“日本選手ペアの熱い戦いを応援!” 「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2023」観戦会レポート

2024.02.01
“日本選手ペアの熱い戦いを応援!” 「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2023」観戦会レポート

今年度3回目となるTEAM BEYONDの観戦会を、2023年11月11日(土)、国立代々木競技場 第一体育館で開催中のパラバドミントンの国際大会で実施しました。
この大会は、「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2023」(11月7日~12日開催)。来年のパリパラリンピック出場枠のためのポイントが獲得できる重要な大会です。今大会にはウクライナの選手団(選手4名、コーチ1名)も招待されました。
観戦会は各種目の準決勝が行われる大会5日目。当日は、観戦ナビゲーターとしてパラスポーツを長年取材しているスポーツライターの宮崎恵理さんが、パラバドミントンの魅力、選手やプレーなどを解説しました。今回の観戦会の内容をレポートしますので、読んだ皆さんが「今度、見に行ってみよう!」と思っていただけると幸いです。

“日本選手ペアの熱い戦いを応援!” 「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2023」観戦会レポート

パラバドミントンならではのルールやクラス分け

“日本選手ペアの熱い戦いを応援!” 「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2023」観戦会レポート

今回、観戦会が実施されたのは11日(土)の午後。午前中にシングルス準決勝がスタートし、順次ダブルスが行われました。
TEAM BEYOND観戦会のスタンド席は、ちょうど車いすカテゴリーのコートを正面に見下ろせる場所にありました。観戦したのは、東京2020パラリンピック開催年に強化指定選手になった男子車いす西村啓汰選手(WH1)と松本卓巳選手(WH2)組、そして東京2020パラリンピック女子ダブルスで金メダルを獲得した女子車いすの里見紗李奈選手(WH1)、山崎悠麻選手(WH2)組の準決勝です。

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最初に観戦ナビゲーターの宮崎さんが解説したのは「パラバドミントンの基本情報」。

「バドミントンは、東京2020パラリンピックで初めてパラリンピックに採用されました。アジアを中心に人気が高く、マレーシアやインドネシアのほか、韓国、中国、近年ではインドからも多くの優れた選手が国際大会に出場。東京2020パラリンピックでは、日本は金メダル3つを含む全9個のメダルを獲得しています。
2024年に開催されるパリパラリンピックの出場枠は、来年3月まで実施される国際大会のランキングポイントによって決定します。今大会、世界36カ国から197名もの選手が集結していますよ!」

「パラバドミントンには、障害の種類、程度に応じて車いすカテゴリーに2つ、立位カテゴリーに4つのクラスがあります。パリパラリンピックの出場枠は、まずダブルス出場者から決定します。」

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宮崎さんが大会のプログラムを使って特に詳しく解説したのが「コート」についてでした。

「パラバドミントンには、クラスによって使用するコートの大きさ(有効なインエリア)が異なる、というルールがあります。車いすカテゴリーのコートの大きさは、シングルスの場合、一般のバドミントンコートをちょうど縦半分にした大きさです。さらに車いすカテゴリーの場合、ネットからショートサービスラインの間もアウトになるルールがあります。一方、ダブルスでは2名の選手がコートに入るため、サイドの大きさは一般のバドミントンのダブルスと同様です。そのため前後の動きだけでなく、2名の選手が左右のポジションをスイッチするローテーションテクニックなども使われます。コートをどれだけ広く使いこなすか、その攻防が車いすダブルス最大の見どころと言えるでしょう」

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まずは男子ダブルス 西村・松本組の準決勝を応援

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観戦会では最初に、男子ダブルスの西村・松本組の準決勝を観戦しました。
試合の前に、選手のプロフィールを知っておくと、見る楽しさがぐっと高まります。宮崎さんからは様々な角度から、選手の紹介がありました。

「松本選手は、1994年生まれの29歳。東京2020パラリンピック開催年に強化指定選手となり、メキメキと力をつけてきた新星です。」
「西村選手は、1991年生まれの32歳。西村選手も2021年から強化指定選手となり、2022年の世界選手権に初出場してシングルス銅メダル獲得しています。」

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「どっちの選手が松本選手かわからないよ〜」
参加してくださったお子さんのお一人からそんな声が聞こえてきました。確かに、同じジャパンのユニフォームを着ている2人の選手を初めて見るわけですから、どちらがどちらの選手か、分かりにくいですよね。
「白い手袋をしていて、髪の毛にウェーブがかかっているのが松本選手です。ストレートヘアで深く車いすに座っている選手が西村選手ですよ」
と、宮崎さんから改めて松本選手と西村選手をご紹介しました。すると、
「松本選手、頑張れ〜。ニッポン、頑張れ〜」
と、大きな声援をコートに送ってくれました。

“日本選手ペアの熱い戦いを応援!” 「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2023」観戦会レポート

対戦するマレーシアのNoor Azwan NOORLAN選手・Muhammad Ikhwan RAMLI選手のペアは、ダブルス世界ランキング5位(2023年11月7日時点)。西村・松本組より格上でしたが、ストレートで下して決勝進出を決めました。
試合が終わると、複数の参加者の方から「松本選手も西村選手もすごいエビ反りになってショットを打ち返すのがすごいですね」と、感想を聞かせてくださいました。

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続いて女子ダブルス 里見・山崎組の熱戦!

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そして、いよいよ東京2020パラリンピックダブルスの金メダリスト、里見・山崎組のダブルスがスタート。

試合前に宮崎さんから選手情報の解説がありました。

「いま25歳の里見選手は、東京2020パラリンピックシングルス、ダブルスの金メダリストで、2023年11月現在、シングルス、ダブルスの世界ランキング1位という若き女王です。(世界ランキングは2023年11月7日時点)
35歳の山崎選手は幼い頃からバドミントンに親しんでいましたが、高校1年の時に交通事故で脊髄を損傷して車いす生活となりました。パラバドミントンを始めたのは、2人目のお子さんの出産後。同じくママさんプレーヤーとして活躍する選手から誘われて始め、バドミントンの高い技術力を生かしてパラバドミントンのトップ選手へと成長してきました」

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そして、対戦相手についての情報も。

「準決勝の相手は、中国のLIU Yu Tong選手・YIN Meng Lu選手のペアです。東京2020パラリンピック決勝戦で対戦し、この時は里見・山崎組が勝利しました。一方、10月下旬に開催されたアジアパラ競技大会では、このLIU Yu Tong選手・YIN Meng Lu選手のペアに決勝戦で負けて銀メダル。パラリンピック決勝戦レベルの戦いなんです」

試合は、序盤から中国組がリード。日本のペアは苦しい戦いが続くなか、観客席には車いすを操作する音や、この試合で集中的に狙われた山崎選手を里見選手が励ます「がんばれ!」という声が、すぐ間近に聞こえてきます。観戦会の参加者からも「がんばれ!」という応援の声が!残念ながら、2ゲーム目で粘りを見せるも16-21でストレート負けを喫し、参加者からは「あー!」という声のあと、すぐに健闘を称える大きな拍手が起こりました。

アスリートを知ることでより深く
今回の観戦会でも、選手の人柄を知ってもらうため、プレーが止まっているときや休憩時間には、長年パラスポーツを取材されている宮崎さんならではの選手のエピソードも紹介されました。

幼稚園に通うお子さんと一緒に参加された方からは、「パラスポーツを通じてお互いを尊重し合い助け合いながら生きていくことの大切さなどを感じて欲しいと考えています。カッコいい車いすに乗ってプレイしているお兄さん、お姉さん、とっても素敵!と申しておりました」と、嬉しいコメントをいただきました。

また、「(里見選手が)高校時代に交通事故に遭い、父親の薦めでパラバドミントンを始められたというエピソードを聴いた瞬間に泣いてしまいました。コート横でウォームアップしている選手の姿も目に飛び込んできて“努力”ということばが頭に浮かびました」というコメントを寄せてくださった方も。参加者の方にいろいろなことを感じていただけた2時間だったと思います。

はじめての方も、リピーターの方も一緒になって観戦

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今年度3回目となった観戦会ですが、過去の車いすラグビー、パラ陸上競技の観戦会にも参加してくださったリピーターの方も。中には、熱い車いすラグビーファンの方、これまでに様々なパラスポーツを観戦しパラスポーツ体験もされているベテランの方も多く、パラスポーツが深く浸透していることを感じることができました。
今後もパリパラリンピックに向けた戦いが続きます。また、ぜひTEAM BEYONDの観戦会にご参加いただけたらと思います。
(本文中の世界ランキングは、観戦会当日の時点で紹介した最新のものを記載しています)

20240201

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