声に出さなくても応援する気持ちは選手に届く！「アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権」決勝戦

試合中、応援の声は出さずに、静かにじっとフィールドを見つめる観客たち…いざ点が入れば、歓声をあげて大盛り上がり！大きな拍手を会場に響かせ、選手と一緒に笑顔になって喜びます。

真剣に見つめる視線の先で行われているのは、ブラインドサッカー。視覚障がいのある選手たちが5人でプレーするサッカーです。

7月7日、第18回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権FINALラウンドが開催されました。この大会はブラインドサッカーのクラブチーム日本一を決める大会。過去最多の22チームの中から予選を勝ち抜いたチームが出場し、3位決定戦と、決勝戦が行われました。

日本一を決める熱い戦いを目に焼き付けようと、たくさんのTEAM BEYONDメンバーが集まりました。今回は試合観戦の様子と、その後ゲストをお招きして開催した交流会の様子をお届けします！

試合中は静かに応援。点が入ったら雨に負けない大拍手を選手に届けよう！

この日はあいにくの雨天にも関わらず、たくさんのTEAM BEYONDメンバーが駆けつけました。レインコートを着用して、観客席にスタンバイします。

試合観戦前にはパラスポーツ案内人のみんなのたかみちさん、TBSラジオパラスポーツ応援リーダーの東塚菜実子さんが登場！ブラインドサッカーのルール、応援の仕方を説明しました。

ブラインドサッカーの試合では、目が見える見えないに関わらず、フィールドプレーヤー全員がアイマスクを着用します。転がると音が鳴る特殊なボールを使用することで、選手たちはボールの位置を把握し、プレーをしているのです。またベンチにいる指導者以外にも、ゴールキーパーと敵陣ゴールの裏に立つ「ガイド（コーラー）」は、視覚による情報を得て、声を出して指示を伝えます。

そのため、試合中は選手が混乱しないよう、静かに観戦をすることがマナー。ただし、点が入った時だけは観客も声を出してもいいことになっています。

ラジオで大会の案内を聞いて、応援に駆けつけたという岩尾さん親子。これから始まる試合に期待を寄せていると話してくれました。

奥様：息子がサッカーをやっているので、まずは今日ブラインドサッカーを見て、これからもパラスポーツの応援に行けたらいいなと思って来ました！

岩尾さん：サッカーをする時に目をつぶってドリブルしているみたいなものだから、本当にすごい。決勝戦が楽しみです。

応援の準備も整ったところで、いよいよ試合が始まります。対戦するのは「free bird mejirodai」と「埼玉T.Wings」。雨音にも負けない大拍手で選手をフィールドに迎え、会場全体に一体感が生まれたところで、いざ前半がスタートです！

あっという間の試合展開！フィールドの選手と観客が思いを重ねる

試合は序盤から激しいぶつかり合いが繰り広げられました。静まった会場では、「タイムアウト」や「ゴールスロー」などのアナウンスが響き渡り、モニターに文字でも表示されるため、詳しいルールが分からなくても安心して観戦することができます。

観客は静かにじっとフィールドを見つめながら、選手と思いを重ね合わせている様子。時に選手が転んでしまうと心配そうな表情を浮かべる人もいました。

開始早々に先手を取ったのはfree bird mejirodai。開始３分、園部優月選手が華麗なドリブルで相手を交わしてゴール！フィールド内で集まって喜ぶ選手たちに向けて、TEAM BEYONDメンバーも拍手を送りました。

そしてその5分後、今度は埼玉T.Wingsの菊島宙選手がゴール！

「おおっ！」「すごい！」と、観客席からは拍手とともに、思わず歓声が上がります。

そしてさらにその後、またも菊島宙選手がゴールを決めました！息をつく間もないくらいの速い試合展開に湧きあがる観客席。嬉しそうに選手に拍手を送っていたのは、今日が初めてのパラスポーツ観戦だという室田さんです。

室田さん：菊島選手は女性だけど、男性選手にも負けずに激しいぶつかり合いをしたり、ボールが見えているかのように敵をかわしてシュートを打ったり、とにかくすごい！これまで身近に障がいのある人があまりいなかったのですが、選手の輝く姿を見れてイメージが変わりました。

パラスポーツを通して、選手たちの生き様を感じたという室田さん。「こんなに楽しいんだったら他のパラスポーツも見てみたい！」と意気込んで話してくれました。

声は出せなくても、心の中でエールを送ろう

2対1で埼玉T.Wingsがリードする中、迎えた後半。両チームとも選手は何度もシュートを放ちますが、惜しくもゴールキーパーにブロックされてしまいました。観客も思わず「ああっ惜しい」と小さく声を漏らします。

後半も10分が過ぎ、いよいよ試合終盤にさしかかる頃、再び埼玉T.Wingsの菊島選手が綺麗なシュートを決めました！さらに調子を上げた菊島選手はその後も連続で得点を重ねていきます。

祈るようにフィールドを見つめていたのは、鎌倉さん親子。良いプレーが出ると満面の笑みを浮かべて笑顔になり、試合展開に呼応して思いっきり応援を楽しんでいました。

鎌倉さん：以前参加した車いすバスケの応援とはまた違って試合中は静か。選手の蹴るボールの音が聞こえたり、よりプレーに集中して落ち着いて観られるのがすごくいいですね。

娘さん：声は出せないけど、通じるんじゃないかと思って心の中で応援してました。そしたら通じたみたいで本当に宙選手がシュートを入れてたから、面白いなって！

ブラインドサッカーならではの応援を楽しんでいたのは、鎌倉さん親子だけではありません。試合が進むにつれて、ゴールが決まった時の応援が一層大きくなり、選手交代のたびに選手をたたえる拍手を送る場面もあり、観客も大いに試合を盛り上げていました。

試合は最後まで絶好調だった菊島選手や、ゴールキーパーの岩崎直選手のナイスセーブもあり、7対1で埼玉T.Wingsが勝利しました！

試合終了のブザーが鳴り響いた時には感動で席を立つ人や、試合について早速語り合う人も。

隣に座って一緒に応援をした恩田さん、鈴木さんは、なんと駅で声を掛け合って今日知り合ったそうです！視覚障がいがあるという鈴木さんは、会場で行われていたラジオでの実況を聞きながら観戦をしました。学生の頃ご自身もブラインドサッカーを体験したことがある鈴木さんならではの視点で、恩田さんと語り合い盛り上がったとのことです。

鈴木さん：試合中、見えない中でコーチの声を聞いたり、仲間同士で声を掛け合って情報共有をするのは難しいですよね。だからこそ、信頼関係がプレーにも現れているように思いましたね。

恩田さん：点が入り、時間が止まった時に、ゴールキーパーも含めてみんながそばに駆け寄って喜んでいる姿を見て、いいなあと思いました。絆を感じましたね。

出会ったばかりの人とも仲良くなり、一緒に盛り上がることができるのも観戦会に参加する楽しさの一つです。

試合後は選手やゲストとの交流も！パラスポーツを様々な視点から楽しむ

試合後の交流会では、みんなのたかみちさん、東塚さんに加えて、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」でパーソナリティを務める荻上チキさん、アナウンサーの南部広美さん、そしてブラインドサッカー選手として活躍する葭原滋男選手が登場！今日の試合を振り返ります。

荻上さん：速い試合展開の中での連携プレーが本当にすごい。見えていないなんて思えなかったです。

南部さん：選手たちは情報処理が速いのかなと思いました。今日は雨の音とか大丈夫だったのでしょうか？

葭原選手：雨だとボールの音も聞こえづらかったり、水で足音がピチャピチャと聞こえてしまうので、いつもよりコンディションは良くなかったとは思いますね。

みんなのたかみちさん：選手はみんなこのコートは初めてでしょう？見えない中で練習と全く違う環境で潜在能力を発揮していましたよね、すごいなあ。

東塚さんは観客席からの応援が与える選手への影響についても触れていました。

東塚さん：ゴールが決まったり、タイマーが止まっている時に私たちが送っていた声援や拍手は選手に聞こえているのでしょうか？

葭原さん：応援はもちろん聞こえますね！見えなくても感じていると思いますよ。今日は皆さんの応援があったから、宙選手の好プレーにつながったんじゃないかな。

トークセッションの後は参加者からの質問も寄せられ、葭原選手が選手の視点から試合展開や選手の作戦について語る場面も。最後はゲストのサイン色紙と荻上さんや南部さんも着用していたTEAM BEYONDのポロシャツを抽選で参加者にプレゼントしました。

応援を楽しんだり、仲間と出会えたり、選手との交流の時間もあった今回の観戦会。参加した方はパラスポーツを様々な視点から楽しむことができたのではないでしょうか。

TEAM BEYONDでは、これからも試合観戦や交流イベントを開催して、パラスポーツを盛り上げていきます！TEAM BEYONDではまだまだ仲間を募集中です。あなたのご参加をお待ちしています！

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