パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

2023.08.18

2023年7月2日(日)「三井不動産2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニアチャンピオンシップ」決勝戦でTEAM BEYOND観戦会を実施しました。パリ2024パラリンピック出場権をかけた重要な一戦。観戦ナビゲーターとして、パラスポーツを長年取材しているスポーツライターの宮崎恵理さん、パラリンピック写真家の第一人者であるカメラマンの越智貴雄さんをお迎えし、事前に車いすラグビーの見どころなどを解説いただき、日本対オーストラリアの激闘を観戦しました。観戦会の様子と大会のハイライトを宮崎さんにレポートしていただきます。

2023年6月29日(木)〜7月2日(日)、東京体育館(東京都渋谷区)で「三井不動産2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニアチャンピオンシップ」が開催されました。日本は予選ラウンド6戦全勝で決勝戦に進出し、宿敵オーストラリアを下して優勝。2024年のパリパラリンピックの出場権を獲得しました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!!「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(オーストラリアのエース、ライリー・バット選手の攻撃を許さない7番・池崎選手と21番・池選手 撮影:越智貴雄)

7月2日(日)に行われた決勝戦に、TEAM BEYOND観戦会を実施、参加者のみなさんは日本対オーストラリアの激闘を観戦しました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(TEAM BEYOND観戦会の参加者は2階席から熱戦の様子に見入った)

表彰台常連国のチームジャパン
今大会は、アジア・オセアニア地区のパリ2024パラリンピック出場1枠を決する重要な大会で、世界ランキング3位の日本のほか、同2位のオーストラリア、同8位のニュージーランド、同15位の韓国の4チームが集結。総当たり戦2回を行う予選ラウンドを経て、上位2チームによる決勝戦が行われました。(世界ランキングの順位は2023年5月現在)

車いすラグビーは2000年のシドニーパラリンピックで正式競技となり、日本は2004年のアテネ大会から出場しています。2016年のリオ大会、そして東京2020大会で銅メダルを獲得、2018年の世界選手権では初の優勝を果たしている表彰台常連国です。

東京2020大会以降の日本の特徴は、なんと言っても選手層の厚さ。12人の選手の誰がコートに出ても、同じクオリティで試合を進められる実力を持ち、どんどんメンバーチェンジを繰り返しながら、対戦チームを追い詰める強さを持っています。

永遠の宿敵 オーストラリア
決勝戦で対戦したオーストラリアは、2012年のロンドン大会、2016年のリオ大会とパラリンピック2連覇の強豪。2018年世界選手権決勝では日本との決勝戦を戦いました。ロンドン大会から活躍するライリー・バット選手を主軸に、パワーとスピードで攻撃を仕掛ける突撃型。パラリンピック出場権をかけるアジア・オセアニアチャンピオンシップで必ず対決する、いわば永遠の宿敵なのです。

互いに手の内を熟知した日本とオーストラリアですが、ともに今大会の仕上がり具合を探る予選2試合では53−46、57−52で日本が連勝。日本は、予選ラウンド無敗で決勝戦に臨みました。

パリ2024パラリンピックの出場権をかけた決勝戦
ボールをキープしたままトライラインを超えれば得点するという車いすラグビーの試合展開では、相手ボールを奪うターンオーバーが連続得点につながり勝負の鍵となります。ターンオーバーを決めて味方チームの得点へとつなげるプレーは、トライ以上に盛り上がります。日本は、決勝戦でこのターンオーバーを序盤からオーストラリア相手に炸裂させました。
決勝戦開始直後、日本のエース池崎大輔選手が先制点を挙げると、第1ピリオドで早くも途中出場した橋本勝也選手がオーストラリアのボールをカットしてそのままトライ! その後もオーストラリアのスローインをカットする、パスミスを誘ってボールを奪うなどのターンオーバーを次々と展開し、第1ピリオドから16−12とリードしました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(左・池選手の攻撃を、右・長谷川選手がオーストラリアのクリス・ボンド選手の動きを止めてサポートする 撮影:越智貴雄)

予選ラウンドの2戦では、日本はオーストラリアに先行されながら後半で巻き返す展開で勝利していますが、決勝戦では違いました。リードした第1ピリオドの勢いをさらに増して、点差を広げていきます。力とスピードで押してくるオーストラリアに対して、日本は持ち点0.5点の倉橋香衣選手や長谷川勇基選手、1.0点の小川仁士選手ら、ローポインターと呼ばれる選手たちが抜群の位置どりでオーストラリアのライリー・バット選手、クリス・ボンド選手の行く手を阻み、時間を使わせてパスミスを誘いました。これがじわじわとオーストラリアを苦しめ、日本はターンオーバーを積み重ねていきます。前半終了時には30−25と5点差に、第3ピリオドでは39−33で6点差。1度もオーストラリアにリードを許すことなく、最後は55−44、11点という大差で完勝。パリ2024パラリンピックの出場権1枠を、ガッチリとつかみ取ったのでした。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(優勝決定後、笑顔で観客の声援に応えるキャプテン・池選手。原則無観客の開催だった東京パラリンピックでは見ることのできなかった光景 撮影:越智貴雄)

観戦ナビゲートと体験・展示コーナー
今回の観戦会では、筆者が観戦ナビゲーターを務め、観戦会当日までに車いすラグビーのルールや日本代表チームと注目選手の情報を発信。さらに当日には、パラリンピック写真家の第一人者である越智貴雄さんにもご参加いただいて、決勝戦開始前に見どころ解説を実施。参加者のみなさんには一人ひとり専用のレシーバーを配布して、会場アナウンスや歓声の中で解説を聞いていただきました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(観戦ナビゲーター: スポーツライター 宮崎恵理さん)

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(観戦ナビゲーター: カメラマン 越智貴雄さん)

当日の解説でも取り上げたポイントが、「勝負の鍵はターンオーバー」「ローポインターの活躍に注目」。決勝戦はまさに解説をそのままコート上で見ることができる展開だったのではないか、と思っています。
参加者の方からも「すごいターンオーバーの勝利でしたね。解説の通りですごくよくわかりました」「事前の紹介やナビゲートがあったおかげで車いすラグビーの知識が深まり、楽しく観戦できました」などのお声をいただきました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(宮崎さんによるポイント解説)

観戦会当日には、車いすラグビーの選手が実際に使用しているラグ車(競技用車いす)に乗ることができる体験コーナーと、越智貴雄さんの写真パネルの展示コーナーを設置。
ラグ車は、丸みのある攻撃型と、相手の動きをブロックするためのバンパーがついた守備型の2つを用意。車いすにのってボールをパスしたりドリブルしたりすることもできました。お子さん連れのファミリーの方々が中心となって体験コーナーでラグ車体験を楽しめました。「東京2020パラリンピックの時に、コロナがなければ車いすラグビーを観戦予定でした。当時はテレビで観戦して、今日やっと来られました!」と語るご家族も。お子さんはこの観戦会で、車いすラグビーの知識がさらに深まったとか。また、「もっと越智さんの写真をたくさん見たかったです」と熱いリクエストを寄せてくださった方もいらっしゃいました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(体験コーナーの様子)

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(展示コーナーで参加者に作品を解説する越智さん)

観戦会を終えて
パリパラリンピックへの切符がかかった大事な1戦、TEAM BEYOND観戦会に参加されたみなさんは、生で日本チームの勇姿を目撃されました。
実は、リオパラリンピック以降、日本チームを指揮してきたアメリカ人のケビン・オアーヘッドコーチ(HC)が、この大会を最後に退任することが、大会直前に発表されました。長年に渡りチーム強化に携わり、コロナ禍でも長期間の待機期間がある中、日本とアメリカを何度も往復して日本のために力を尽くしてきました。チーム最年少21歳の橋本勝也選手を見出して世界一の3.5点選手に仕上げたのも、オアーHCの力。決勝戦が終わった後のコートで、選手、ベンチスタッフ一人ひとりと固い握手、ハグを交わした後、オアーHCは最後にコートに向かって深々とお辞儀をして去っていきました。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

こうした歴史的な瞬間を、参加者のみなさんと一緒にスタンディングオベーションの拍手の中で見つめられたこと。この光景は、心の奥底に刻まれ、車いすラグビーの大切な記憶になるのではないか、と考えています。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(試合後の観戦席)

来年、パリで開催されるパラリンピック。今回の観戦会に参加されたみなさんは、きっと車いすラグビーに注目してくださると思います。一方で、パラスポーツには、ほかにもたくさん魅力的な競技があります。今後のTEAM BEYOND観戦会にも、ぜひご参加いただけたらと思います。

パリ2024パラリンピック出場権をかけた熱戦!! 「三井不動産 2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」観戦会レポート

(参加者のみなさんとの記念撮影)

20230818

ページトップへ