真剣勝負に会場が沸いた! 「第23回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」レポート

2023.03.08
真剣勝負に会場が沸いた! 「第23回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」レポート

2023年1月29日(土)、東京都中央区にある築地本願寺にて「第23回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」が開催されました。お寺というユニークな舞台で繰り広げられた、手に汗握るパラ・パワーリフティングの試技。競技の内容もさることながら、アスリートたちの表情から垣間見える熱い人間ドラマや、プロジェクションマッピングによる美しい空間演出もまた、多くの観客たちを魅了しました。

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今回、会場に選ばれたのが、観光地の築地場外市場からも近い、浄土真宗本願寺派の寺院・築地本願寺です。なぜ宗教施設がパラスポーツ大会の会場に!?と驚かれるかもしれませんが、実は築地本願寺はここ数年、誰にも開かれたフラットなお寺を目指して、ダイバーシティ推進のためのさまざまな取り組みを行っているお寺なんです。

数年前に、本大会にも出場されたパラリンピアン、三浦浩選手が築地本願寺で講演会を行ったことでパラ・パワーリフティングとの縁が生まれ、今回のコラボに至りました。

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会場の入り口では、観戦会の参加者特典となる大会オリジナルTシャツが配布されていました。デザインを手がけるのは、5年前より全日本パラ・パワーリフティング選手権をさまざまな角度からサポートしている日本工学院八王子専門学校の学生さんです。同学校では今回の大会でも、会場でのプロジェクションマッピングの演出や、大会テーマ曲・動画の制作などを担当しています。

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ロビーに設けられた選手アップゾーンでは、アスリートたちがウォーミングアップに励む様子を間近で見られました。また、アスリートとお客さんたちが語らったり、記念写真を撮ったりと、楽しそうに交流する光景も印象的でした。

バーを上げ下げする時間はわずか3秒、その一瞬にドラマがある

競技会場に踏み入れると、まずプロジェクションマッピングによる鮮やかな空間演出に圧倒されます。御本尊に見守られながらアスリートたちが競う、まさにスペシャルな大会!

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会場内は、異様な熱気と緊張感に包まれています。アスリートたちのオーラに気圧され、思わず後ずさりするほどの迫力……。

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全日本パラ・パワーリフティング選手権大会は、NPO法人日本パラ・パワーリフティング連盟が開催する大会の中でも、一年で最もレベルの高い大会。

国際連盟に登録しているため、本大会での成績は日本記録・世界記録として正式に認められます。さらに、ここ数年は「国際招致」ということで、アジアのトップクラスの選手を招待しており、ハイレベルな競技を観戦できる場となっています。

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パラ・パワーリフティングは、ベンチ台の上に仰向けの姿勢となってバーを上げるのが特徴。ベンチプレスの一種ではありますが、足は台の上で真っ直ぐ伸ばします。本大会では、性別と階級で振り分けられた選手たちが、計3回の試技に挑戦。バーの重さは1kg単位で変更することができ、徐々に重さを上げていくのか、最初から目標記録に挑戦するのか、アスリートたちが3回のチャンスをどう生かすかも、見どころの一つです。

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審査員は3名。「成功」判定が2人以上から出されれば、見事「成功」となります。ベンチ台での姿勢(ボディポジション)、胸での止め(ストップ・シークエンス)、バーを下ろす時のコントロール(ダウン・シークエンス)、バーの押し上げ(プレス・シークエンス)、これら4つが判定のポイントとなります。

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(3名の審査員が文句なく「成功」判定を出す試技は、アスリートの一挙手一投足、すべての動きが美しく、引き込まれます)

選手名がコールされ、プレス台で競技に入り、判定が下される。一回の試技の時間はあっけないくらい短いのですが、選手たちの表情や動きを観察していると、緊張・安堵・歓喜など、さまざまな感情のゆらめきすら見えてきて、並々ならぬ想いを抱えながら、この一瞬にすべてを注ぎ込んでいるという、本気度がこちらにも伝わってきます。

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集中力の高め方、バーを持つポジションどり、判定に対する感情表現の方法も、アスリートによってさまざまです。

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試技のたびに起こる声援、歓声やため息。この会場では、アスリートも観客たちも常に同じ方向を向いています。

日本記録も次々と生まれた本大会。女子は龍川崇子選手(67Kg級)が75kg、田中秩加香選手(78Kg級)が80kgで日本新記録を樹立。男子は光瀬智洋選手(54Kg級)が154kg、佐藤芳隆選手(97Kg級)が168kgで日本新記録を樹立しました。表彰式では、アスリートたちの喜びの声、支えてくれた人への感謝の声、次大会への意気込みなど、さまざまなコメントを聞くことができましたが、なかには「パラ・パワーリフティングの魅力をもっと広めていきたい」と競技そのものに対する想いを語る方も。

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選手である一方で、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する講師としても活動する山本恵理選手は、表彰式で「推しの選手を見つけて、これからも会場に足を運んでほしい」とコメントしました。

試合当日にセコンドが交代!? パラ選手が披露する驚きのエピソード

すべての競技が終了後、アルコ&ピースの平子祐希さん、酒井健太さん、そしてNPO法人日本パラ・パワーリフティング連盟の元理事で、現在は強化委員長・事業委員長を勤めている吉田進さんによる、トークセッション&パワーリフティング体験会が行われました。

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かつて、ご自身もパワーリフティングの選手だったという吉田さん。なんと自己最高記録は200kgなんだとか。「いいトレーニングをして、いい食事をすれば、日本人男性でも100kgは持ち上げられますよ」という発言にアルピーのお二人もビックリ。

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吉田さんによると、日本のパラ・パワーリフティングの競技レベルはどんどん上がっていて、世界ランキングに入る選手も増えているそうです。今後、パラリンピックでも入賞者が出てくるかもしれない、と期待を語りました。

トークセッションの後は、パワーリフティングの体験会。パラ・パワーリフティングと同様に、ベンチ台の上で足を伸ばしたままの状態でバーを上げます。
まずはアルコ&ピースのお二人が挑戦しました。

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最初に、元サッカー部の酒井さんがトライ。40kgはなんとかクリアするも、60kgは「御免なさい、本当に無理!」と絶叫。

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一方で、ラグビーをやっていたという平子さんは軽々と90kgを達成。「これはスカウトしたいですね(笑)」と吉田さんも思わずコメント。
続いて、会場のお客さんからも挑戦者を募りました。

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ステージで得意のダンスを披露してくれた11歳の少年は、20kgを持ち上げることができました。

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本大会のスタッフとして参加している日本工学院八王子専門学校の学生さんは60kg10回連続リフトに挑戦し、見事成功!

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パワーリフティング初体験という女性は、20kgに挑戦しました。重さはそこまで感じなかったけど、バランスをとるのが難しかったそうです。

お客さんからは計6名の方が挑戦し、思い思いにパワーリフティングを楽しんでいました。

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パラ・パワーリフティングの魅力が凝縮されていた今回のイベント。白熱する競技やアスリートたちの熱い闘いにも心動かされましたが、パラ・パワーリフティングを支える多くの人々の存在を感じることができた機会でもありました。それは、会場に詰めかけたお客さんであり、日本工学院八王子専門学校の学生さんたちであり、会場となったお寺の方々であり……。

来年2024年は、いよいよパリパラリンピック! たくさんのサポーターたちの想いとともに、日本のパラ・パワーリフティングはさらに飛躍していくでしょう。この記事を読まれてパラ・パワーリフティングに興味を持たれた方も、ぜひTEAM BEYONDの一員となって一緒にパラスポーツを応援して見ませんか!?

20230308

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