TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「5/12 上智大学CÉCITOUR TOKYO(千代田区)」実施レポート

2024.05.24
TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「5/12 上智大学CÉCITOUR TOKYO(千代田区)」実施レポート

2024年5月12日(日)、上智大学四谷キャンパスで開催された障害者スポーツ・音楽・テクノロジー・フランス文化が融合するイベント「CÉCITOUR TOKYO」(セシツアートウキョウ)。その会場内にある体育館で、「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」を実施しました。

視覚障害者柔道の体験プログラムに、ゲストアスリートとしてリオ2016パラリンピックの視覚障害者柔道で銀メダリストの廣瀬誠さん、2023年の全日本視覚障害者柔道大会の銀メダリストの佐々木義幸選手を迎えたほか、ゴールボール体験、デジタル技術を活用した馬術体験も実施。パラスポーツを楽しむ参加者たちの姿をたくさん見ることができました。

当日の様子やそれぞれのパラスポーツの魅力を紹介します。

視覚障害者柔道

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「5/12 上智大学CÉCITOUR TOKYO(千代田区)」実施レポート

キャンパス内にある体育館に畳を敷いて、アスリートが参加するプログラムである視覚障害者柔道の体験会が始まりました。最初に視覚障害者柔道についての説明があり、続いてゲストアスリートである、リオ2016パラリンピックの視覚障害者柔道で銀メダリストの廣瀬誠さん、2023年の全日本視覚障害者柔道大会の銀メダリストの佐々木義幸選手による自己紹介の後に、試合のデモンストレーションを披露していただきました。

自己紹介の際には、弱視である廣瀬さん、佐々木選手は共に視野の真ん中はぼんやりしてその周囲に濃い霧がかかったような状態にあり、少し離れたところに人がいてもどんな人なのか分からないほどだと話していました。しかし、試合が始まると、動きのスピード感や受け身をとった際に鳴り響くパーンという音がすさまじく、参加者たちは二人に圧倒された様子でした。廣瀬さんからは、自身の障がいについて「不便だけど不幸ではない」というコメントもいただくなど、競技のみならず、障がいの捉え方についても知る機会となりました。

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視覚障害者柔道は基本的に健常者と同じルールで、10メートル四方の畳の上で行われますが、大きな違いが二つあります。一つは、互いの襟と袖を持って組み合った状態から開始されること。もう一つは、試合者が場外に近づいた時に主審が「場外、場外」と声を掛けることです。

組み手が離れると主審から「待て」が掛かって、開始線に戻って組み合った状態から再びスタートします。その間はタイマーを止めるルールがあるため、試合の4分間に休みなく技の応酬が繰り広げられることになり、組み手争いに時間を要することがしばしばある健常者の柔道に比べて視覚障害者柔道にはハードな側面があります。

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廣瀬さんと佐々木選手のデモンストレーションを見た後は、いよいよ体験の時間。お子さんをはじめ、幅広い年齢層が集った参加者は、道着を羽織ることでうれしそうな表情に。最初はいつもの見える状態で、その後はアイマスクを着用して、廣瀬さん、佐々木さんに技を仕掛けたり、仕掛けられたりしてどのような違いがあるのかを実際に感じてみました。

体験した20歳の参加者は、興奮した表情で感想を語ってくれました。「中学校の体育の授業で同級生と組むのと違い、プロと組むとズッシリと重心を感じて、あっという間に投げられました。アイマスクをしていると投げられた際は左右のどちらに転ぶのか感覚では分からないけれど、組んでスタートする際には見えている時と同じような状態を想像できたことが意外でした」と話してくれました。

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この体験会を担当していたのは、視覚障害者柔道の選手の強化と障害者スポーツの普及に努める『日本視覚障害者柔道連盟』。同団体事務局長の松下邦彦さんは、体験会への思いを話してくれました。「実は視覚障害者は100万人いると言われていますが、白杖を使っていなければ視覚障害者だとは認識されず、日常生活でどれほどの不都合があるのかを理解されづらい状況にあります。このような体験会で視覚障害者の暮らしについて参加者に感じてもらったり、プロのすごさを通じて視覚障害者と健常者のギャップを縮めたりすることで、共生社会の一歩になればと思っています」。

ゴールボール

ゴールボールは1チーム3人で鈴の入ったボールを投げ合い、得点を競う対戦型の競技です。静まりかえったコートの上で選手は視覚以外の感覚を研ぎ澄まして、攻撃側は相手ゴールにボールを投げ、守備側はゴールを守ります。

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実際の試合のコートは横9メートル、縦18メートルの広さですが、この日は小さなコートを再現してゴールボールの体験をすることができました。参加者は、ボールを投げるシューター役と、ボールをゴールから守るキーパー役の両方を体験しました。

ラインの前に座り、ボールを体のそばに置いて準備。そして、アイマスクをすると状況が一変して、見えている状態でボールを投げるのとは感覚が異なってしまうことに参加者は驚いていました。真っ直ぐ投げたつもりがゴールを外してしまったり、また、ゴールに入れることを意識しすぎてボールをゆっくりと投げてしまったりして、視覚以外の感覚に頼ることの難しさを感じました。

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さらに難しかったのはキーパー役。アイマスクをしてもどこにボールが転がってくるのか、検討もつきません。しかし、感覚の鋭い参加者は、ボールの音の大きさで現時点での距離を感じたり、コースを読み取ったりして上手にキャッチしていました。

デジタル技術を活用した馬術体験

障がいに応じて工夫された手綱や鞍を使用して、騎手と馬が一体となって演技の正確性や美しさを競い合う馬術競技。実際に馬に乗って体験することは難しいため、会場内ではパラ馬術ゲームを通じて馬術(視覚障がい)の擬似体験ができました。

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人形の馬にまたがって手綱を持ち、モニターに映し出されたコースに合わせて手綱を動かして30秒以内にゴールすることを目指します。1回目は画面を見ながら、2回目はアイマスクを装着した状態で、位置を知らせるサポートを行うコーラーの掛け声を頼りにゴールに向かいます。

見えている状態では上手にゴールまでたどり着けても、見えていない状態で行うとコーラーのサポートがあっても途端に難易度が上がり、見えている時とそうでない時の感覚の違いの大きさに驚きの声を上げる参加者もいました。
このようにゲームを通じて体験することで、視覚情報がない中で生き物である馬と一緒に競技を行うことに対してどんな難しさがさらにあるのかが気になってきそうです。

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その他

体験会の他にも、さまざまなパラスポーツを紹介するパネルや、デフリンピックに関するパネル、実際の競技用具等の展示もあり、より深くパラスポーツについて知ることができました。

5人制サッカーの競技用具を紹介していたブースでは、来場者のお子様がアイマスクをした状態でどんな風な音がするのかを実際にボールに触れて確かめたり、数歩離れた位置からボールを鳴らしてみて、ボールを鳴らした人がどの位置にいるかを当てあったりしていました。

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また、東京2020大会のレガシー展示の中では、競技のピクトグラムが点字で紹介されているパネルや、視覚障害者が手で触れてデザインを認識できるエンボス加工された大会エンブレムバッヂなども展示されており、東京2020大会に思いを馳せている方もいらっしゃいました。

さまざまな角度からパラスポーツの魅力を伝える「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」。競技を体験したり、アスリートによるデモンストレーションや展示物を見たりするだけでも、新たな世界が広がります。興味を持った方はぜひ次回の「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」に参加してみてはいかがでしょうか?

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次回は6月22日(土)に開催される「パラスポーツinかつしか2024」(会場:奥戸総合スポーツセンター体育館)にて実施します。ぜひご参加ください!

パラスポーツ体験プログラムでは、スタンプラリーを実施しています。集めたスタンプ数に応じてオリジナルグッズをプレゼント!皆さんの参加をお待ちしています!

・スタンプラリーの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/passport

・パラスポーツ体験プログラム 今後の実施予定はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/schedule

・TEAM BEYOND LINE公式アカウントの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/topics/activity/line_open

20240524

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