放課後BEYOND ニューススタンド

第4回「JKシッティングバレーの真相を知る!」

さりおプロフィール

1999年生まれ
■放課後BEYONDに参加した理由:
TEAM BEYONDの存在を知って、自分がなぜパラスポーツに興味がなかったのか疑問に思ったから
■未来の東京が、こんな風に変わったらいいな:
趣味がパラスポーツでも、誰も不思議に思わない未来になって欲しいと思います!

春から大学生になります高校3年生の紗莉央です!
今回このニューススタンドでは、私が日本パラバレーボール協会代表理事の真野嘉久さんを訪問した際に伺った貴重なお話を発信したいと思います!

放課後BEYONDの活動でシッティングバレーの体験会に参加した際、誰よりもシッティングバレーを盛り上げ、率先して説明などもしてくれていたのが真野代表理事でした。代表理事なのに自ら試合の審判を行うなど、とても熱心な姿に惹かれたのが、取材したいと思ったきっかけです。

?真野嘉久代表理事のご紹介?

1965年 大阪府豊中市に生まれ、
1987年 東海大学体育学部卒業
中学から大学までバレーボールに熱中し、1997年にシッティングバレーボールに出会う。 2000年 女子世界選手権 オランダ全日本監督。
同年、シドニーパラリンピック全日本男子監督
2002年 
男子世界選手権 エジプト全日本男子コーチ。
同年、女子世界選手権 スロベニア全日本女子監督
2004年 
アテネパラリンピック全日本男子監督などを歴任。 現在は日本パラバレーボール協会代表理事と全日本女子チームの監督を兼任し、2008年北京パラリンピック初出場へと導く。


2月14日、私は日本パラバレーボール協会代表理事である真野嘉久さんを訪問しました。
インタビューのために用意してきた質問内容に失礼がないか、不安でドキドキしながら当日を迎えました。軽い自己紹介の後、早速質問タイムへ。

?シッティングバレーの奥深さ?

山口:いきなりですが、真野さんが思う一番のシッティングバレーの魅力ってなんですか?
真野さん:シッティングバレーはとてもルールが変えやすいのが魅力かな。ボールを軽くしたり、ネットの高さを変えたり。あと、人数を変えたりもできるスポーツだよ。
山口:(なるほど…)
真野さん:逆に山口さんはなぜシッティングバレーに興味をもったの?
山口:(え?!なんか逆に質問された?!)私は中学の頃バレー部だったのですが、放課後BEYONDに入っていろいろなパラスポーツを知っていく中で シッティングバレーについて知り、立ってやるバレーしか知らなかったので座ってやるバレーにも興味を持ちました。
真野さん:ではなぜ今まで山口さんがシッティングバレーを知らなかったのでしょうか?まずは、なぜシッティングバレーをいままで知らなかったかを考えて欲しい。
山口:(確かになんで知らなかったんだろう?)
真野さん:シッティングバレーを知ってもらいたいのは嬉しいよ。でも今ここで知識なしの1ページ目を開くとなると僕は協力できない。「歴史があっての今」で、「今ここで楽しい」からは誰でもできる。深く考えてくれると率直に嬉しい。
山口:(めっちゃ真剣な顔してる!体験会の時はすごく面白いかんじの人だったけど、すごく真面目な人でもあるんだなー)
真野さん:「歴史があっての今」を簡単に説明しよう。シッティングバレーはなぜ普及しないのかと考える学生さんはいっぱいいるんだ。でも、普及していなくて当たり前なんだ。なぜなら、普及するために我々は何もやっていなかったから。そもそもの普及させようとする過去(歴史)、がない。だけど、普及しようとする歴史がないことは、別にいけないことじゃないよ。
山口:(てことは、つまり今は過去がない状態でこれからどんどん普及させていかねばならないということ…)
真野さん:僕はね、日本選手権に20年間関わっているんだけど、1年前の日本選手権との違いわかる?
山口:(うーん。なんだろう。)
真野さん:それは、一年前までは観客を考えた大会はしたことがないこと。
参加者がいかに楽しんでくれるかが主催者の想い。その目的というのは障害者も健常者も一緒になってこの世の中生きていく上での共存する社会を作るためのコミュニケーションの大会。なので、みてくれる人はどうでもよかった。ただ、今回2020年パラリンピックに向けて観客動員をしてもらわないといけないこともあり、見てもらわないといけないから大々的な大会を行った。ということもあることを考えて欲しい。だから山口さんが知らなかったのは当然。そして、最初に僕にシッティングバレーの魅力を聞いたけど、自分の思うシッティングバレーの魅力を話して欲しいな。
山口:はい!(パラスポーツで健常者と障害者が共存できる社会にしたいのに、パラリンピックとオリンピックって別れてて、自分たちで壁を作ってるみたい。)
真野さん:山口さんはパラスポーツって発展するべきだと思う?そもそも障害者がいる世界は果たしていいのか?
山口:(確かに障害者って減った方が良くないか?)
真野さん:今は大きく分けて三つの分類があって、

健康医療(ポリオなどの生まれつき障害を持つ人)、
社会情勢(アメリカなど戦争で障害を抱えるようになる人)、
交通事故(日本でも多い)。

日本では(昭和38年より)ポリオワクチンを打つので生まれつきポリオはないが、イランなどの国ではまだワクチンが行き届いてなく、生まれつき下半身麻痺状態の人も多い。だからイランのお国柄として、生まれつき障害のある人はシッティングバレーをやる、とスポーツが決まっていたりする。
山口:そうなんですね。(えー!じゃあパラリンピックのシッティングバレーってイランめっちゃ強いじゃん!!やばっ!!)

?究極の選択?

真野さん:あとね、 もしも今ここに身長2mもあるプロのバレー選手がいるとして、その人の足が骨肉腫で手術しなければならないとします。その時の手術方法が2つあります。骨を人工骨に変え、足を残す。それか、転移が怖いので足を切断する。女の子です。 だから普通は切りたくないよね?でも僕はシッティングバレー女子の監督です。2020年間近です。足切ってもらった方が僕にとってはいいんですよ。
山口:?!?!?!
真野さん:そうなると、その人に対して足を切れと果たして言うか?言いたい自分もいるのよ?メダルを取るために。そして、足を残したとしても軽い障害者は一人しか入れられない。
山口:んんんー。(人として足を切れなんて言ってはいけないことであっても、チームのために思ってしまうのはとても心が痛いな。)
真野さん:そして、日本では昔、障害を持った人は隠したりするのが当たり前だったけど、今の時代は違うよね?でも障害を持っていて引きこもっている人はまだまだたくさんいる。だからその人たちに外に出てもらうためのパラリンピックは必要だと思うんだよね。それに今、テレビとかで「パラ選手新人発掘!」とかやってるけど、あれは発掘じゃないよね。発見だよね。だってパラ選手は新たに作るものではなくて、障害を持っている人を探すから、発見だと思うんだよね。もちろんオリンピック選手は努力してみんななるものだから発掘だと思う。
山口:(確かにテレビとかで安易に放送しているのは良くないかも。24時間テレビとかもすごく障害者と健常者の壁を感じるなー)
真野さん:もちろんパラリンピックに出ることでリハビリにもなるから、障害を持っていて引きこもっちゃっている人が出場できるパラリンピックは必要だと思う。僕が20年前から言っていることなんだけど、「障害者スポーツを一生涯のもの」にしたい。
山口:おおお!(障害者と一生涯をかけてる感じの響きがかっこいい!そしてすごく印象に残るインパクトのある言葉だなー)
真野さん:障害者だけではなく、健常者も共に行いたい。その場限りで終わってしまったり、意味がなくなってしまったりするのが嫌だと僕は思うよ。
山口:(やっぱり真野さんも障害者と健常者っていう壁を無くしたいっておもっているんだな。私も頑張らなきゃ!)

今回、私はこの取材を通して、シッティングバレーの真相を発見できたと思います。それは、シッティングバレーが魅力的なスポーツにも関わらず、まだ多くの人には知られていない背景として、長い間、競技をする人にとって楽しいスポーツになることを大切にするため、あまり積極的な普及をしてこなかった経緯がある、ということです。シッティングバレーを普及させて行く上でこの度真野さんと話して気持ちを新たにしたのは、歴史を大切にするということでした。さらに、真野さんもおっしゃっていたように、シッティングバレーは簡単にルールを変えられるため、誰にでも楽しんでもらえるし、立ってやるバレーボールは誰でも一度はやったことがあるからこそ、初めてシッティングバレーを体験する人でも、ある程度のイメージを持ってもらえます。そんなシッティングバレーの魅力を生かして、シッティングバレーを普及していきたいと思います。

私は多くの学生さんにシッティングバレーの魅力を知って欲しいし、また、2020年に向けて、パラスポーツを盛り上げ、学校などでも(体育のバレーの時間とか、座ってちょっとやってみたり)シッティングバレーやパラスポーツについてもっと話して欲しいです。

?真野代表理事へ?

お忙しい中、取材のお時間を取ってもらったことに感謝の気持ちでいっぱいです!
真野代表理事はお父さんっぽい雰囲気で、話しやすくて、日本代表の監督なのに、優しくて面白い方で、びっくりしました!
障害者スポーツを一生涯のものにできるよう、学生ながら、努力していきたいと思っています!


最後まで読んでくださってありがとうございます!
また次回のニューススタンドでお会いしましょう!


<放課後BEYONDとは>

2020年にハタチになる高校生や、新社会人となる大学生など、未来を担うTEAM BEYOND学生メンバーが放課後に集まり、パラスポーツについて学んだり、実際に体験したりしながら、同世代に向けて発信していくプロジェクトです。学生の声で、パラスポーツの魅力を発信していきます。

20170830

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