支援企業・団体の声
株式会社エムブイピークリエイティブジャパン
2023.12.22

共生社会をストーリーにする商品開発
ユニークなパラスポーツ関連グッズを展開

にっぽんの福祉をかわいくしたい!

株式会社エムブイピークリエイティブジャパンは「共生社会をストーリーにする商品開発」「にっぽんの福祉をかわいくしたい」という事業コンセプトを軸に、ユニバーサルコミュニケーショングッズの企画・開発・製作・販売を手掛けています。オリジナルのキャラクターをデザインした文房具や、競技用具を模したピアスやイヤリングなどのアクセサリーなど、ユニークな商品を送り出してきました。

代表取締役の大海恵聖(おおうみ えみ)さんは、銀行勤務時代に関節リウマチを発病したことが起業したきっかけになったと言います。当時は「なぜリウマチになってしまったのだろう?」と自暴自棄になりがちな日々が半年も続き、立ち仕事がつらくなって退職を考えていたそうです。そんなある日、キラキラと輝く杖を持った女性が銀行に来店。ロビーから駆け寄って「その杖、どうしたんですか」と思わず声をかけたところ、杖はその人が自分でラインストーンを貼って装飾した力作だったとわかりました。その後も会話が弾んだとのこと。この時、「福祉用具であっても、コミュニケーションのきっかけになる」という発見と「福祉用具をかわいくしたい」という思いに溢れたと言います。これが、「病気に負けたくない、むしろそれを逆手にとって何か事業をしたい」という大海さんの事業の出発点となりました。最初に考案したのが、ビーズやラインストーンのシールで装飾したデコ杖。当時流行していた、いわゆる「デコ携帯」が参考になったそうです。「商品がたくさん売れたというわけではなかったのですが、ストーリー性があったのでメディアでは評判になりました。かわいくデザインしたパンフレットもすごい人気でした」

障害のある方との3Dプリンターによる共同製作

個人事業主としての起業は2013年。翌年、札幌にあるものづくりのシェアオフィスに事務所を構えました。大海さんは、そこにあった3Dプリンターに着目します。ちょうど3Dプリンターの性能が話題になっていた時期でした。
「私は、手が自由に動かないのですが、パソコンのマウスでならデータは作れます。習えば高度な技術を手に入れることができますし、製作は機械がやってくれるわけです。障害がある人でも、マウスが動かせれば、ものづくりは可能だと気づきました」

そして、パラスポーツとの最初の接点は、北海道に本拠地を置く車いすラグビーのチーム、SILVERBACKS(シルバーバックス)のメンバーとの出会いでした。パラスポーツのイベントでたまたまそのメンバーと出会い、会話を積み重ねていくうちに商品開発に繋がっていったと言います。
「その頃、3Dプリンターを利用して、1センチくらいの車いすのピアスを作っていたんですけど、ある時、チームのメンバーと話していたら、『試合の作戦会議に使いたいので、これより少し大きめの3センチくらいのフィギュアが欲しい』と言うので、さっそくその製作に取り掛かりました。そんなふうに日常会話から仕事に繋がることが多いですね」

その後、様々な競技のアスリートから「自分のチームカラーと同じ色のピアスが欲しい」などの声もあって、新たなパラアスリートとの出会いとともに、車いすテニス、シットスキーと製品ラインアップは増えていったそうです。 
そんな中、大きな手応えをつかんだのが、東京2020大会でした。「パラリンピック期間中盤以降に車いすバスケットボールの人気が上がり、弊社の販売サイトで関連商品を予約販売したのですが、これに大きな反響があり、自信が付きました」と大海さんは明かします。

今年に入り同社は、二つのパラスポーツの国際大会でオフィシャルグッズを製作しています。その一つが『2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ』におけるオフィシャルグッズの車いすのフィギュア、ピアス、イヤリングです。各グッズは出場した4か国のカラーを揃えました。
「主催者の皆さんは、大会開催前はかなり多忙なので、なかなかオフィシャルグッズにまで手が回らないようです。依頼をいただいたのは大会の直前でしたが、弊社は少ない数量の製品が作れて短い納期に対応できるので、グッズの製作を引き受けることができました。オーストラリアの選手団は、自分の国の国旗がデザインされたグッズをとても気に入ってくれて、全セットをお土産用に買っていただいたようです」

そして、同大会を見に来ていたパラ卓球の関係者から「私たちも同じようなものを作りたい」というリクエストを受け、パラ卓球の国際大会『KINOSHITA GROUP ITTF Japan Para Open 2023』のオフィシャルグッズが生まれました。パラ卓球台を模したピアス、イヤリングはかなりの人気でした。

『2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ』オフィシャルグッズのピアス、イヤリング

同社のものづくりは、様々な障害のある方と共に取り組んでいます。大海さんが特別の思いを持っているのが、共同製作者である障害のある方への発注方法です。「作業所単位に依頼するのではなく、いつも、具体的に『誰に発注するか』を考えています。作業する人が特定されれば、本人も自信が持てますし、収入にも繋がります。さらには次の仕事に繋がるかもしれません。製作面でこだわりがあるとすれば、【技術をもった障害のある方と一緒に仕事を取りに行く】という点です」

パラスポーツすごろく誕生秘話

同社は、コミュニティFM「渋谷のラジオ」の番組「渋谷の体育会」で取材したパラアスリートのエピソードをまとめて誕生した、パラアスリートの人生を体験できるすごろく「パラスポーツすごろく」の製作プロジェクトに参加。すごろくで使用するコマの製作を担当しました。
きっかけは2019年12月、「渋谷の体育会」に大海さんがゲスト出演(現在はレギュラー)したことでした。以前から番組内では、メインパーソナリティーの平井理央さんやレギュラーメンバーの間で、「ゲスト出演してくれたパラアスリートの皆さんの様々なエピソードを何らかの形で残したい。書籍以外の形で何かできないか」と話していたそうです。思いがけず、同社が3Dプリンターで製作したパラスポーツ用具のピアス、イヤリングを見たメンバーが「ゲームのコマみたい」と言って、それが話題になったといいます。そこから、パラスポーツすごろくの製作に繋がりました。
それからおよそ1年かけて、出演者の皆さんのご意見をいただきながら、パラスポーツすごろくは誕生。すごろくのコマは、パラパワーリフティング、パラ卓球、パラ陸上、パラアーチェリー、パラフェンシングの5競技で使われる用具をデフォルメしたデザインで製作。「パラスポーツすごろく」の製作費はクラウドファンディングで募り、渋谷区内の小中学校の全学級と放課後クラブに配布されました。

このプロジェクトは同社の地元札幌からも反響があったそうです。
「銀行員時代からの知り合いが勤務している大同舗道株式会社から、創業50周年を迎えるにあたって一緒に新たな社会貢献活動をしたいとのオファーを受けました。以前から、児童館で工作の指導をしていた縁もあり、札幌市内の児童館200館で「パラスポーツすごろく」の配布と車いすラグビー体験会を開催することになりました。これまでのべ700人の子どもが参加してくれました。大同舗道株式会社は、道路工事などの公共工事を受注する会社で、体験会では、子どもたちにバリアフリー道路の点字ブロックの実物を見せたり、測量を体験させたりしてもらいました。この活動は札幌市からも社会貢献面で高評価され、本業にも良い影響があるそうです。」
活動は今も続いているほか、同様の取組を実施したいという声が増えています。

起業から10年が経ち、大海さん自身、パラスポーツを取り巻く環境の変化を感じているようです。それでも「世の中がまだついてきていない部分も感じている」と明かし、こう続けてくれました。
「弊社と同じような活動している方もたくさんいると思いますが、うまくいかなくても途中でやめないで続けてほしいです。これまで活動を続けてきた中で、パラスポーツを支える人、特に、メカニック関連の人、メーカー関連の人の知り合いが多くなりました。それによって、製作ではなく、パラスポーツイベントなどをするにも声を掛けられる仲間がいると、スムーズに事が運びます。そして、失敗を含めていろいろな経験が今の自信に繋がっています。TEAM BEYONDの力もお借りして、もっと多くの人に活動を知って欲しいと思っています。パラスポーツへの支援の輪を広げるための一助になれるよう、これからも頑張ります」

代表取締役の大海恵聖さん

株式会社エムブイピークリエイティブジャパン
住所 〒060-0032 北海道札幌市中央区北2条東1丁目3-3 サンマウンテンビル3F
電話 090-6445-2589
URL https://dekotsue.com/
本サイトでは、パラスポーツ振興に関心のある皆さまにとってヒントとなるような企業・団体の取組を他にも様々ご紹介しています。ぜひご覧ください。
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20231222

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