TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「11/10 第19回世田谷246ハーフマラソン(世田谷区)」実施レポート

2024.11.22
TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「11/10 第19回世田谷246ハーフマラソン(世田谷区)」実施レポート

2024年11月10日(日)、東京都世田谷区にある駒沢オリンピック公園中央広場で開催された「第19回世田谷246ハーフマラソン」。この会場内で、「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」を実施しました。

競技用車いすに乗って行う陸上競技(レーサー)体験のほか、ゴールボール体験、VR等を活用した車いすバスケットボール体験を実施しました。
当日の様子やそれぞれのパラスポーツの魅力を紹介します。

陸上競技(レーサー)

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「11/10 第19回世田谷246ハーフマラソン(世田谷区)」実施レポート

陸上競技のトラックやロード種目で使用される、競技用車いす「レーサー」。一般の車いすとは異なり、大きな2つの後輪(直径70cm以内)が特徴です。その重量は8~10kg程 度 で、 フ レームは軽くて丈夫なアルミニウムやチタンで作られています。

今回の体験会には、永尾嘉章(ながお よしふみ)さんをゲストアスリートとしてお招きしました。
永尾さんは、夏季パラリンピックに日本人最多となる7大会出場。2004年アテネパラリンピックでは日本選手団主将を務め、4×400メートルリレー(T53/54クラス)で銅メダル獲得するなど、パラ陸上界のレジェンドと言われている方です。現在は、日本財団パラスポーツサポートセンターが実施する「あすチャレ!スクール」の講師を務め、パラアスリートとの交流を通じてパラスポーツの面白さなどを伝える活動を行っています。

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永尾さんは体験を始める前にこう説明しました。「この競技用車いすがどんな仕組みになっているのか、どういうふうに漕いだらうまくスピードが出るのかなどを今日は実際に乗って体験してほしいです。私は車いすに乗っていて、下半身が麻痺していて少ししか動きませんが、上半身は皆さんと同じように健常で、競技で鍛えているのでひょっとしたら皆さんより力があるかもしれません。今回の体験で難しい部分、楽しい部分を感じて、これをきっかけにパラスポーツ競技を知って、競技をご覧いただけるとうれしいです」。

今回は2種類の体験を用意。
一つは、地面に固定されたレーサーに乗り込み、ホイールのハンドリム(車いすの後輪の外側についている輪)を30秒間手で回して最高時速を計測するというスピードトライアル体験。
もう一つは、レーサーに乗って会場内に設置されたコースを一周するという走行体験でした。

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レーサーは、スピードが出るように素材や形状の研究開発が進んでおり、その大きさからは想像できないほど軽量で、大人一人でラクに持ててしまうほどです。そのため、スピードトライアルでは乗り方を間違えると前輪が上がって転びそうになるので、重心を前方にすることを意識しながらそっと乗り込み、手袋を装着して30秒間手で回し続けました。

永尾さんから励ましの声を掛けられながら、子どもから大人まで無我夢中で回し続けました。
体験の順番を待つ人から「頑張れ!」と応援の声を掛けられたり、時速10キロメートル以上の記録が出ると周囲から歓声が上がったりして、楽しい雰囲気の中体験会が行われました。

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その後は別のレーサーに乗り換えて、会場に設置されたコースを走行する体験にチャレンジ。自転車とは異なる姿勢や操作方法に驚きながらも、参加者の皆さんは楽しんでいる様子でした。

親子で体験した男性は、「パラスポーツに関する講演会には何度か足を運んだことがありますが、子どもにも体験させたいと思って今回初めて体験会に参加しました。講演会で聞いて想像していたのとは違ったので、実際に体験することは大事ですね。パラスポーツ選手の能力のすごさを感じました」と弾む声で感想を話しました。

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体験会終了後、永尾さんは「乗って楽しかったという声をたくさん聞けて良かったです。車いすは日常生活に欠かせないものというイメージがありますが、これを競技しやすい形にするなど工夫することで今までできなかったことができるようになって、障害者自身の可能性も広がってくるんですよね。それを必死にやっている姿を周りの人が見て、何かを感じてくれたり応援してくれたりと、いろんなことが起こると思います」と体験を振り返りました。

ゴールボール

1チーム3人で鈴の入ったボールを投げ合い、得点を競う対戦型の競技「ゴールボール」。視覚障がい者のために考案されたスポーツで、競技の際には障がいの程度で競技力に差が出ないよう選手全員がアイシェードを装着して、完全に目隠しをします。聴覚を頼りに鈴が入っているボールや相手の位置、相手の動きなどを確認しながら、チームで連携して攻撃や守備を行います。

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実際の試合のコートは横9メートル、縦18メートルの広さですが、今回の体験では、横1メートル、縦3メートルの子ども用と5メートルの大人用のミニコート2つを用意。一度目はアイマスクをせずにコートで投げたり、受け止めたりする練習を行った後、実際にアイマスクを装着してアイマスクを付けないで行った時と同じ動きを体験しました。

見えている状態では簡単な動作でしたが、アイマスクを着けた途端に方向感覚が失われて、投げたボールがコートからはみ出したり、慎重になりすぎてゆっくりとしか投げられなかったりと戸惑う姿が多く見られました。また受け止める際も、ボールの中の鈴の音が近づいた途端に慌てて動き出すなど、見えている状態との違いに参加者は驚いていました。

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体験した小学生2人は、「目が見えないので音に集中することが大事だと思いました」「転がすよりも弾むように投げた方が、音があまりしなくなる発見がありました」などと話し、初めてのゴールボール体験を楽しんだ様子でした。

VRを活用した車いすバスケットボール

VR(ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実)を活用して競技を擬似体験できるようにしたコーナーでは、車いすバスケットボール体験が行われました。
今回は競技用ではなく日常で使用する車いすに座ってVRゴーグルを被り、コントローラーをそれぞれの手で持って操作します。VRゴーグルを装着すると目の前にゴールが現れ、ゴールの周りの3ポイントラインの5か所から5球ずつボールを投げて120秒以内にゴールを狙うフリースローチャレンジを実施しました。

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体験してみてまず感じたのは、立って行う場合とかなり状況が異なるということ。車いすに座ることでゴールまでの距離が長くなり、さらに車いすに座っていて下半身が固定されてしまうのでその場でジャンプすることはできず、動ける範囲が少なくなることが分かりました。腕力や手首のスナップの動きが試され、座ったまま投げることがいかに大変かを体験することができました。

体験した小学生は、「難しかったけれど4つゴールが入ったのでうれしかった。座るとゴールを狙いづらく、思わず立とうとしてしまいました」と楽しそうに感想を語ってくれました。
親子で参加していた男性は、体験直後に「ゲームとはいえ大人の男性でも(車いすに)乗った状態だと腕の力で力一杯投げないと中々入らない。実際の選手がゴールを狙って投げることの難しさを実感できました。」と息を切らしながら語っていました。

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その他

会場内には展示コーナーを設け、2025年に東京で開催されるデフリンピックの概要やパラスポーツの魅力を紹介しました。視覚障がい者がプレイする5人制サッカー(ブラインドサッカー)の紹介パネルの近くでは、光をしっかりと遮断するブラインドゴーグルと、転がると音が鳴る専用のボール2個を展示しました。

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また、車いすラグビーの紹介パネルには、車いすラグビー SHIBUYA CUP 2024開催のお知らせもしました。

体験や展示を通してパラスポーツの魅力を伝える「TEAM BEYOND パラスポーツ体験プログラム」。これまでパラスポーツに馴染みがなかった方に関心を持っていただくきっかけになったのではないかと思います。

次回の2025年1月26日(日)は、第22回新宿シティハーフマラソン・区民健康マラソン(新国立競技場)で実施します。ぜひご参加お待ちしています!

パラスポーツ体験プログラムでは、スタンプラリーを実施しています。集めたスタンプ数に応じてオリジナルグッズをプレゼント!皆さんの参加をお待ちしています!

・スタンプラリーの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/passport

・パラスポーツ体験プログラム 今後の実施予定はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/schedule

・TEAM BEYOND LINE公式アカウントの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/topics/activity/line_open

20241122

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