活動の幅を積極的に広げている「TEAM BEYOND-TOKYOパラスポ―ツ応援プロジェクト-」ですが、2017年5月、また新たな取り組みが始まりました。その名も「PARA-SPORTS ACADEMY」。これは、海外のトップ・パラアスリートのドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM」を制作・放送するWOWOWとTEAM BEYONDの共同プロジェクトで、首都圏の大学で特別授業を行い、大学生にパラアスリートやパラスポーツの魅力を知ってもらおうというもの。その第1回の特別授業を5月25日(木)、早稲田大学の「国際開発援助 理論と実践」の中で実施しました。
早稲田キャンパス15号館の203教室がほぼ満席となった特別授業は、TEAM BEYONDを展開する東京都担当者のレクチャーからスタート。東京でオリンピック・パラリンピックを開催する意義、パラリンピックのもたらすもの、パラリンピック成功に必要なもの、といったテーマを学生に投げかけ説明していきます。オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であるだけでなく、文化や教育、産業、福祉やまちづくりなど、多様な面で東京という都市の「質」を高める契機になること、パラリンピックをきっかけにパラスポーツを社会に根づいたものにする大切さ、などを伝えました。もちろんTEAM BEYONDの紹介もあり、参加を呼びかけました。
その後はWOWOWのパートへ移り、「WHO I AM」制作チーム代表者から、この番組をつくるに至った経緯、番組の理念などを解説。パラスポーツを初めて見た時、競技中のパラアスリートをシンプルに格好良いと感じ惹かれたこと、トップ・パラアスリートたちが放つ輝きを多くの人に伝えたいと思ったこと、などを熱く語ってくれました。
そして2016年に放送された8回の番組を短くまとめたダイジェストを上映し、その中からサフェト・アリバシッチ選手(ボスニア・ヘルツェゴビナ/シッティングバレー)、ザーラ・ネマティ選手(イラン/アーチェリー)の2人を取り上げ、人物像や取材時の体験を詳しく紹介。
アリバシッチ選手は12歳の時、内戦状態にあったボスニアで地雷により左足のかかとを失ったものの、シッティングバレーと出会い、20年近く代表チームのエースとして活躍しています。ボスニアは、イランと並ぶシッティングバレーの強豪国で、オリンピック・パラリンピックを通じて国に金メダルを持ち帰った競技はシッティングバレーだけなのだそうです(2004年アテネ大会、2012年ロンドン大会で優勝)。
一方、ネマティ選手は18歳の時に交通事故で脊髄を損傷して下半身の自由を失うことに。それから2年後にアーチェリーを始めて健常者も出場する国内大会でも上位に入るほど力をつけ、パラリンピック・ロンドン大会で優勝。リオデジャネイロ大会ではオリンピック・パラリンピックの両方に出場し、パラリンピックで再び金メダルを獲得しています。ネマティ選手もまた、イランではオリンピック・パラリンピックを通じて金メダルを取った唯一の女性という特別な存在になっています。
映像や写真で2選手の人物像と活躍ぶりを伝えたあと「WHO I AM」制作陣がこの番組で伝えたいこととして語ったのは、「人生が輝くかどうかは、自分次第」。身体の障害とは関係なく、自分が愛した競技に打ち込むパラアスリートたちの姿・人生は、確かに輝きを放っていることを「WHO I AM」は教えてくれています。
今回の「PARA-SPORTS ACADEMY」の最後には、登壇者と学生たちとの対話の時間が設けられ、学生から「テレビのドキュメント番組には障害者の苦労にスポットを当てるものが多いが、WHO I AMにはアスリートの魂を感じた」といった感想や、「ロンドン・パラリンピックが成功した理由」「パラスポーツを社会に浸透させるために東京都が都外に対して行っていること」といった質問が寄せられました。
パラスポーツを社会に根付かせるためにまず大事なのは、より多くの方にパラスポーツを知ってもらうこと。
そのために「TEAM BEYOND」は、これからも様々な企業や組織と連携してパラスポーツをもっと身近なものにしていきます。