
シャトルを落として、タイミングを合わせてラケットを振って…
「できた!」「わー!やったね!」
笑顔でバドミントンを教えているのは、パラバドミントン(SU5)の杉野明子選手です。プレーを教えてもらったり、写真を撮ってもらったり、楽しそうに交流しているのは、TEAM BEYONDのメンバーたちです。
8月26日日曜日、30度を超える暑い日にもかかわらず、日本財団パラアリーナにTEAM BEYONDメンバーの親子や高校生たちが集まりました!この日は、パラアスリートとの交流を通じて、子どもたちへ競技や選手の魅力を伝える企画「第2回 熱血!パラスポーツ先生」を開催しました。
ゲストには、杉野明子選手とともに、パラバドミントン(SL4)の中村海斗選手も駆けつけてくれました。
お二人にパラバドミントンへの思いを聞いた後、中村選手に、実際にプレーを間近で見せていただきました。その後は、二人を応援するためにTEAM BEYONDメンバーで絵てがみを描き、最後は参加者が両選手とバドミントンで対戦!盛りだくさんに楽しんだこの日の様子をお届けします。
どんな人も輝けるダイバーシティを目指して
まずはじめに、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の安達紀子さんから、TEAM BEYONDの紹介がありました。
安達さん:TEAM BEYONDでは2020年のパラリンピックの成功だけでなく、障がいのある人や、人それぞれが持つ「違い」を受け入れられるような社会づくりを目指しています。
お互いを理解し、等しく人が輝けるダイバーシティを、みなさんと一緒に目指していけると嬉しいです!
工夫を凝らして自分らしいプレースタイルで戦う
大きな拍手とともに杉野選手と中村選手が登場しました!試合で見せる真剣な表情とはまた違って、笑顔でいっぱいのお二人。パラバドミントンのルールやクラスの説明、競技への熱い思いなどを語ります。
杉野選手:私は生まれつき左上肢機能障がいがあります。中学生のときからバドミントンを始めたんですけど、パラバドミントンに夢中になったのは、国際試合に出場したことがきっかけでした。
それまでは健常者とも試合を行って、負けても、「私は左が使いづらいし、バランスが取りづらいから」と言い訳してきました。でもパラバドミントンだと、皆どこかに障がいがあるから平等だって気づきました。それからは、本気で頑張ろうって、励んできました!
交通事故により右足に障がいを負ったという中村選手は、右ひざや右足首を思うように動かすことができません。そのため、左半身を使って右足をカバーしながらプレーしているのだそうです。
実際にデモンストレーションをして、プレースタイルを見せてくれました。右足にはサポーターを装着しています。
中村選手:右足も全く動かないというわけではないので、始めは健常者と同じようにプレーをしていたんですけど、右足でしっかり踏み込めないことに気づいたんです。それからは1日10時間フットワークの練習をして、右足を使っていた場面でも、左足で踏み込んで止まる練習を繰り返しました。
ドライブ、クリアー、スマッシュと、様々な打ち方を見せてくれた中村選手。そのスピードと正確さに、TEAM BEYONDメンバーからは、「おおっ!」という声とともに拍手も起こります。
質問をしたり写真を撮ったり、選手と交流を楽しもう!
パラスポーツに熱中しているというTEAM BEYONDメンバーからは、「強くなるためにどんなことをしていますか?」という選手への質問があがりました!
杉野選手:バドミントンでは同じクラスの選手でも障がいは様々ですし、たとえ同じ障がいがあっても違う身体の使い方をしたりするから、それぞれのスタイルが面白いんです。例えば私の場合は、対戦相手に背中を見せて、後ろ向きの姿勢から打ったりと工夫をしています。
中村選手:空手、ダンス、水泳、サッカーなど僕は様々なスポーツをやっていたので、「この動きはあのスポーツに似ているな」と置き換えて考えてみたり、いつも戦い方を考えています。
その後の休憩時間、感激した様子で選手に駆け寄っていたのは、高校生のお二人。お二人はパラスポーツが大好きで、学校でもパラスポーツへの理解を深めるプロジェクトに参加しているのだといいます。
高校生のお一人:間近で選手のプレーが見られて感動しました。これまでパラスポーツ観戦にも行ったことがあったんですが、今日は選手と対戦もできるというのも楽しみで来たんです!
選手に気軽に話しかけたり、一緒に写真を撮ったり。試合を応援するのとはまた一味違った、自然体な選手との交流を楽しむことができるのも、TEAM BEYONDの交流会の楽しみのひとつです。
心を込めた絵てがみを書いて選手を応援!
選手の熱い思いや迫力あるプレーに触れて、今度はTEAM BEYONDメンバーから気持ちを伝える時間です。参加者みんなで選手を応援する絵てがみを描きました!今回書いた絵てがみは、パラアスリートへ絵と文章で応援メッセージを伝える作品を募集する、「BEYOND AWARD 2018」の絵てがみ部門に応募します。
「絵が苦手だから、文字で応援を伝えようかなあ」「カラフルに色をつけたい!」
みなさん真剣な表情になって描き進めます。
今回親戚と一緒に参加したというお子様は、はじめは描いた絵を恥ずかしそうに隠していましたが、中村選手が来ると笑顔になって絵てがみを渡していました。
中村選手:すごい!サポーターやラケットも描いてくれたんだね。ありがとう!
選手の絵を描いたり、応援メッセージを文字に込めたり、みなさんそれぞれに工夫をして、絵てがみを完成させていました。
完成後は選手に絵てがみを手渡しして、記念撮影も行いました!心のこもったイラストや、「FIGHT!」「応援しています」などメッセージの入った絵てがみを受け取って、杉野選手、中村選手も、とても嬉しそうです。
バドミントン体験タイム!選手ともいざ対戦
いよいよお待ちかねのバドミントンの体験タイムです!トップアスリートと打ち合える貴重な機会に、TEAM BEYONDメンバーも待ちきれない様子で列に並んで、順番にラケットを手にとります。
杉野選手にシャトルの打ち方や、ラケットの持ち方などを丁寧に教わりました。
杉野選手のアドバイス通り、タイミングを合わせてシャトルを落とすようにして、ラケットを振ってみます。ですが、なかなか上手く打つことができません。
杉野選手:左ひじ、ちゃんと曲がるからシャトル持ててるね。うん、絶対大丈夫!できるできる!
真剣な眼差しで話を聞き、なんどもなんども挑戦を続けます。するとだんだんとラケットに当たる回数が増え、なんと最後には自信を持った顔つきで杉野選手とラリーを続けていました!
お母さん:どうやってシャトルを持てるんだろうって気になっていました。トップ選手に直接アドバイスをもらえて嬉しいです!
隣では、中村選手と参加者のみなさんの対戦がスタート!バドミントン部だという高校生も果敢に勝負を挑み、激戦を繰り広げます。
「中村選手は打つ音も違うなあ」「早くて全然追いつけませんでした!」
悔しそうな表情を見せながらも、でもやっぱり楽しそうです。子どもも、高校生も、お父さん、お母さんもみんな夢中になってバドミントンを楽しんでいました!
すっかり打ち解けた様子の選手とTEAM BEYONDのメンバーたち。杉野選手はこうして近い距離感で交流ができる機会は、アスリートにとっても刺激になるのだと伝えてくれました。
杉野選手:今日はパラバドミントンに興味を持ってもらえて嬉しかったです。これからも応援に来てもらいたいなって思います。応援が聞こえると、無理って思ってもなんでか足が動いて、スマッシュを決めたりできるんです!
応援してくれている人がいる。それだけで、辛い練習を乗り越えられたり、もっともっと頑張ろうと思えることもあるのだそう。私たち一人一人の応援が積み重なることで、選手にパワーを送ることができるはずです。
ぜひあなたもTEAM BEYONDに参加して、一緒に選手を応援しませんか?パラアスリートと交流ができる、今回のようなイベントをこれからも開催する予定です。パラスポーツを体験したり、選手とお話したりして、まずはパラスポーツを気軽に楽しんでみてください。あなたのご参加をお待ちしています!