1月30日(土)、TBSラジオの番組『荻上チキ・Session』にて、シッティングバレーボールをテーマにした公開収録がオンライン配信されました。
ゲストを交えたトークのほか、実際にシッティングバレーボールを体験する時間もあり、競技の魅力を体感しながら伝える内容です。
収録の模様はTEAM BEYONDメンバー向け動画配信ツール「AIR STADIUM」とTBSラジオ公式YouTubeで配信されました。
「AIR STADIUM」は、視聴者が同時に参加できる応援ボタンやメンバー同士が交流できるチャット機能など、パラスポーツ観戦をより一層盛り上げる動画配信ツール。この日も多くの方が、オンライン配信を楽しんでいました。
シッティングバレーボールを「知る」コーナーからスタート!
登場したのは、番組MCの荻上チキさん(中央左)、南部広美さん(左)に加え、元バレーボール女子日本代表の大林素子さん(右)と、シッティングバレーボール女子日本代表監督の真野嘉久さん(中央右)という豪華メンバーです。
まずは、真野監督から、バレーボールとシッティングバレーボールの違いを教えてもらいました。
<バレーボールとシッティングバレーボールの違い>
1,座って行う。ジャンプができないのが大きな違い。
2,コートのサイズが異なる。バレーボールは9m×9mだが、シッティングバレーボールは5m×6mと2/3サイズ。
3,サーブを直接ブロックしてOK。バレーボールでは禁止されている。
4,位置が異なる。例えばサーブを打つときに、お尻が線を踏んでいなければ足がコートに入ってもOK。
立って行う通常のバレーボールと違って、シッティングバレーボールでは、移動もボールをアタックするときも座りながら行うため、動きやすさが違います。
※シッティングバレーボールのルール・応援方法等の詳細はこちらから
https://www.para-sports.tokyo/sports/watching-beginner_full/
シッティングバレーボールの経験がある大林さんは「3世代、4世代でも楽しめるし、男女混合、性別関係なく楽しめるところ」と幅広い人たちが一緒に楽しめる面を挙げつつも、「全身筋肉痛になります。肩も腰もバキバキになるので、覚悟してください!」と、これからプレーするメンバーへ、意外なハードさをアピールする場面も。
また、選手についての話では、パラリンピックに出場できるシッティングバレーボールの選手は、主に切断か機能障害のある選手が多いと真野監督。「下半身の障害と思われがちですが、上半身でもOKです」。ただ、ずっと座ってプレーするという性質上、お尻に感覚のない人はプレーできないことになっているとのこと。「感覚がないと床ずれなど二次障害につながるためNGです。そのため、世界を見てみると、切断の選手の方が多いですね」。
オンライン配信ということもあり、視聴者からはリアルタイムで「世界で強いところはどこか」という質問も。真野監督によると、男子ではイランの選手が強いという回答がありました。イランには2m46cmもある高身長の選手がいるそうで、座っていても手を上げると1m90cmくらいになり、ネットから顔が出ている状態になるのだそうです。
さらに「女子ではアメリカにも2m級の選手もいますよ。もうひとつの強豪国・中国は『365日中364日練習しているほどの練習量』で圧倒的な強さを誇っています」という回答。
強さには身長や座高が影響するため「日本にも2m級の選手がいたらいいな」と話していました。
「健常者でもシッティングバレー体験や大会に参加できるのか」という質問には、「コロナ禍がなければ、月1回どこかで無料の体験会をしていますし、夏冬に行われる大会に参加することもできます」という回答がありました。体験会は日本パラバレーボール協会のサイト(https://www.jsva.info/)で案内しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
シッティングバレーボールを実演。体感して「わかる」コーナー
真野監督にシッティングバレーボールのことを教えてもらったあとは、全員で体験してみることに。シッティングバレーボール歴24年という日本パラバレーボール協会副会長の竹田賢仁さんを迎えて、実際にプレーしてみました。
まずは座り方。お尻が床に着いていれば、どんなスタイルでもOKとのこと。それぞれ、座りやすい方法を模索します。足と手を使って動きますが、手はボールを拾うという大切な役割も。全身大忙しです。選手たちは、8時間の練習時間のうち4時間はこの移動の練習に費やすのだとか。シッティングバレーボールにおける移動の重要性が伝わってくるエピソードです。
今回は通常のコートよりも小さいサイズのコート。移動の練習の後は、実際にボールを使った練習を行いました。
トスの基本であるオーバーパスとアンダーパスを教えてもらいました。真野監督曰く「高く上げると、移動する時間が稼げる」とのこと。シッティングバレーボールならではのコツです。
みんなで円になってパスの練習をするも、慣れない動きに全員悪戦苦闘! サクサク仕切る大林さんとは対照的に、南部さんは小さな声で「ハードルが高い…」とつぶやいていました。
次に行ったのはスパイク練習。座ったまま打つパターンと、少し助走をつけて打つパターンの2パターンを練習しました。シッティングバレーボールの場合は、飛び上がることはできないので、バレーボールのような時間差攻撃はできないのが大きな違いです。
みなさん、最初はなかなか当たりませんでしたが、徐々にタイミングが合うように。元バレーボール選手の大林さんは「助走がないと難しい!」と言いながらも、打ち方にプロらしさをにじませていました。
スパイクを打ちながら、話題に上がっていたのがシューズの話。座って行うプレイスタイルですが、日本だけはシッティングバレーボール用のシューズを開発しているそうで、かかとをしっかりカバーしたものになっているのだそう。「それ以外だと、綱引き用の靴がいいと言われている」と真野監督。独特の動きが求められるシッティングバレーボールには通常のバレーボールとは違う機能の靴が求められているのですね。
最後は試合のスタートに欠かせない「サーブ」の練習へ。フリーの状態で打つことができ、点数がとれるサーブは貴重な一打です。線の内側に足が入っても、お尻が線を踏んでいなければOKです。
ただ、実際サーブを入れるのは難しいそうで、ブロックされてしまうことも多いのだそう。そこで、今回は交代でブロック役もやりながらサーブの練習をしました。大林さんから「3枚もブロックがいると、距離が近い分、やっぱり威圧感が出ますね」という感想も。
最後に、試合形式で真剣勝負!
最後は2チームに分かれて実際の試合を体験。南部さん&竹田さんチームと荻上さん&大林さんチームで戦いました。
真野監督からは「少しでもラリーが続くように」という指示がありましたが、そこはお互い本気で打ち合います。いつの間にか点の取り合いのような状態へ!点数が入ると「イエーイ!」と声を上げて大喜びする大林さん。無邪気にシッティングバレーボールを楽しんでいました。
本気でプレーする様子に、「AIR STADIUM」で観戦する人たちも大盛り上がり!画面上に応援スタンプが飛び交っていました。荻上さん&大林さんチームのサーブが入ると、南部さんも声を上げて「今のは悔しい!!」とさらにヒートアップ。
途中から、より軽く柔らかいふわっとしたボールへチェンジしましたが、跳ねすぎてしまい、かえってボールのコントロールが難しかったようで、元のボールに再度チェンジ。真野監督からは「最後は決めにいかずにみんなでラリーをつなげましょう」という声が。「つなぐ!」「1,2,3で返そう!」と声を掛けながら、最後は、みんなで仲良くラリーを続けていきました。
終わったあとには全員汗だく状態に。大林さんは「楽しかったー!」と、心からの一言。みなさん、短い時間でもプレーを満喫していました。
見るだけじゃなく体験も!
実際にプレーをして、大林さんも「運動量はかなり必要ですね!いい運動になります」と太鼓判。荻上さんも「見ている人にも、一度プレーしてみてほしい」と体験することで、より楽しくなる競技とアピール。
視聴者からも「プレーすると、普通に試合を見るよりどこが難しいかわかりやすそう」というコメントもありました。
南部さんも「楽しかった」と話ながらも、ハードな運動だったようで「明日の筋肉痛が心配です(笑)」と話していました。
最後に、真野監督は「今後、シッティングバレーボールの認知をもっと高めていき、最終的には学校体育にも取り入れてもらいたいですね。老若男女誰でもできるスポーツなので、一生涯のスポーツとしてやってもらえると嬉しいです」と熱く目標を語ってくれました。
今回の「知る」、「体験する」を通して、みなさんシッティングバレーボールの魅力をより理解することができました。実際にプレーすることで、どの選手がどうすごいのか実感することもできるので、観戦をさらに楽しむためにも、体験会のチャンスがあれば、ぜひ参加してみてください。