその勤務形態を選択。

唯一、社内で仕事をしながら競技活動を行っているのが、網膜色素変性症による弱視という障害を抱えながら陸上競技を続けている緑川選手だ。「もともとヘルスキーパーとしてマッサージの仕事をしていたが、本格的に陸上に取り組みたいと思い、つなひろワールドに相談。マッサージの資格を活かしながら競技に専念できる会社としてLINEを紹介され、入社に至った」という。2019年1月に入社以降、週に5日間、午前中は社員向けにマッサージの仕事を、午後はトレーニングを行っている。「マッサージ中に“陸上やってるんですね”と声をかけられたり、社員とコミュニケーションできるのが嬉しいし、励みになる。ここから少しでもパラスポーツの認知を広げたい」と緑川選手。

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落合氏は、社員にとってもメリットは大きいとし、「自分でマネジメントしながら世界を相手に戦っている姿は、たとえ領域は異なっても海外で活躍したいと考えている社員にとって刺激になる。アスリート社員にはこれからも期待している」と激励。これを受け、緑川選手は「2020年のパラリンピックの出場はもちろん、2024年パリ大会も見据え、記録を出せるように努力したい」と抱負を述べた。

ワークショップパラアスリート雇用における課題の解決策を探る

次に実施されたのは、組織開発・人材育成を得意とする経営コンサルタント、柳瀬智雄氏がファシリテーターを務めるワークショップ。参加者は4つのグループに分かれ、パラアスリート雇用においての共通した課題に対する解決策を探った。

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株式会社ビズパワーズ
代表取締役

柳瀬 智雄

初めに、パラアスリートの雇用で「どんなイイことが起こるか」を自由に発想し、グループの代表者が発表。「社員間にコミュニケーションが生まれる」「社内から社外へと広がり、同じ志の会社や団体と連携できる上に、新たなビジネス創出の可能性も」「パラアスリートと社員が助け合い、働く喜びが得られる」など数々の「イイこと」が発表された。

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続いて、パラアスリート雇用の課題を洗い出し、グループ内で解決策を話し合った。その際、柳瀬氏から「解決策を考える場合、1.正面から考える、2.角度を変えて考える、3.回避する、4.マイナスをプラスに転換するという4つのパターンがある」とのアドバイスも。議論の結果、「課題は大きく2つ。ひとつは設備やコストの問題で、これは障害者雇用の助成金を活用する。バリアフリー化が難しいのであれば在宅勤務という手も。もうひとつは、社員の理解をいかに得るかということで、解決のキーワードとなるのは“自分ゴト化”。イベントの周知に力を入れ、大会の応援や車椅子体験などパラスポーツを身近に感じてもらう工夫をする。また、社員に仲間になってもらうために親子のスポーツ教室などを開き、皆で楽しめるようなことを考える」「経営者の意識改革が課題。まず、ある部署でパラアスリートを雇用し、生産性やコミュニケーションがどう変化したか実証し、経営者にぶつける。経営者が変われば、会社が一丸となって取り組むことができる」など様々なアイデアを参加者全員で共有。柳瀬氏は「新しいことを始めるときは、小さなところから始めて、成功を重ねていくことが重要」とまとめた。

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最後に、つなひろワールドの竹内氏は「経営層や社員の意識改革を進めるには、スポーツの体験会などを切り口として、入り口に出てきていただき、パラスポーツとの接点を増やすことが大事」と提言。緑川選手は「学校などでは障害に配慮された環境で育ってきたが、一人の社会人として、まずは自分自身がしっかりしなければという気持ちを持っています」と意気込みを語った。

TEAM BEYOND
パラスポーツ支援ガイド
(ダウンロード 1.3MB) pdf

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