支援企業・団体の声
株式会社AROUND
2023.12.19

スポーツを通じて障害者の社会参加を後押し!
障害者とスポーツチームを繋ぐマッチングプラットフォームを開発

株式会社AROUND(以下、AROUND)は、イベントやセールスプロモーションの企画・制作・運営などを手がける2015年創業の会社です。これまで、スポーツ分野では、サッカーやゴルフのプロスポーツ関連や、国際的なスポーツイベントなどに携わってきました。その一方で、発達障害のあるこどもを対象にした放課後等デイサービス『こどもラボ』を運営する関連団体を持ち、持続可能な開発目標の達成に向けた社会福祉活動にも取り組んでいます。

これらの事業を通じて感じた社会課題をきっかけに着手したのが、スポーツをしたくてもできない、きっかけがない障害者(ユーザー)と、メンバーを募集したいスポーツチームをつなぐマッチングプラットフォーム『パラすぽラボ』の開発でした。開発担当として奮闘してきた撫養胡桃(むやくるみ)さんに、開発までの経緯やこれからの展望を語っていただきました。

「障害者」と「パラスポーツや障害者を受け入れ可能なチーム・団体」をつなげる手助けがしたい

「弊社の関連団体では、障害のあるお子さん向けの支援を行っています。こどもの間は支援学校等でも体育があったりとスポーツや運動を定期的に行っていますが、成人の方では(少し前のデータになりますが)、約6割近くが過去1年に1日もスポーツを行っていないそうです。加えて、約2割の定期的にスポーツをされている方も、多くが「1人」や「家族」としかスポーツをされていないということで、残念ながら多くの障害のある方にとって、スポーツが社会との接点にはなっていないのが現状です。そこで「障害者」と「パラスポーツや障害者を受け入れ可能なチーム・団体」をつなげる手助けがしたい、その想いから 『パラすぽラボ』 の開発に至りました」

『パラすぽラボ』開発のきっかけについて、撫養さんはそう切り出しました。また、福祉やパラスポーツのことを勉強していく中で、パラリンピックで15個の金メダルを獲得したハインツ・フライ選手の「健常者はスポーツをしたほうが良いが、障害者はスポーツをしなければならない」という言葉に出会いました。

運動不足に陥りやすいという身体的な意味だけでなく、障害者にとってスポーツは、社会参加の意義達成や心理面での良い効果をもたらすものです。スポーツを通じて障害者の社会参加を後押しし、共生社会の実現に貢献したい。このテーマをベースにして、開発陣みんなで意見を出し合ったといいます。そこで生まれたアイデアが『パラすぽラボ』でした。

今年の4月にサービスを開始した『パラすぽラボ』は、ユーザーは住まいに近い場所で活動しているチームを競技別に検索することが可能。ユーザーからチームへメッセージを送ることや体験・見学の受付までできます。チーム加入後は、活動予定の管理や出欠の連絡がアプリ上でできるなど、便利な機能を完全無料で利用できるサービスです。

アプリリリース前に、企業とパラスポーツ競技団体で情報交換ができる交流会(東京都障害者スポーツ協会主催)に参加した際、いくつかのパラスポーツ競技団体に『パラすぽラボ』を紹介したところ、「これまでにないプラットフォームなのでぜひ実現して欲しい」という好反応を得ました。また、実際の機能などもご紹介し、そこでの反応なども制作の上では参考にしました。

個人とチームスポーツのマッチング有効性は理解してもらいやすかったです。そこから、「団体競技には適しているが、個人競技の場合はどう活用していくのか」といった質問、「実際使ったらどうなる」といったアイデアをいただき、ディスカッションしました。その結果、幅広く意見やフィードバックを得ることができました。

チームからの「体験オファー機能」でユーザーの背中を後押し!

実際にパラスポーツ競技団体の声を聞いた上で、AROUNDが『パラすぽラボ』開発に込めた“こだわり“は何なのでしょうか。撫養さんは次のように明かしてくれました。

「既存のマッチングサービスでは、チームとユーザーの双方がやり取りする機能が少ないと感じていました。『パラすぽラボ』では、チームとユーザーの間でメッセージのやり取りができるだけでなく、チーム側から体験のオファーを出す機能もあります。体験を少しためらっていらっしゃるユーザーの背中を、一歩後押しするような機能ですね。ユーザーが活動の場を探すだけでなく、チーム側からもアプローチができるので、相互コミュニケーションという点で他のサービスとは差別化できていると思います」
実際、この体験オファー機能は、チーム、ユーザーともに好評でポジティブな反応が多いとのことです。

サービスを開始して以降、およそ半年が経過しました(※取材時点)。ユーザー・チームともに利用は無償なので、運用のコストはアプリ内の広告収入で賄われています。撫養さんは「あまりないサービスだけに、共感して広告を出してくださる福祉系の団体さんが増えています。利益が上げられるほどの収入はないですが、弊社では社会貢献活動と位置付けていますので、今後も継続して取り組んでいきます」と語ります。チーム、ユーザーとともにコミュニティが広がっているのを、実感しているそう。

さらに、AROUNDでは『パラすぽラボ』公式SNSの運用やチーム・団体との交流会に参加するなどして、ユーザー・登録チームを増やす活動を着実に続けています。また、『パラすぽラボ』にはパラスポーツだけではなく、障害者を受け入れ可能であればどんなチームでも登録可能です。
「今まで健常者だけで構成されたチームであったとしても、このアプリがきっかけで障害のある方の受け入れを検討するきっかけになればと思っています。障害者や既存の支援者だけが頑張るのではなく、もっと世の中の多くの方が、障害や障害のある方のことを考え、「パラスポーツ振興」、「共生社会の実現」に向かっていけば良いなと思っています」

一人ひとりの意識の変化で「共生社会の実現」を

撫養さん自身、これまでパラスポーツを見たり体験したりすることがあまりなかったそうですが、このアプリ開発とリリース、運営を通じて接する機会が増えたといいます。
「私自身が水泳をやっていたこともあり、限られた条件の中で能力を発揮していくことは本当にすごいと感じています。障害の有無にかかわらず、誰もが自分らしく、ハツラツと活動できるような社会になって欲しいですよね。企業においても、社員の一人ひとりが障害者やパラスポーツに興味を持っていただき、より意識することで、企業、さらには社会が変わっていくんじゃないかと思います」

もともと、『パラすぽラボ』の開発にあたっては、「イベントの趣旨や物事の本質を常に考え抜く」というイベント業での姿勢が役に立ったといいます。
『パラすぽラボ』は「チームとユーザーのマッチング以降も、アプリを継続的に使っていただく」ことを目的として、「カレンダー機能」「チームメンバー機能」を開発しました。マッチングしたあとでも、参加メンバーがチームのカレンダーで出欠連絡をとれるなど、ユーザー目線で日常的にアプリを活用できるように工夫が凝らされています。

※開発中の画面です

「どんなサービスが良いのか、相手の立場になって考えることがイベント制作会社としても常に徹底していたことでしたので、今回もその考え方で進めてきました。アプリ内にみなさんで意見を出し合えるスレッド機能があるのですが、そこで今後『こんな機能が欲しい』といったご意見もいただきたいと思っています。それをできるだけ反映してサービスの向上に繋げていきたいです」
運営側であるAROUNDも、アプリの活性化と継続のために、興味を持っていただけるような話題のスレッドを定期的に立てるなど、地道ではありますが、粘り強い努力続けています。

<パラすぽラボ 公式サイト>
https://paraspolab.com/

<パラすぽラボ 公式Instagram>
@paraspolab
https://www.instagram.com/paraspolab/

株式会社AROUND
住所 〒104-0042 東京都中央区入船1-3-9 長崎ビル2F
電話 03-6228-3533
URL https://a-round.co.jp/
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