地域の一員として、地域に根ざした活動を。
年齢や障がいに関係なく誰もが楽しめるボッチャをきっかけに
1590年に創業し、日本の上場企業の中で二番目に長期にわたり事業を続けている住友金属鉱山株式会社(以下、住友金属鉱山)。銅製錬に始まり、今では資源・製錬・材料の3分野で事業を手掛けています。
地域の人々に信頼されなければ事業を継続することはできない、という姿勢が400年を超える歴史を紡いでいます。
同社では地域社会貢献活動として、日本パラスポーツ協会(JPSA)のオフィシャルサポーターとしての支援や、青梅事業所による「住友金属鉱山カップ ボッチャ大会」の開催など、パラスポーツを通じた活動を展開しています。
これらのパラスポーツへの関わりについて、本社総務部の元木秀樹地域社会貢献担当スペシャリストと青梅事業所で地域社会貢献活動を担当する総務部渉外グループの木村暢之課長にお話を伺いました。
企業の重要課題として障がい者支援を
住友金属鉱山では障がい者支援を企業理念というよりは企業の重要課題として捉えているそうです。
「『地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて、社会への貢献とステークホルダーへの責任を果たす』というのが企業理念です。企業理念の中でパラスポーツ関連に直接繋がる考え方というものはないのですが、企業理念のもう少し手前のところに長期ビジョンというものを設けています。企業にとっての重要課題のようなものなのですが、それが11あり、それぞれにKPI(重要業績評価指標)を定めています。そのひとつが地域社会との共存共栄で、その中に「障がい者・高齢者への支援」を掲げています」(元木さん)
ロンドン2012パラリンピックの感動がきっかけで日本パラスポーツ協会のオフィシャルサポーターに
住友金属鉱山は2013年に日本障がい者スポーツ協会(現:日本パラスポーツ協会)のオフィシャルサポーターとなり、パラスポーツ支援活動を始めました。そのきっかけとなったのは、ロンドン2012パラリンピックだったそうです。
「当時のCSR担当部署メンバーが感銘を受けて、何か応援できないのかという話になりました。応援することで励まされ、感動する……社員にとっても良い影響があるのではないかと」(元木さん)
現在は同協会が開催している大会の社内告知などをしているのだそうです。
認知度を上げたいという思いで取得した体育館のネーミングライツ
住友金属鉱山は2019年に事業所がある青梅市総合体育館のネーミングライツを取得し、現在は「住友金属鉱山アリーナ青梅」という名称になっています。この背景には、地域への貢献とともにとにかく会社の認知度を上げたいという思いがありました。
「弊社は青梅市に事業所がありますが、認知度が高くなく、周辺住民の方々に何をしている会社なのかあまり認知されていませんでした。会社の認知度を上げて、地域の皆さんに住友金属鉱山を知ってもらいたいという思いでネーミングライツの取得に踏み切りました。住友金属鉱山アリーナ青梅は通常の利用者だけでなく、新型コロナウイルスのワクチン接種会場にもなったことで、図らずも多くの住民が利用することになり、認知度は上がっているように感じます」(木村さん)
青梅が「ボッチャの街」「ボッチャの聖地」になれば
青梅事業所では、2021年10月に渉外グループが組織され、これまで以上に地域との繋がりを意識した活動へ舵を切ると同時に、2022年5月に本社から「地域社会貢献活動のモデル事業所になってほしい」と言われたことをきっかけに地域社会貢献活動に力を入れています。
また、体育館のネーミングライツ取得以降、青梅市と繋がりができ、現在は市と一緒に何か活動ができないか議論を交わしていると木村さんは語ります。
青梅事業所が最初の地域社会貢献活動として実施したのが、2023年5月に開催した「第1回住友金属鉱山カップ ボッチャ大会」です。様々な選択肢がある中、ボッチャ大会の開催に至った経緯について木村さんに伺いました。
「私自身スポーツが好きで、会社としても住友金属鉱山アリーナ青梅を活用したいという考えがあった中で、東京2020パラリンピックでボッチャを観ていて楽しかったというのが最初のきっかけでした。また、子どもからお年寄りまで、また、障がい者の方も含めてみんなが一緒にできるところもいいよねと。その後、青梅市のスポーツ推進委員が開催していたボッチャ体験会や交流会に参加してみて、ゆくゆくはアリーナで大会を開催したいと思うようになりました」(木村さん)
木村さんはスポーツ大会の開催経験がない自社だけで準備を進めるのは難しいと考え、まずは連携できる仲間を探すことに取り組んだそうです。始めは上手くいかず苦労をされたとのことですが、丁寧に思いを伝えることで、地元の障がい者スポーツクラブや大学(多摩大学)など、少しずつ賛同してくれる仲間が増えていきました。
以前から社会貢献活動で交流があり、「オンラインボッチャ」の普及に取り組むNECプロボノ倶楽部もそのひとつ。「オンラインボッチャ」とは、競技会場に設置されたオンラインボッチャマシンを、インターネットを介して遠隔地から操作し、ボッチャを競います。世界中の誰でも参加できる画期的な取組です。会場に設置した体験コーナーは、特に子どもが興味津々で、常に賑わっていたそうです。
様々な企業や団体との協働により開催された住友金属鉱山カップには32チーム180人が参加し、初回ながら大盛況だったと言います。木村さんが描いていたとおり、障がいのある方と無い方、子どもからお年寄りまで様々な方が参加しました。大会の準備は試行錯誤の連続でしたが、たくさんの人が集まってくれたことで、社員の方々の士気も高まったようです。同社エンジニアのある社員が、試合結果を入力すると順位が一覧表になる自作のソフトを提供してくれたとのこと。これには木村さんも驚くと同時に、大会成功の手応えを感じたそうです。
「ボッチャ大会は今後も継続していきます。規模を拡大していくためにより多くの方を巻き込んでいきたいと思いますが、かと言ってあまり広げてしまうとうまくいかなくなってしまいます。次回に向けて、まずは審判員や運営スタッフの育成をどう進めるかが目下の課題ですね。まだまだ勉強が必要と感じています」(木村さん)
実際に大会を開催してみて、色々なニーズがあることがわかってきました。ただ、まだ1回目を開催したばかりということもあり、欲張らずにまずはいろんな方に幅広く参加してもらうこと、そしていかに皆で作り上げていくかを考えていきたいのだそうです。
「将来的には青梅市が『ボッチャの街』『ボッチャの聖地』のようになればいいという思いがあります。今は誰かがリードしての大会ですが、地域全体で『大会やろうよ』『青梅のボッチャ大会にしようよ』という風になると良いですね」(木村さん)
一社でできることは限られている。対話をして連携していきたい
地域からのニーズに対して、実際にやっていることがマッチングしているかが肝心だと語るのは元木さん。一社でできることは限られているので、輪を広げて同じ志の仲間を作り、連携していくことが求められていると話します。
「様々なニーズがある中で、自分たちだけで全てに応えるのは難しいけれど、外部の方を巻き込み一緒に取り組むことで出来ることはあります。目指すところが同じであれば、規模の大小、分野の違いがあっても、連携はできる。そこで一番大事なのは対話ではないでしょうか。地域のように地続きのところで、連携できる企業や団体などがあれば嬉しいです。TEAM BEYONDさんには行政や社会福祉協議会、大学などとの連携をとりやすくしてもらう、そういうネットワークみたいなものを期待しています」(元木さん)
ひとつひとつの活動がプラスの連鎖を生み出す
ボッチャ大会を開催してみて、参加した皆さんの笑顔を見られる機会を作ることが一番大事だと思ったと語る木村さん。地域住民の方から会社が必要とされていると実感できるのだそうです。
「寄付という支援の仕方もありますが、会社を知っていただくという意味でも地域の一員として貢献し、信頼を得るということは大切です。ひとつひとつの活動が好感度や信頼感を得て、理解を深めてもらうことへの道筋にもなっています。」(木村さん)
住友金属鉱山は地域の方々と協力しながら、これからも粘り強く活動を続けていきます。
住友金属鉱山株式会社
担当部署 | 総務部 |
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