車いすラグビー
- 競技概要
- 四肢に障がいのある人向けに考案された競技ながら、「マーダー(殺人)ボール」という別名がつくほどの激しさに誰もが驚く。パラリンピック競技で唯一、車いすによるタックルが認められており、「ガーンッ!」という車いす同士が衝突する音がコート中に鳴り響く。得点が入りやすいため、逆に言えばひとつのミスによる取りこぼしが命取りになることがしばしば。シーソーゲームの展開が多いのも特徴だ。日本代表は、2012年ロンドンパラリンピック大会で4位と躍進し、2016年リオデジャネイロではついに初の表彰台に上がり、銅メダルを獲得した。
- ルール・用語
- ・1チーム4人で構成され、選手は障がいの程度に応じて持ち点がある。障がいが重い方から「0.5」「1.0」「1.5」「2.0」「2.5」「3.0」「3.5」の7クラスに分けられ、コート上の4人の合計を8.0点以内におさめなけばならない。女子選手が含まれる場合は、女子1人につき0.5点の追加ポイントが許可される。
- ・1ピリオド8分×4ピリオドを行い、合計得点を競う。
- ・攻撃側は、12秒以内にセンターラインを越えなければならない。
- ・攻撃側は、40秒の制限時間内にゴールしなければならない。
- ・ボールを持っている選手の車いすの2つの車輪がゴールライン上に達すると得点となる。
- ・ボールを持っている選手は、10秒以内に1度はドリブルかパスをしなければならない。
- ・健常者のラグビーとは違い、前方へのパスが認められている。
- ・ペナルティーを課せられた選手は、1分間もしくは相手チームが得点を挙げるまで、ペナルティーボックスに入り、プレーすることができない。
- 観戦のポイント
- ・あまりに激しい衝突のために、選手が乗っている車いすはボコボコでキズだらけ!車いすが宙に浮いたり、激しく転倒することもしばしば。
- ・チームには「アタッカー(攻撃)」と「ブロッカー(守備)」の選手がそれぞれいる。よく見ると、それぞれの車いすには多くの違いがある。アタッカーの車いすは、相手のブロックをよけて狭いところでも機敏に動けるように前方のバンパーは短く、相手の衝突に耐えられるようにサイドに「ウイング」が取り付けられている。一方、ブロッカーの車いすは相手の車いすにひっかけて動きを止めるためにバンパーが長い。主に、より障がいの重い選手がブロッカー役を担う。
- ・選手は単純に衝突しているわけではなく、味方にゴールへの道をつくるために、相手の動きを止める「縁の下の力持ち」的存在が必ずいる。
- ・1点差ゲームも少なくなく、最後に得点を挙げたチームが勝つことも。そのため、選手たちは常に残り時間を計算しながら得点し、最後の得点を狙っている。得点チャンスにもかかわらず、ゴール前で時間稼ぎのような動きをするのは、そうした戦略があるからだ。
20240909