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知るともっと面白い! 平昌パラリンピックまもなく開幕 ~冬季競技編~

2018.01.17
知るともっと面白い! 平昌パラリンピックまもなく開幕 ~冬季競技編~

アウトリガーを両手に持ち、チェアスキーに乗って滑走するアルペンスキー座位の選手=2017IPCアルペンスキーワールドカップ白馬:撮影/荒木美晴

3月9日に開幕する平昌パラリンピック。オリンピックと同じ会場で、アルペンスキー、スノーボード、クロスカントリースキー、バイアスロン、パラアイスホッケー、車いすカーリングが実施される。

前回のソチ大会で日本勢は、金3、銀1、銅2の計6個のメダルを獲得。平昌大会ではその大幅な更新に期待がかかる。

アルペンスキー

競技は男女別で、上肢や下肢に障がいがある選手のスタンディング(立位)、チェアスキーに乗って滑走するシッティング(座位)、ビジュアリーインペアード(視覚障がい)の3カテゴリーに分けられ、そのなかで順位を争う。選手の障がいの程度はさまざまで、各選手に「係数」が設けられ、実走タイムにその係数をかけた計算タイムで順位を決定している。

視覚障がいの選手は、安全に競技をするため、ガイドと一緒にコースを滑る。ガイドはマイクを装着して腰にスピーカーを付けて選手の前を滑り、ターンの大きさや斜面変化などのコース状況を指示。後ろの選手はガイドの声をたよりに滑走する。

アルペンスキーは最高速度100㎞を超えるスピード感と、100分の1を争う華麗なテクニックがみどころ。日本人選手は座位カテゴリーを中心に世界トップクラスの実力を誇っており、パラリンピックでも複数種目でメダル獲得の可能性がある。

知るともっと面白い! 平昌パラリンピックまもなく開幕 ~冬季競技編~

視覚障がいの選手はガイドの先導で滑る=石屋製菓2017IPCノルディックスキーワールドカップ札幌大会:撮影/荒木美晴

クロスカントリースキー/バイアスロン

上りや急斜面、カーブなどアップダウンのある雪上をスキーやストックを用いて走り、順位を競う。コース上の2本の溝に沿って滑るクラシカル走法と、フリー走法の2種類があり、距離は約1㎞のスプリント種目、5~10㎞の中距離、20㎞などの長距離種目に分けられる。パラリンピックでは、リレーも行われる。

競技は男女別に、障がいの種類によってスタンディング(立位)、シットスキーを用いるシッティング(座位)、ビジュアリーインペアード(視覚障がい)の3カテゴリーがある。また、アルペンスキー同様に各選手に「係数」を設け、障がいの重い選手も公平に戦うことができるよう工夫されている。

バイアスロンは、クロスカントリースキーで走り込んでから射撃を行う。パラリンピックでは、距離別にショート、ミドル、ロングの3種目が行われる。立位と座位の選手は、エアライフルを使用する。視覚障がいの選手は、周波数が聴けるヘッドフォンを装着し、音が出るビームライフルを使用する。的に銃口が近づくと周波数が上がる仕組みで、選手はその音を聞き分けて的の位置を確認している。

クロスカントリースキーで呼吸や心拍数が乱れるなかで、正確な射撃技術が求められる過酷な種目。”動”と”静”をどう組み合わせるかが、バイアスロン最大のポイントとなっている。

スノーボード

ジャンプ台やウェーブなどで構成されたコースを複数人が同時に滑って戦うスノーボードクロスと、旗門を設置したコースを3回滑走し、最速タイムを競うバンクドスラロームの2種目がある。

前回のソチ大会ではアルペンスキーの中の1種目だったスノーボード。平昌大会では独立して正式競技として実施される予定で、日本は初めての代表選手を送り込むことになる。トリノ五輪にスノーボードハーフパイプ日本代表として出場した兄と姉を持つ「成田3きょうだい」の末っ子で、下肢障がい(左脚腓骨神経麻痺)の成田緑夢(近畿医療専門学校)は代表候補選手。その鮮やかな滑りに注目が集まる。

パラアイスホッケー

下肢に障がいを持つ選手によるアイスホッケー。障がいの程度によるクラス分けや持ち点はない。選手は「スレッジ」と呼ばれる専用のそりに乗り、両手に持った短いスティックで氷上を移動したり、シュートを打ったりする。試合は15分3ピリオド制。リンクやパックの大きさ、ゴールの位置、氷上でプレーする選手の数(FW/3人、DF/2人、GK/1人)などはアイスホッケーと同じ。腕力だけとは思えないスピードと迫力あるボディチェックは、この競技の醍醐味となっている。

日本代表は銀メダルを獲得した2010年バンクーバー大会以来、8年ぶりのパラリンピック出場を決めており、2度目の表彰台を目指す。

知るともっと面白い! 平昌パラリンピックまもなく開幕 ~冬季競技編~

2大会ぶりのパラリンピック出場を決めたパラアイスホッケー日本代表=平昌パラリンピック最終予選:撮影/荒木美晴

車いすカーリング

車いすカーリングは、男女混合の4名でチームを構成する。一般のカーリングのような投球時の助走はせず、静止した状態からストーンを投げる。ストーンは一般と同じ重さ20kgのもので、車いすに乗ったまま競技ができるよう開発された専用の「キュー」を用い、ストーンを押し出すように投球する。また、スウィーピング(ブラシなどで氷を掃く動作)は禁止されている。刻々と変化する氷の状態を見極め、いかに正確な投球をするかが勝敗のカギとなる。

日本代表は最終予選で敗れており、平昌大会には出場しない。

文:荒木美晴(MA SPORTS)

20180117

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