2020年12月某日、大寒波到来の寒空の下、大阪府某所に登場したのはアーチェリーの上山友裕（うえやま　ともひろ）選手。普段練習している場所を今回のスゴ技企画の撮影のために提供してくれました。

 上山選手がアーチェリーに出会ったのは大学時代。アーチェリー部に入り、レギュラーとして活躍していました。

社会人1年目の2010年冬に原因不明の両下肢機能障害で足がまひしたあともアーチェリーを続け、2011年秋の国内パラ大会へ初出場し、2位入賞。2016年リオパラリンピックは初出場ながらリカーブ部門で7位入賞を記録しています。いまや、日本を代表するパラアーチャーです。

 そんな上山選手に挑戦してもらうスゴ技の内容は……70メートル先にあるりんごを射貫くというチャレンジ。目指すは現代のロビンフッドです！

狙うは、野球ボールサイズほどのりんご

今回、上山選手が狙うのは、野球ボールサイズほどのりんご。70メートル先の的に吊した状態では、わずかな丸としか確認できません。ちなみに、的の中心部（10点）は直径12.2cm。およそCDと同じ程度の大きさです。難しいチャレンジに対して、上山選手の意気込みを聞きました。

 「正直、全然自信はありません……（笑）。でも、岩渕選手には負けられないので、いつも通りに頑張ります」

 実は、上山選手は以前実施した卓球のスゴ技チャレンジに登場した岩渕選手と仲良しとのこと。彼のチャレンジ内容を聞き、闘志を燃やしていました。

 さて、今回のチャレンジは成功するのでしょうか？ 見届けたいと思います！

新幹線3両分離れた距離を狙う！

目標とする的までの距離は70メートル。これは、新幹線の車両で言うと3両分。またはジャンボジェット1台分の距離。どれだけ遠いか伝わるでしょうか!?　これを初速200m/sというパワフルなショットで狙います。

さらにチャレンジ当日は、最大風速4メートルものからっ風が吹き荒れるあいにくの天気。矢への影響が心配される中、チャレンジがスタート。

入念な準備をして臨んだ1本目は「りんごのわずか下」という結果に。矢は速すぎて目では追えませんが、「ドスッ」と鈍い音が的に当たっていることを知らせてくれます。その後も「わずか上」、「下スレスレ」という惜しいショットが続きます。

気づけば10本目を超えてもなかなかりんごにヒットしません。

 「全部中心の的には入っているのに！」と上山選手は悔しそう。高得点となるエリアに入っても、りんごに当たらない限りチャレンジは終わらないのです！

「当たった!?」と一瞬沸いても、的を確認するとりんごに傷がついているだけで失敗。どんどん目標に対する精度が上がっています。そして…　集中力を高めた次の一矢で…

「当たった！」

確認すると、りんごのど真ん中にヒット！ 上山選手、嬉しすぎて思わず「よっしゃー！」と勝利の雄叫びを上げていました。これぞ、ロビンフッドの再来。

 見事、チャレンジ成功です！

卓球の岩渕選手に対抗し、「ドーナツの輪を射貫く」スゴ技に挑戦！

 続いて、上山選手には、別のチャレンジにも挑んでもらいました。前回、卓球の岩渕選手が挑戦したリングを通すスゴ技に対抗して、なんとドーナツの輪を射抜くスゴ技に挑むことに。りんごよりもさらに小さい的で、難易度がグッとアップ。ドーナツの輪の直径は約5cmほどです。

しかし、上山選手は自信があるようで「ドーナツに矢を必ず通してみせます！」と力強く宣言してくれました。

そしてチャレンジ開始。

 1本、2本と立て続けに失敗するも、迎えた3本目……なんと、大成功！ ドーナツの輪をきれいに射貫きました!!

想定外のスピードで成功したことに「自分が一番驚いています」と、嬉しそうな上山選手。

最後に今回のチャレンジの感想を聞いてみました。

 「無事に成功して良かったです。これでようやく僕も『なにわのロビンフッド』の名を襲名できたので、これからよろしくお願いいたします（笑）。今回の精度を保って、東京パラリンピックでもみなさんを沸かして行きたいと思います。応援よろしくお願いします！」

 見事貫通したりんごとドーナツは撮影終了後、おいしくいただきました。

スゴ技を見せてくれた上山選手。本当にありがとうございました。

 今回のチャレンジの模様は以下のページから見ることができます。「なにわのロビンフッド」上山選手のスーパーショットを、ぜひ目の当たりにしてください！

https://www.para-sports.tokyo/sports/sugowaza/