パラトモ!プログラム シッティングバレー編
STEP2 プレーする!
@競技体験会
2/7 体験会の様子
【パラトモ!プログラム シッティングバレー編STEP2:「プレーする!」】
シッティングバレー体験会に学生メンバーが参加。日本代表選手と一緒にプレーしました!
競技を観て、実際にプレーしてみて、選手と語り合う。
一度だけ観戦するのではなく、パラスポーツの魅力を深く知ることができる、TEAM BEYONDと、パラスポーツ各競技団体が共同で作っていく、「パラトモ!プログラム」。
今回は、シッティングバレー編です。
第2回目は、2017年2月7日に行われたシッティングバレー体験会の模様をレポートします。
〈シッティングバレーボールとは〉
シッティングバレーボールのルールの多くはインドア6人制バレーボールと共通していますが、独自の特別ルールも定められています。特徴的なのは、おしりから肩までの臀部(でんぶ)の一部が常に床に接触したままの態勢で行うことです。おしりが床から浮いた状態をリフティングといい、反則となります。コートはタテ5メートル、ヨコ6メートル、ネットの高さは男子では115センチメートル、女子では105センチメートルと定められていて、バレーボールと同じボールを使用します。
〈STEP1では、日本選手権大会を観戦!〉
昨年12月11日(日)、東京・武蔵野総合体育館において開催された第20回日本シッティングバレーボール選手権大会の2日目には、白熱した決勝戦が繰り広げられました。結果は、女子では東京プラネッツ女組が大会2連覇を、男子では千葉パイレーツが2年ぶりの優勝、グランドスラムを達成しました。TEAM BEYONDでは、スタジアムDJとゲストによる実況解説で、大会をショーアップ。「放課後BEYOND」の学生36名が大きな声援を送りました。
〈STEP2「プレーする!」では、オフィス24シッティングバレーボール教室に参加〉
2月7日、東京・新宿コズミックスポーツセンターにて行われたオフィス24シッティングバレーボール教室。パラトモ!プログラムのSTEP2として、放課後BEYONDメンバーが、実際にシッティングバレーを体験するために参加しました。ゲストとして、前回に引きつづき元バレーボール全日本代表の益子直美さんも参加。2015年から淑徳大学の女子バレーボール部の監督を務めている益子さんは、1996年の終わりからボランティアとしてシッティングバレーボールの日本代表チームに参加し、イランでの世界選手権にはマネージャーとして同行しています。
今回の体験会は、株式会社オフィス24(東京都新宿区:代表取締役 吉江秀馨氏)と、一般社団法人日本パラバレーボール協会(東京都台東区:代表 真野嘉久氏)との共同で開催されました。オフィス24は、シッティングバレーボールの日本代表チームをサポートしており、シッティングバレーボールの楽しさや魅力をより多くの人に知ってもらうために、月1回のペースで教室を開催するなどの活動を続けています。
〈想像以上に白熱した練習試合〉
体験会には、日本代表の高砂進選手、齊藤洋子選手、長田まみ子選手、船戸奈津美コーチが参加しました。日本パラバレーボール協会代表理事・真野さんから、参加選手の紹介とシッティングバレーボールについての簡単な説明があり、まずは座ったまま前後左右に動く練習。その後、6人のチームに分かれて輪になり、それぞれのチームに加わった代表選手から、トスやレシーブなどの基本的な動きを習いました。最初はぎこちなかったものの、徐々にボールが高く上がるようになり、学生たちの表情も明るく笑い声も出てきました。
本来は、動作練習だけでも最低40分間は行うとのことですが、「動いてとる、これが基本! 首だけ動かしちゃダメよ~。ボールの方向におへそを向けること。ボールから目を離さないように!」と、真野さんからゲーム上の注意事項が与えられ、1チームに1人の代表選手を交えた編成でさっそく練習試合スタート。
試合が行われているコートの後ろでは、次の試合に臨むチームに益子さんが積極的にアドバイスを送っています。座ったままボールをレシーブで受ける学生に、「おしり動かして!」「おしり、おしり!」を連発する益子さんは、すっかり監督の顔に。練習後、「ところで私のこと、誰だかわかってないよね~?」と、笑いながら自己紹介している姿がなんとも微笑ましかったです。
いよいよ決勝戦。今回参加した「放課後BEYOND」メンバーでこの日唯一の女子高校生と、最強プレーヤーとの呼び声も高いオフィス24の広報室・吉原さんを含むチーム対、益子さんが先ほど声を掛けたチームとの闘いです。コート横に陣取った益子さんは、「ほら、来るよ! 下がって」「ブロック、ブロック!」と熱心に応援。その期待に応えて、学生たちも即席チームとは思えない粘りをみせます。この中には、「父の話を聞いて、自分も体験してみたいと思い、参加しました」という学生も。彼のお父さんはかつてシドニー五輪の際にボランティアとして活躍したそうで、真野代表理事と同級生。結果は25-14で、益子さんの応援するチームが負けてしまいましたが、「さっきの試合よりもずっとよくなったよ!」という益子さんの声に学生たちもにっこり。全員がすっかり打ち解けて和気あいあいとなったところで集合写真を撮影、お開きとなりました。
〈体験会に参加した学生たちの声〉
益子さんからの「初めてのシッティングバレーボールはどうでした?」という問いに、「楽しかったです!」と全員が声をそろえました。「思っていた以上に難しかったです」「動けないものですね~。ボールの下に行けない。頭でわかっていても身体が動かない」という声も。実際に、代表選手と一緒にプレーした感想をたずねると、「技術がぜんぜん違いますね~」とため息をつきながら、「座った状態でスパイクを打つんですから、上半身の筋力が鍛えられていないとできませんよね」「上半身もだけど、体幹も相鍛えないと」という意見もありました。「レシーブを打つとき、腕を振り過ぎるとボールが後ろに飛んでいってしまいますよね。あまり大きく腕を動かすことができないわけで、そのあたりの加減も難しいですね」「床に手をついてボールの下まで動いて、それから打つわけでしょう。
間に合わないんですよね、なかなか…」など、体験しないとわからないシッティングバレーボールの難しさ、奥深さに気づいたようです。「失敗した人に“ドンマイ、ドンマイ”って、すぐに声がかけられるでしょ?」という益子さんの言葉に、全員が「そうそう!」と頷き、「コートが狭いせいか、すぐにチーム全員と声をかけ合えるようになりました」「初対面の人ばかりですけど、気づいたら笑い合っていました!」という声も。「障がい者も健常者も一緒にプレーできるところがいいですね」「というより、両者の違いを意識することがありませんでした」という意見が多く、体験会に参加することでシッティングバレーボールという競技の魅力に触れることができたようです。「将来、福祉関係の仕事に就きたいと考えているので、今日の体験会にも参加しました。障がいをもつ人たちと健常者の橋渡しをしたいと思っています」という高校生の意見に、益子さんも感心することしきりでした。
〈真野さんが20年を振り返る。「まるで夢のよう!」〉
日本パラバレーボール協会は、1997年に設立した障がい者バレーボール競技団体である日本シッティングバレーボール協会を前身として2014年4月に設立・法人化されました。日本パラリンピック委員会(JPC)加盟団体として、パラリンピックの正式種目シッティングバレーボールと、スタンディングバレーボール、パラビーチバレーボールの大会運営・普及活動を行う団体です。
現在、同協会代表理事と全日本女子チームの監督 を兼任している真野嘉久さんに、益子さんがお話を伺いました。
「去年の12月、武蔵野総合体育館で開催された日本選手権大会のとき、知らない人がたくさん来てくれました。以前とは違って、関わってくれる人が増えたということです。夢のようだと思いました」
少年のように大きな瞳をキラキラさせて、真野さんが語り出しました。真野さんがシッティングバレーボールに出会ったのは20年前のこと。中学から大学までバレーボール部に所属していた真野さんは、すでにサラリーマンとなっていたある日、ふとしたきっかけでシッティングバレーボールを体験し「これは面白いスポーツだ!」と、すぐに夢中になってしまったそうです。1998年の世界選手権にはマネージャーとして同行し、その後監督に就任しました。
「20年間、シッティングバレーボールを続けてこられたのは、シッティングバレーボールが良いスポーツだからです。健常者も障がい者も関係なく、一緒になって楽しむことができる。それも、今日のように誰でもすぐに参加できて、楽しめる。こんなに親しみやすいスポーツ、なかなかないでしょ。もっと広がるはずです」「競技人口が1,000人を超えたようですしね! 学校の体育の授業にも取り入れられるようになってきました」と益子さんがうれしそうにいうと、 「感無量ですね~。本当にうれしいことです。でもね、今は徐々に進めば良いと思っています。2020年がスタートだと思っています。国民の80%にシッティングバレーボールが知れ渡って、すべてはそこからです。そのためにも強くならなければ、なんとしてもメダルをとらなければならないと思っています。今日のような体験会はとても貴重です。学生たちの発信力はとても大きい。期待しています!」シッティングバレーボールとともに20年間歩んできた真野さん。今日の体験会に、いい手応えを感じたようです。
社内にシッティングバレーボールチームをもつオフィス24
今回の体験会を開催した「株式会社オフィス24」広報室の吉原道臣さんにもお話を伺いました。吉原さんは、投手として横浜ベイスターズに所属していたこともある元プロ野球選手。試合中、まるでバックアタックのような強烈なサーブを打ち込み、益子さんから「反則だ~」と責められていました。 「弊社は、シッティングバレーボール日本代表チームをサポートしています。日本代表選手団に対して海外遠征や強化合宿のサポートを積極的に行うことも、活動の一環です。シッティングバレーボールの最大の魅力は、健常者も障がい者も関係なく、一緒に楽しむことができるところです。それをより多くの方にお伝えするために、月に一度、日本代表監督や選手の方に協力してもらって、体験教室を開催しています。もちろん、社内にチームもあります」 吉原さん自身、中学の3年間、バレーボール部に所属していたそうです。「シッティングバレーボール歴は2年ですが、難しいものですよね、最初はうまく動けなくて。悔しくて一生懸命練習しました。コートが狭いこともあって、選手同士のコミュニケーションがとりやすいんです。仲間づくりにぴったりのスポーツだと思いますよ」と語ってくれました。
放課後BEYONDのほぼ全員にとって、シッティングバレーボールの観戦は初めて。「迫力ありますね~」と驚きの表情をみせていました。学生たちの感想を聞いてみましょう。
オフィス24では、月1回程度シッティングバレーボール教室を開催しています。お問い合わせは、株式会社オフィス24 シッティングバレーボール担当(Eメールアドレス:kouhou@webjapan.co.jp)まで。
〈“パラトモ!プログラム”STEP3のテーマは「語り合う!」〉
パラスポーツの魅力を深く知るための「パラトモ!プログラム」。STEP3のテーマは「語り合う!」。日本選手権大会の観戦や今回の体験会で感じたことを基に、学生たちが真野さんや日本代表選手、ゲストの益子さんと意見交換をするトークセッションを2月18日(土)に開催しました。
その模様もぜひ、ご覧ください。