呼吸を止めて見入る3秒間!選手と観客の一体感が魅力のパラ・パワーリフティング

2018.02.01
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しんと静まった雰囲気の中、ベンチプレス台に寝そべった選手は、バーベルを持ってゆっくりと呼吸を整えます。そこから一気に腕を引き延ばす!

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「Good Lift!」の文字とともに大きな歓声が湧き上がります。

行われているのは、下肢障がいの選手によるベンチプレス競技「パラ・パワーリフティング」。下肢障がいのある選手が、上半身の力を使って、 おもりのついたバーベルを持ち上げ、体重別で分かれた階級の中で順位を競います。

この日は「パラ・パワーリフティング」の日本一を決める大会、「第18回 全日本パラ・パワーリフティング選手権大会」が開催されました。

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「パラ・パワーリフティングの迫力を間近で体感したい!」そんな思いを持った「TEAM BEYOND」メンバーが会場に駆けつけました。

スティックバルーンを持っていざ、観客席からエールを送ります。

「フレ!フレ!パラパワ!」応援で生まれる一体感

大会開始前には、この日の会場である日本体育大学の応援団部(リーダー部)による応援も行われました。

「フレ!フレ!パラパワ!」の手拍子も相まって会場は大盛り上がり。

「パラ・パワーリフティング」では、セッションごとにクラスが振り分けられます。この日競技に挑んだのは、1セッションあたり10人程度の選手。

選手入場からバーベルを持ち上げるまでは2分以内、選手がバーベルを持ち上げる時間はなんと3秒ほどと言われています。

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自己ベストの更新に期待がかかっていた「マック」ことマクドナルド山本恵里選手が入場です。

「GO!GO!マック!GO!FIGHT!WIN!」

応援団と観客のコールのあと、選手は足にベルトを巻いたり、集中を高めるために腕を伸ばしたりとそれぞれの準備に入ります。そしてバーベルを持ち、静まった会場の中でゆっくりとバーベルが持ち上がっていきます。

「Good Lift!」

見事に自己ベストの51キロを上回る53キロに成功です!笑顔で手を振りながら退場する山本選手に、会場からは「マックー!」と熱い声援が送られていました。

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競技後、山本選手は今日の記録と今年を振り返って、来年に向けた意気込みを語ります。

「今年はスランプの年で苦しい時間も多かったから、今日は自己ベストを更新できて本当によかったです。

私はまだまだこれからの選手なので、2020年に向けてもっともっと頑張ります。応援よろしくお願いします!」

「会場が盛り上がるとバーベルが軽くなる」応援のパワーを感じながら

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手を振りながらステージに登場し観客を沸かせていたのは、ピーターの愛称で呼ばれる三浦浩選手。この日は腰の不調を抱えながらも117キロを見事成功させ、120キロに挑戦です!

バーベルは綺麗に持ち上がったようにも見えましたが、画面に映る「No Lift!」の文字に会場からも「あ〜」「惜しいなあ」との声が。

「うーん。これは厳しい判定ですね、微妙に傾いていました。」

こんな風に一見成功したように思えても、審判にしか分からないような細かな判断もあるのだと、日本パラ・パワーリフティング連盟理事長の吉田進さんは解説します。

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競技後に三浦選手は、今日改めて感じた応援のパワーを語ってくれました。

「応援が盛り上がっていると、自分でもびっくりするほどのパワーが出るときがあるんです。今日も後半みなさんが盛り上げてくれたおかげで、重量が上がっても、2巡目より3巡目の方が軽く感じましたよ。

パラパワーは短い競技時間ですが、その中で息が止まるような緊張感を味わったり、成功して盛り上がったりする。見てくださっている人と一緒に共有できるのが面白いです。」

応援している側にも伝わる選手の緊張感

この日男子65キロ級では、城隆志選手、篠田雅士選手、佐野義貴選手、田中翔悟選手が優勝を巡って熱い戦いを繰り広げていました。最後の最後まで接戦を繰り広げながら、優勝を手にしたのは130キロを持ち上げた城選手!

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惜しくも2位に輝いたのは、本日自己ベストを更新し128キロを持ち上げた篠田選手です。声をあげて熱い応援を送っていた込山幸恵さんは、その篠田選手と同じ会社に勤めているそう。

「今日はすごく面白かったです!篠田さんも2位で良い成績を残すことができてよかった。会場に来ると応援している側にも選手の緊張感が伝わりますね。

娘も一緒に連れて来ましたが、障がいのある人と接する機会がこれまであまりなかったので、選手の一生懸命な姿を見て勉強にもなったと思います。」

祈るように競技を見つめていたのは、今回初めてパラスポーツの観戦に来たという林敏広さん。

「以前参加した音楽イベントでパラスポーツが紹介されていたのをきっかけに興味を持ちました。実際に生で見てみると面白いですね。こんなに楽しいので、これからも色々な切り口でパラスポーツを伝えて、たくさんの人に知ってもらえたらと思います。」

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選手と気軽に交流する時間も!
あなたも一緒に応援しませんか?

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休憩時間には、選手とTEAM BEYONDメンバーの交流会を開催!「パラ・パワーリフティングをはじめたきっかけは何だったんですか?」「今の目標は?」などと、メンバーと選手が気軽に話をしていました。

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現在15歳の森﨑可林選手は、今回が大会初出場にもかかわらず36キロを成功!交流会では、好調に見えた今日、意外にもとても緊張していたのだと打ち明けてくれました。

「初試合なので緊張で手足が冷え切ってしまっていました。でも壇上に出たらみなさん応援してくださっていたので、やるしかないと思って!堂々と決めることができました。」

選手と楽しそうに話をしていた池邉曜さんは、様々な人が楽しめるようにと作り込まれたルールによって繰り広げられるパラスポーツが、大好きなのだそう。

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「震えてると持ち上げたことにならなかったり、少しでも曲がってしまうとアウトだったり。ただベンチプレスするだけじゃない、パラ・パワーリフティングならではのかっこよさに感動しました!

また普段なかなか障がいのある人や、スポーツ選手の方と接する機会がなかったのですが、今日はこんなに楽しく交流ができてよかったです!」

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最後はTEAM BEYONDメンバーと選手で記念撮影!試合中の真剣な姿とはうって変わって、交流会では気さくな選手たちに、TEAM BEYONDメンバーも楽しそうに交流をしていました。

今回の大会には、日本全国各地から史上最多の47人の選手がエントリーをしました。そして今年にはここ日本でアジア選手権の開催も決まっています!

ますます盛り上がりを見せるパラ・パワーリフティングを、ぜひみなさんも会場で一緒に応援しませんか?

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