TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「9/21 荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り(荒川区)」実施レポート

2024.10.04
TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「9/21 荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り(荒川区)」実施レポート

2024年9月21日(土)、荒川区にある荒川総合スポーツセンターで開催された「荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り」で、「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」を実施しました。

9月8日に閉幕したパリ2024パラリンピックで日本は14個の金メダルを獲得し、大いに盛り上がりました。今回の体験プログラムでは、車いすラグビーで初の金メダルを獲得した羽賀理之(はが まさゆき)選手、そして2019年のIWRFアジア・オセアニアゾーン選手権大会で銀メダルを獲得した乗松隆由(のりまつ たかゆき)選手をゲストアスリートとして迎え、車いすラグビー体験を行いました。

当日の様子やそれぞれのパラスポーツの魅力を紹介します。

車いすラグビー

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「9/21 荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り(荒川区)」実施レポート

車いすラグビーは別名「マーダーボール(殺人球技)」とも呼ばれる、激しいスポーツです。
パラリンピック競技の中では車いす同士のぶつかり合いが許される唯一の競技で、もともとは四肢麻痺など、比較的重い障がいがある人が競技することができるチームスポーツとして考案されました。

この日の体験プログラムは、羽賀選手、乗松選手の自己紹介からスタート。
羽賀選手は18歳の時にバイク事故で頚髄(けいつい)を損傷して車いす生活となり、20歳の時に車いすラグビーと出合ったそうです。「それから20年近く競技を続けています。それだけ楽しく、魅力のあるスポーツなのです。今日はその楽しさをみなさんにも体験してもらいたいです」と話しました。

乗松選手は、シャルコー・マリー・トゥース病という先天性の難病のため、車いす生活になったことを話しました。
「この病気は手足の筋力が少しずつ衰えていく病気で、私も小学5年生くらいまでは歩けていたのですが、病気が進行して、車いすを使うようになりました」。
車いすラグビーの特徴であるタックルについて、乗松選手は「ゲーム中にボールを持っている私に敵チームの選手が思いっきりぶつかってきて、もし私の車いすが転倒したら、『倒れたお前が悪い』という考え方で、相手ボールで再開されます。と言うことは、相手は本当に私を倒そうという気迫で、全力でタックルしてくるわけです。その迫力やスピード感が車いすラグビーの面白さになっています」と説明しました。

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体験会に向けて、羽賀選手と乗松選手が正面同士でぶつかり合うタックルをデモンストレーションしてくれました。
両選手がぶつかった瞬間に「ガーン」という大きく鈍い音が体育館内に響きわたります。
音の迫力は、同会場で実施している他競技の体験会の参加者も振り向くほど。
ゲストアスリートの動きを参考に、参加者が実際に車いすに乗り、そのタックルに挑戦しました。

競技用の車いすは、実際に試合で使用されているものを競技団体側から貸し出していただいた本格的なもの。
重そうな見た目と打って変わって操作性は抜群で、キビキビと小回りがききます。車いすにも形状の違いがあり、オフェンス(攻撃)型とディフェンス(守備)型の2種類があるとのことでした。

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競技体験では、羽賀選手チーム、乗松選手チームに分かれ参加者がそれぞれ3人ずつ振り分けられ、4人対4人で5〜10分間のミニゲームを行いました。
ミニゲームでは、ボールを持って相手チームのトライラインを越すと1点獲得。チーム内でパスをまわし、膝の上にボールを乗せて車いすを走らせ、トライを狙います。ゲームが進んで慣れてくると、タックルを仕掛けたり、ボールを持っていない選手の動きをブロックしたりといったプレーも出てきました。
そして、トライが決まると、自然と歓声が湧きあがりました!

今回の体験では、参加者が即席でチーム分けされたため、4〜5歳くらいの子どもからその親の世代、さらにその上の世代までいろいろな年代が同じチームになりました。実際の車いすラグビーでは、障がいの程度によるポイント制が導入され、さらに女子選手へのポイント加算もあるため、試合時には男女混合で、障がいが重い選手から軽い選手までが一緒にチームを組んでプレーをしています。激しいスポーツであることに間違いはありませんが、パスやブロックなどを効果的に使い、戦略を練ることで、多種多様な選手が一緒に参加できるスポーツであること実感できます。

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体験会の後、乗松選手は「(車いすラグビーの)試合観戦を楽しんでもらうだけでもいいのですが、実際に競技用の車いすに乗っていただき、体験していただくと、やはり伝わるものが違ってくると思います。車いすラグビーを好きになってもらうきっかけにもなると思うので、こういう体験会には積極的に参加するようにしています」と話してくれました。

また、羽賀選手は「参加者の皆さんの喜ばれる顔を見ると、私たちも本当にうれしいし、力が湧いてきます!今回は金メダルを持ってこられたことも良かったです。皆さんに実際に持っていただき、その重さを感じたりしていただければ、メダル冥利(みょうり)に尽きます」とコメントしてくれました。

ゴールボール

会場には、ゴールボール体験コーナーが登場。
ゴールボールは視覚障がい者のために考案されたスポーツで、1チーム3人で鈴の入ったボールを互いに投げ合い、得点を競い合う対戦型競技です。ボールの大きさはバスケットボールとほぼ同じですが、その重さは約2倍で1.25キログラムあります。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「9/21 荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り(荒川区)」実施レポート
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競技の際には障がいの程度で差が出ないように、選手全員がアイシェードを装着し、完全に目隠しをします。投げられたボールがどの方向からどのような速さで来るのかは、ボールの中に入っている鈴の音だけが頼りになります。そのため試合中は、審判による「クワイエット・プリーズ(お静かに)」の合図で、試合の観戦者も音を出すことが厳しく制限されます。つまりゴールボールは、静寂の中で時速60〜70キロメートルの速さにもなるボールが行き交うスポーツなのです。

この日の体験では、参加者にアイマスクで目隠しをしてもらい、実際にボールを投げることと、守備側にもなってボールを止めてみる体験をしていただきました。鈴の音だけでボールの動きを判断することがどういう感じなのか、どれほど難しいかを体験することができます。
小さな子どもから大人までいろいろな年代の方が参加してくれました。
アイマスクをすると、相手ゴールの方向もはっきりとは分からなくなり、斜めの方向にボールを投げたり、守備側になった際にはボールの動きが分からず、手がすくんだりする光景もありました。

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参加者の中には「音だけしかない世界になると、転がってくるボールを大きく感じたりして、怖さもありました。選手たちのすごさを感じることができました」と感想を話される方もいました。

VRを活用したアーチェリー体験

VR(ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実)を活用したアーチェリー体験も実施しました。アーチェリーは離れた的に向かって矢を放ち、その得点を競い合う競技です。パラリンピックでは、1960年の第1回ローマ大会から正式競技として採用されている、歴史ある競技です。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「9/21 荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り(荒川区)」実施レポート
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VRアーチェリー体験では、参加者は車椅子に乗車をしてVRゴーグルを装着後、コントローラーを1本ずつ両手に持って矢を持ち、弓を引く動作をして、ゴーグルの中で見えている競技場の的に向かって矢を放ちます。
1射あたりの制限時間は15秒。
的に向かって矢を放つだけなので、十分な時間のように感じられますが、これが難しく、的が定まらずに「タイムアウト(時間切れ)」になる方も見られました。

また、パラリンピックのアーチェリーでは、さまざまな障がいがある選手が参加します。両腕を欠損している選手は足や口だけで弓と矢を構え、的を射抜いていきます。競技のルールは健常者が参加する一般のアーチェリーとほぼ同じなので、パラリンピックとオリンピックの両方に参加し、活躍する選手もいます。会場では、そんなアーチェリーの特徴や魅力も参加者の皆さんにお伝えしました。

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その他

ボッチャ、バドミントン、自転車競技などさまざまなパラスポーツの特徴と魅力を伝えるパネル展示を行いました。「ブラインドサッカー」とも呼ばれる5人制サッカーの紹介では、実際に競技で使用する、転がると「シャカシャカ」と音が出るボールや、選手が着用するアイマスクの展示も行いました。実際にそのボールを転がし、「こんな音が出るんだ」と話す子どももいました。
また、2025年に東京で開催されるデフリンピックの紹介コーナーを設けました。デフリンピックは聴覚障がい者のための国際大会で、オリンピック・パラリンピックと同様に4年に1度、夏季大会と冬季大会が開催されています。第1回の開催は1924年で、東京大会は100周年の記念すべき節目の年の開催となります。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「9/21 荒川スポセンフェスティバル in 秋祭り(荒川区)」実施レポート
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体験や展示でパラスポーツの魅力を知ってもらう「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」。
実際に体を使い、やってみることで、そのスポーツの楽しさや難しさを知っていただくきっかけになったのではないかと思います。この体験を通して、パラスポーツへの関心や理解がより深まっていったのではないでしょうか!

次回の10月14日(月・祝)は、「市民スポーツ・レクリエーションフェスティバル2024(昭島市)」、「小金井市スポーツフェスティバル」、「市民スポーツまつり(羽村市)」の3会場で同日開催します。【スポーツの日】の祝日に、パラスポーツを体験してみませんか?ぜひご参加お待ちしています!

パラスポーツ体験プログラムでは、スタンプラリーを実施しています。集めたスタンプ数に応じてオリジナルグッズをプレゼント!皆さんの参加をお待ちしています!

・スタンプラリーの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/passport

・パラスポーツ体験プログラム 今後の実施予定はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/schedule

・TEAM BEYOND LINE公式アカウントの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/topics/activity/line_open

20241004

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