パラアスリートを間近で撮影する特別企画
「もっと近くへ!パラアスリート~写真撮影ワークショップ~」レポート

2024.09.10
パラアスリートを間近で撮影する特別企画<br>「もっと近くへ!パラアスリート~写真撮影ワークショップ~」レポート

2024年6月15日(土)、パラアスリートをモデルにした写真撮影ワークショップ「もっと近くへ!パラアスリート~写真撮影ワークショップ~」が開催されました。このワークショップは2024年1月にも開かれ、異様な熱気に包まれるイベントとして話題になっていました。2回目となる今回は、より多くのパラアスリートの方にご協力いただき、さらに熱気あふれるイベントとなりました。
長年にわたりパラスポーツの取材に携わっているフォトグラファーの越智貴雄(おち たかお)さんを講師に迎え、パラスポーツやパラアスリートを撮影する際のポイントを解説していただいた後、パラアスリートをモデルに、参加者がカメラマンとなって写真撮影会を行いました。
モデルアスリートは、車いすラグビー日本代表の橋本勝也(はしもと かつや)選手と中町俊耶(なかまち しゅんや)選手、パラカヌーの瀬立(せりゅう)モニカ選手、そしてパラテコンドーの阿渡健太(あわたり けんた)選手にご協力いただきました。

参加者がパラアスリートの撮影を通してパラアスリートの人間性に触れ、パラアスリートをもっと近くに感じられる機会になりました。
一体どんなイベントだったのか、ご紹介したいと思います。

講師とMCは、前回に引き続き越智貴雄さんと小島(こじま)あやめさん。
越智さんは2000年から様々なパラスポーツの取材に関わり、競技者としての生きざまにフォーカスする視点で撮影を続けてこられました。パラスポーツを撮り続ける理由は「パラアスリートがカッコいいから!」。道なき道を歩み続けてきたアスリートたちの姿を撮ることに幸せを感じるとのことでした。そんな越智さんが、まずは二人の高校生にパラスポーツ撮影の極意を伝授します。

協力してくれたのはこちらのお二人。
東京都立小石川中等教育学校 高校3年大里未礼(おおさと みれい)さん。
東京都立久留米西高等学校 3年本間亜沙子(ほんま あさこ)さん。

そして、アスリートモデルのトップバッターとして登場したのは、
車いすラグビー選手の橋本勝也選手と中町俊耶選手!
お二人は、6月9日にラグビーの国際大会「Wheelchair Rugby CANADA CUP 2024」で優勝・二連覇を勝ち取ったばかり。
お二人に車いすラグビーの魅力を尋ねたところ、橋本選手は「車いす競技の中で唯一、直接的なコンタクト(タックル)が認められているところ」。中町選手は「障害の軽い選手から重い選手までいて、それぞれが自分の役割を果たしながら、全員で一つのゴールを目指していくところ」とのこと。
早速、激しい直接的なコンタクト「タックル」のシーンをお二人に再現していただき、デモンストレーション撮影が始まりました。
越智さんからのアドバイスは「写真を撮る前に、自分が何を撮りたいのかを見つけておくこと」。さあ、高校生の二人はどんな写真を撮るのでしょうか!?

車いすが激しくぶつかるタックルの迫力に来場者のどよめきが起こる中、大里さんが撮った写真がこちら。

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激しくぶつかって、車いすごと浮き上がっている様子を見事に捉えられていますね!
カッコいい!
大里さんの感想は「もっと迫力が伝わる写真が撮りたかったので悔しい!」とのこと。いやいや、十分伝わりますよ~。お見事!

次は選手お二人に試合中のパスシーンを再現していただきました。
中町選手は右手の握力はゼロ、左手の握力もほとんどありません。そんな中町選手が繰り出す正確なパスを、二人目の高校生本間さんが捉えました。

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こちらの写真も素敵ですね。後ろの壁にうつる影もカッコいい!
大里さんの感想は「もっと近くで撮ればよかった、悔しい!」とのこと。二人とも自分に厳しい!

選手から高校生へのメッセージをご紹介します。
「素敵な写真を撮ってくれてすごくうれしい。」「2人とも悔しいということだったので、今度はぜひ大会を撮りに来てください。」
よし、次回の写真ワークショップイベントは大会会場ですかね!?

こちらの本編動画では、激しいタックルの様子などを音付きで体感いただけるので、ぜひ合わせてご覧ください。→ https://youtu.be/6ir8b5mW-LE?si=D5cGsLBVjDTzMtXp&t=1671

さて休憩をはさんで後半は、いよいよ来場者参加型の撮影ワークショップです。

まずは、パラカヌーの瀬立モニカさんにモデルを務めていただきます。
瀬立選手は、パラカヌー日本代表として3大会連続出場となるパリパラリンピックが迫ってきています。
パリに向けて順調に練習を積んでいるとのこと。活躍が楽しみですね。
瀬立選手が感じるパラカヌーの魅力は「パワー系の種目で、パドル一漕ぎの負荷が30 kg、200mで100回漕ぐので3トンになる。そこが水上のF1とよばれる魅力。シンプルだけど奥が深い。」とのこと。

実は瀬立選手は越智さんに写真を撮ってもらって世界が変わった経験があるそうです。
「障害をおってから、自分自身を写真で見ることが、車椅子や障害を見せられているようですごく嫌だった。でも、越智さんの写真は障害や車いすではなく、瀬立モニカ自身を撮ってくれていた。強さや美しさを撮ってくれるので自分の写真を見るのが好きになった。」とのこと。
そんな越智さんが撮影した瀬立さんの写真を一枚ご紹介します。

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瀬立さんと瀬立さんのコーチの合宿地でのツーショットです。同じ衣装で同じポーズ、障害があることを全く感じさせない、元気とパワーをもらえるステキな写真だと思いました。

さて、いよいよ撮影開始です。
最初のシーンは、なんとスイカリフティング!!

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みなさん、夢中でシャッターを切っていました。
なぜスイカなの?については、こちらの本編動画をご覧ください→ https://youtu.be/6ir8b5mW-LE?si=RNSqXp_HHP3a2M2e&t=2577

次のシーンはパドリングです。

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様々な角度から、皆さんが思い描くイメージを捉えようとしています。

実際に参加者の方が撮影した写真も後ほどご紹介します。
瀬立選手自身も楽しく撮影にのぞめたとのことでした。

次は、パラテコンドーの阿渡健太選手の登場です。
阿渡選手は生まれた時から、左手は手首から先、右手は肘から先がありませんでした。元々サッカーをしていたのですが、テコンドーが正式競技になった東京パラリンピックに出場したいと考えてパラテコンドーを始めたのだそう。パラテコンドーは他の競技と違って器具を使いません。自分の身体一つで相手と戦うところに迫力があるというのが、阿渡選手が感じるパラテコンドーの魅力です。

実は阿渡選手はご自身のYouTubeチャンネルを持っていて、パラテコンドーの魅力を伝える動画や障害者の日常を知ってもらう動画など、色々な動画を日々発信されています。
チャンネル名は「パラテコちゃんねる」。皆さんもぜひチェックしてみてください。中でも、阿渡選手がご自身の試合を解説する動画はとってもわかりやすくてオススメですよ。

さて、阿渡選手にはパラテコンドーの「蹴り」を見せていただき、みんなで撮影します。

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緊張感のある気合いの声が会場に響き渡る中、参加者も集中してシャッターを切ります。

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蹴りの瞬間でストップしてほしい!という越智さんの無茶振りにこたえる阿渡選手。貴重なシャッターチャンスを逃すまいとする参加者。
参加者の方が撮影した写真は後ほどご紹介します。

参加者参加の撮影ワークショップの締めくくりは、アスリートモデル全員集合です。アスリートの皆さんには私服に着替えて登場していただきました。

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4人のアスリートの皆さんにはステージ上の3ヶ所の撮影スポットで、さまざまなポーズをとっていただきました。参加者からのポーズの依頼に応えるシーンも。

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最後はTEAM BEYONDのバナーの前で全員集合。

イベントの締めくくりは、参加者からアスリートの皆さんへの質問コーナーでした。
参加者からはこんな質問も飛び出しました。
「スランプの時はどうやってモチベーションをあげますか?」
アスリートの皆さんの答えをご紹介します。
橋本選手「何かうまくいかないことがあったらチームメイトが励ましてくれる」
中町選手「自分のやっていることを心から楽しむ」
瀬立選手「スランプはずっとは続かない」
阿渡選手「自分を信じるということを言い聞かせる」
とても元気が湧いてくる言葉をもらえた気がしました。

イベントでは、会場で撮影した写真をご自身のSNS(Instagram)で「#パラ撮り」をつけて発信していただくSNSキャンペーンも実施しました。越智さんに優秀作品を選んでいただきましたので、ここでご紹介します。

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皆さん、とても素敵な写真を撮ってくださいました。
以上の5作品は、新宿駅西口から都庁をつなぐ地下道のデジタルサイネージで8月9日から9月30日まで掲出されています。また8月26日から9月8日までは新宿サイネージ型スマートポールにも掲出されました。
掲出動画はこちらでもご覧いただけるので、ぜひご覧ください。

これ以外にも「#パラ撮り」で参加者の作品がたくさん投稿されていますので、見てみてください。

当日のイベント全体の様子はこちらの動画で見ることができます。越智さんによる写真撮影の極意からパラアスリートの魅力まで、じっくりとご覧いただけます。

以上、写真撮影ワークショップ「もっと近くへ!パラアスリート~写真撮影ワークショップ~」のレポートでした。
今回、パラアスリートをモデルに写真を撮ることで、アスリートとの距離がぐっと縮まった気がしました。カメラを通してパラアスリートを見ることが、障害ではなくその人自身をみつめる機会になったと感じました。
TEAM BEYONDでは、今後も「もっと近くへ!パラアスリート」をテーマに様々なイベントを企画していきます。皆さんも一緒にパラスポーツを盛り上げていきましょう。

20240910

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